金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチの教材から

(H+H)MかH+(H+M)か:共通関係(翻訳ストレッチの教材から)

ある程度の上級者(TOEIC850以上ぐらい?)になると、経験的には知っているが何となくあやふや、という文の要素の共通関係があって、その部分を権威ある書籍(辞書でも文法書でも参考書でも)で明言されるとホッとしたりする。今回はその例。 (以下引用)us…

"as" のいろいろ:辞書よりも文法書よりも役に立つ受験参考書(翻訳ストレッチの教材から)

文法書は、さまざまな切り口の文法項目(五文型とか関係代名詞とか、品詞とか・・・)によって章立てされているので、一つの語の役割が一冊の中にばらばらに記述される。 一方、辞書は一つの語の意味や役割がすべて同じ語の元に記述されているが、何しろ(そ…

奥井潔先生の授業を追体験できるYoutube

このビデオから、奥井先生の「授業」が追体験できる。 まずは示された英文を自分で紙に訳してから聞くと良さがじわ~っとわかるはず。 特に、harlots for whom it was a point of honor to give good value for money以下の説明とたとえ、文構造の説明、そし…

英文を通じて教養を身につけ、学習意欲を高められる本:『英文読解のナビゲーター』(翻訳ストレッチの教材から)

奥井潔著『英文読解のナビゲーター』(研究社)の本領は、語句、文法、構文解説、訳文の後(または合間)に発揮される。たとえば第10章のテーマは「独創性とは?」で、英語の原文の前に、著者の「前説」がある。 (引用ここから)この本の「はじめに」の中で…

「オレとは人間のつくりが違う」(翻訳ストレッチの教材から)

昨日、翻訳ストレッチで次の英文について学習した。 Just as a good man forgets his deed the moment he has done it, a genuine writer forgets a work as soon as he has completed it and starts to think about the next one; if he thinks about his p…

理由を補足的に説明する等位接続詞forが文頭にくる(数少ない)例(翻訳ストレッチの教材から)

以前、等位接続詞のforは文頭に来ないという説明を紹介した。 tbest.hatenablog.com つまり上記の中で、 「④because~は文頭にも置けるが、for は連結する二つの節の間以外には置けない(鈴木注:これはforが等位接続詞だから)」という説明(杉山忠一著『英…

譲歩を表すletの命令形(翻訳ストレッチの教材から)

「ひとりは孤独ではない」というタイトルの文章から。 A man thinking or working is always alone, let him be where he will.(原文に即した訳)どこにいようと、人間はものを考えるのも作業するのもいつもひとり。(モデル訳文)どこにいようと、考えるの…

使役動詞をすっきり整理(翻訳ストレッチの教材から)

使役動詞の使い分けについて、一つの動作を使って整理した分かりやすい説明があったのでご紹介します。 「娘に浴槽の掃除をしてもらった」の表現いろいろ (a) I had my daugher clean the bathtub.「私は娘に浴槽の掃除をさせた(頼めば当然やってもらえる親…

不定冠詞「a」は「いくつかあるうちの1つ」(翻訳ストレッチの教材から)

『改訂三版 英文法解説』(金子書房)では「不定のある1人/1つ」(p112)、『英文法詳解』(学研)では「ばく然と不特定のものと考えられた普通名詞/集合名詞の前(に使われる)」(p43)、『改訂版 英文法総覧』(開拓社)では「数詞oneの弱まった意味で…

because、since、as、そしてforについてのまとめ(翻訳ストレッチの教材から)

「sinceを使えばある理由を開陳して『さぁどうだ』と構える感じがする。becauseよりはやや弱い」(佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)p118) ・・・という解説文を読み、よい機会なのでbecause、since、as、そしてforについて手元の参考書で整理し…

owe A to Bに関する例文(翻訳ストレッチの教材から)

たまたま、昨日と今日の翻訳ストレッチで同じ単語の例文を見つけたので、手元の本でも確認してみました。 原文を読んで、まず紙に自分で訳をつくってから日本語訳を見て、添削することを強くお勧めします。 (1)(原文)To speech man owes the power of c…

「複数形」とは「複数」でなく「総称」(翻訳ストレッチの教材から)

興味深い視点を見つけたのでメモとして。 (以下引用)……a countryの複数は何であろうか。ここでcountriesと答えてはいけない。それ(鈴木注:単なる複数形)では「国というもの」(鈴木注:総称)という意味になってしまう。some countriesと答えてほしい。…

40年ぶりに辞書を買う(2022年5月)

2年ぐらい悩みに悩んだ末、実に久しぶりに紙の辞書を買いました。 『コンパスローズ英和辞典』(研究社) 紙の一般英和辞書を買ったのは恐らく40年ぶりぐらい。奥付の次のページに「2022年5月17日購入」とボールペンで書き入れました(先ほどの書き込みに若…

『新英文読解法』は社会人の英語の学び直し、または翻訳の基礎固めに格好の書

2年ぐらい前に買ってあった『新英文読解法』(中原道喜著、金子書房)を4月から3日に1度、15分ずつ学び始めた。翻訳ストレッチの一貫。すべて手書きで訳文を書いてから、著者の解説、解答を見て赤ペンで添削すると言う作業を地道に進めている。以下は2022年5…

