金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチの教材から

『翻訳教室』(柴田元幸著)の魅力

柴田元幸著『翻訳教室』(新書館)を読んでいて実感するのは、柴田先生が教室にいる学生たちと対等の立場で意見の交換をしている様子がわかること。これはなかなかできるようでできないのではないか。 授業とか講義って「何でも知っている講師が何も知らない…

翻訳ストレッチ用音読(日本語)教材について

先ほど本棚にある「翻訳ストレッチ」用音読教材を数えたら28冊あった。元々は読みたいと思っていた本を順番に読んでいるといつまでたっても読めない(積ん読になってしまう)ので本棚に加えてきた結果だ(これ以外に寝床で読む本が3~5冊ぐらいある)。 毎…

対比概念を意識する(翻訳ストレッチ教材『例解 和文英訳教本』からの学び)

本日の翻訳ストレッチからもうひとつ。和文英訳の教材から。 (以下引用)課題文 (1)我々は病気になってはじめて健康のありがたみを知る。(2)我々は言葉が使えるという点で動物とは違う。(引用ここまで。ただし(2)は鈴木が若干変更している)。(…

昭和時代の日本語で英語のニュアンスを学ぶ『英文解釈考』(翻訳ストレッチの教材から)

本日の翻訳ストレッチから。 (以下引用) The more you do for him, the less he will do for himself. 意味:やってやればやるほど、かえって懐手(ふところで)をきめこむ男だ。(引用ここまで)(佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)p71) どう…

someとanyの区別に関するスッキリとわかりやすい、超簡単な解説(翻訳ストレッチの教材から)

(以下引用) 簡単に言ってしまえば、anyは「なんでもいい何か」、someは「なんだか知らない何か」です。(引用ここまで)(別宮貞徳『さらば学校英語 実践翻訳の技術』(ちくま文芸文庫)P272) で、例文は2つ。 ① Is there anything to eat? ② Is there …

関係代名詞whatの慣用句に対する翻訳参考書の解説が最も素晴らしかった件(翻訳ストレッチの教材から)

Friendship is to people what sunshine is to flowers.(友情の人間に対する関係は日光の花に対する関係と同じである)(綿貫陽、マーク・ピーターセン共著『表現のための実践ロイヤル英文法』(旺文社)P273) と言う文章があり、これは「129 C what を含む…

時制について(翻訳ストレッチの教材から)

時制について考える興味深い文章に出会った。 (以下引用)目が覚める。しばらくして目覚まし時計が鳴る。ラジオをつける。コーヒーを沸かす。コンピュータを起こす。顔を洗う。そして、わたしは昨日書いた詞を読み返した。と、ここまで書いて気がついた。初…

総称のtheについてのメモ(翻訳ストレッチの教材から)

総称のthe=「学問のthe」、「同じ情報のthe」という非常に興味深い視点が見つかったので、下に(8)として追加した(出所は小倉弘著『例解 和文英訳教本』(プレイス)pp198-200)(追記:2022年5月22日)。 文法書を単独で読んでいても気がつかないことで…

批判的に学ぶ(今朝の翻訳ストレッチから)

稀代の名著『例解 和文英訳教本』(プレイス)P256に次の課題文があった。 「その列車はいつも人でいっぱいだ」 これを英語に訳す手順を示してくれたのだが、まずはbe filled with~とbe full of~はいずれも目的語が物でなければおかしいので不可。次にbe c…

関係代名詞の<制限用法>は対比を暗示する(翻訳ストレッチの教材から)

出会った言葉: 「制限用法の直訳は『~する方の(先行詞)』と考えるのが分かりやすいと思う。……すなわち、<制限用法>は対比を暗示するのである。一方、<非制限用法>にはそのような暗示はない。<非制限用法>は先行詞の名詞を補足説明しているにすぎな…

「コロン(:)」と「セミコロン(;)」(翻訳ストレッチの教材から)(2021年4月)

コロン(:)について、いくつかの著者の説明をまとめてみた。 (1)佐々木高政さん(a)叙述が読者に「してまたそれは?」と思わせ、その解明を求めて心の首を前に伸ばさせる類いのものであれば、続く(b)との仕切りにcolon(:)を使う。……したがって次の分のto …

have to とmustを人称別にどう捉えるか(翻訳ストレッチの教材から)

have to とmustを人称別にどう捉えるかという問題。 『翻訳力錬成テキストブック』(柴田耕太郎著、日外アソシエーツ)のp397では、have to を客観的事情、mustを主観的感情と大まかな説明をした後、P400「研究」で「大まかには本文の通りだが、人称により…

「英語参考書のご紹介」の書き込みを見て思ったこと(2021年1月)

「英語をきちんと読めるようになるにはこの本をこの順番で読んでいくといいですよ」というテーマで英語の本を紹介する書き込みをSNSでたまたま見つけた。 英語の得意な方が、自らの経験に基づいて初学者向けに参考書の案内をするのは素晴らしいことだと思う…

『英文標準問題精講』と『英文解釈教室』(2020年9月)

『英文標準問題精講』良い点:英文が標準的な名文。一編一編の文章を人生訓として学ぶこともできる。出典も全部ついている。翻訳も上手いので、模範解答をベースに英作文の教材にできるほど。難点:英文の構造(読み方)の説明がほとんどない。模範解答と語…

歴史を学ぼうよ>翻訳ストレッチの教材から

出会った言葉:今日ですら、多くの人々は過去30年(まもなく35年か40年になろうとしている)の「惨めな時代」がいずれは悪夢のように終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている。(『21世紀の資本』トマ・ピケティ著、山形浩生他訳(みすず…

えもいわれぬ味(翻訳ストレッチの教材『英文解釈考』から)

(原文)So much do I love money that I feel almost a different person when I have money in my pocket and when I have none.(意味)わたしは金ってやつが滅法好きで、ポケットに金があるときと、ないときでは人間がちがった、と感ずる程だ。(筆者の解…

『新訂・英文解釈考』を学び始めて②(翻訳ストレッチの教材から)

“Humility is very rare” said Spinoza; and as Cicero said, even the philosophers who write books in it praise take care to put their names on the title page. [意味]「謙譲は稀なり」とスピノザは言った。そしてキケロの言うとおり、謙虚を讃えた本…

『新訂・英文解釈考』を学び始めて

「そうした語学的「予測(anticipation)」能力と感性的「受信(reception)」能力を育てるという二つの目標の踏み石となりたい本書の中の文章はできるだけ濃(こく)のあるものにしようと、平凡なことを平凡にしか言っていないものは気前よく捨てた」(佐々…

マスコミの記者の皆さんに対する違和感(2019年10月)

現在、翻訳ストレッチの日本語音読用教材として①『メディアが動かすアメリカ』(渡辺将人著、ちくま新書)、②『政治部不信』(南彰著、朝日新書)、③『長期政権のあと』(佐藤優、山口二郎著、祥伝社新書)を読んでいる。①は次回勉強会のテキスト。②は勉強会…

「一に給料、二に配偶者、三、四がなくて五に資産」>翻訳ストレッチの教材から

おはようございます。 出会った言葉: 翻訳というのはとても根気のいる仕事だ。時間も手間もかかる。集中力も必要だ。そして特殊な場合を除いて、それほど多くの収入が見込めるわけでもない。あくまで裏方の手仕事なので、脚光を浴びるような機会も希だ。言…

『英語原典で読む経済学史』(2018年11月)

根井 雅弘 著『英語原典で読む経済学史』(白水社)は面白い。 ①現代経済思想史の専門家が書いている。②大学受験英語で得たはずの知識や考え方を生かせないかという問題意識が根底にある。③訳す時の基本は、英米人の頭の中の流れに沿って、なるべく日本語と…

著者が手を抜いていない参考書(2018年10月)

参考書(広義に言えば勉強法本?)の善し悪しの評価に観点はいろいろあると思うが、全部やりきると明確に分かる(断言できる)ことが一つある。それは、「筆者(または編集者)が手抜きしているかどうか」だ。 「筆者または編集者が手を抜いた本」は悪口にな…

「聞き流すだけ」では英語力は伸びない(同じビデオを600回観て聴いての結論)(2017年11月)

おはようございます。 [昨日の自分]起床:4時30分体重:72.2kg、体脂肪率21%、BMI:24.1ピーク:体重は77.2kg(3/6/16)脂肪量は19.9kg(12/7/14)間食:チョコ2枚。運動:11,666 歩翻訳ストレッチ:「春秋・天声人語」『世紀の空売り』『第五 折々のうた』…

逆茂木型の文 ー翻訳ストレッチの教材から(2016年10月)

(以下引用:ただし、適当に間引いています)5.2 文の構造 ― 逆茂木型の文最初に次の例文をご覧いただきたい。「・・・直流電気抵抗の消失をはじめとする特異な性質を示す超伝導状態は、いろいろな運動量をもって勝手な運動をしている伝導電子が、ある臨界温…

『DUO 3.0』の教材作り(2014年10月)

昨日『DUO 3.0』の教材作りを終了した。 『DUO 3.0』は英語教材として昔から評価もし注目もしていて、自分の勉強に使えないかと思っていた。次男が高校に入った時に(卓球で入ったのである程度覚悟はしていたが)学校の授業通りにのんびりやっていたら大学受…

「日の名残り」(翻訳ストレッチの教材から)

昨日昼は、元の勤め先の上司Uさんと会食(要するにごちそうしてもらったわけです)。この方に前回お会いしたのは2年前。その間に発行された2冊の本を持っていく。20年前に私が課長だった時に取締役で今は引退されている。体育会系が圧倒的多数だった某社の…

カメラを対象に向けるのが辞書引きで、焦点を絞るのが翻訳(かも)

今朝の翻訳ストレッチ(原文訳文書き写し)から (原文)To assess the issue empirically, we looked for measures of risk in those markets to see if they correlated with the spread.One good measure of risk is the difference between interest rat…

「犯人の気持ち」- 今日の翻訳ストレッチから(2013年11月)

今日は本来原文と訳文の音読だけで使っている『脱線FRB』のある1段落の原文を写し、訳書の訳文をそのまま写すという作業をした。 一昨日この箇所を音読しているときに、自分が英語を読んで出てくる時の日本語の並びと違ったので、書いたら何か参考になるので…

4年かかって1冊読了(2013年11月)

今朝の翻訳ストレッチから『脱線FRB』の2回目に入る。 当初は他の本とのローテーションで4~5日~1週間に1度、1年ほど前からメインのテキストにしたので、(それでも)2~4日に1度、5分と時間を決めて適当な長さ(たいていは1段落)原文と訳文を音読してきた…

33年間の定期購読終了:Newsweek誌(紙版)とのお別れ(2012年12月)

昨日Newsweekのデジタル変更に基づく登録変更を行う。 大学に入学した年なので1979年からTimeとNewsweekを購読し始めこれまで33年間ずっと定期購読、というよりも金を払い続けてきた。引っ越してもきちんと手続きをしてどこに済んでいても途切れることはなか…