リンカーンのゲディスバーグ演説The government of the people……に関するメモ(翻訳ストレッチの3つの教材から)

同じ英語に対する三つの参考書からの記述を。 (1)リンカーンのゲディスバーグ演説The government of the people, by the people, for the peopleを、「リンカーンはまず人民の政治、と言ったんです。ところが当時の演説の写真を見ると、どうも聴衆がきょ…

『思考訓練の場としての英文解釈(1)』に関するメモ

『思考訓練の場としての英文解釈(1)』多田正行著(育文社)第2章の単文読解演習題25問(p61)の解説(考え方)は、大学受験生向けというよりは(そこまで要らないと思う)、翻訳者向けとしてよくできている。・・・ただし、訳文自体は、あまり上手ではないの…

『基本文法から学ぶ英語リーディング教本』は良書。ただし初心者向きにあらず(2022年4月。読み終わり)

1.2022年1月8日以下は、昨日ふと思い立って書いたツイッターへの投稿である。ちょうど半分ぐらい読み進めたところなので、今段階の感想を書いた(一部加筆修正しています)。 (ここから)『基本文法から学ぶ英語リーディング教本』は、英語の上級者(準1…

「ロシア経済はこれからどうなるか」を考える上でのヒント

以下は、たまたま今朝読んだ書籍からの引用です。今、ロシア経済が置かれている状況はこの時よりもはるかに厳しいのではないでしょうか。だってソ連崩壊後の数年間は、とりあえず「平和」だったのに対し、今のロシアは戦争状態にあるのですから。 今後を考え…

作者の生没年

毎朝、『声でたのしむ 美しい日本の詩 (岩波文庫別冊)』の音読を始めてから1カ月強。5分のうち前半を和歌・俳句(大岡信選)、後半を現代詩(谷川俊太郎)に振り分けて1、2ページを音読して、選者の解説を読むのだが、明治大正以降の詩歌を読むと、つい…

「have +過去分詞」を完了形とつい勘違いしてしまう例文集(『誤訳の構造』から)

中原道喜著『誤訳の構造』(金子書房)例文169の「注意」にあった、「つい読み間違ってしまう」例文集(私が持っている聖文新社版ではp234)より。 (引用ここから:鈴木が少し入れ替えています) ①He sent his son for the book that he had bound.「彼は…

同じ原文が複数の参考書(『新訂 英文解釈考』と『英文標準問題精講』)で出題されていた例

今日学んだ『英文解釈考』にあった次の英文 (原文)(第1文)Questions of education are frequently discussed as if they bore no relation to the social system in which and for which the education is carried on. (第2文)This is one of the comm…

基本例文の暗記は「あしたのためにその1」と同じ。

28周り目となる『表現のための実践ロイヤル英文法―英作文のための暗記用例文300』(旺文社)は、日本語の一文字目をみただけで僕はほとんどの英語をスラスラ言えてしまう。ということはつまり、この日本語表現に関する限り、僕はネイティブ並み(「この場合…

rather の整理(『翻訳力錬成テキストブック』課題1-4から)

課題1-4の[研究]「ratherの意味」は頭の整理に非常に役に立つ。(以下、ほぼほぼ*引用) 総論(1)好ましくない形容詞/副詞(bad, stupidly, uglyなど)と共に使われる(この逆がfarily) 各論(2)比較級やlike、alikeの前は「いくぶん」「やや」の意味…

『基本文法から学ぶ英語リーディング教本』は初心者向きにあらず(2022年1月。読み始め)

以下は、今朝ふと思い立って書いたツイッターへの投稿である。ちょうど半分ぐらい読み進めたところなので、今段階の感想を書いた(一部加筆修正しています)。 (ここから)『基本文法から学ぶ英語リーディング教本』は、英語の上級者(準1級程度)が中学レ…

訳文を暗記する②(使える表現と、使いづらい表現)

翻訳書の中から「参考になりそうだな」と思った訳文を、原文と一緒にメモして残している翻訳者の皆さんは多いと思う。 その作業自体には意味がある。しかしそれをノートにして残しておいても、意外と役に立たないのではないか、というのが僕の実感である。 …

訳文を暗記する(翻訳ストレッチの教材から)

(原文)Looking back now, after all these years, and knowing as I do the terrible difficulties of making a living by writing, the small chance there is of being successful, I realize that I was taking a feaful risk when I abandoned the med…

一冊を徹底的にやることが重要(翻訳ストレッチの教材から)

(引用文1)このぐらいの年齢の子どもたち(鈴木註:3歳児と4歳児)は、同じ絵本を難解も大人に読んで欲しがる。もういい加減で飽きているだろうと思っても、何度も同じ話を聞いて、一字一句を暗記し、保育士と一緒に声を出すようになる。そして毎回同じ場…

used toとwould に関するメモ(翻訳ストレッチの教材から)

(例文) We used to work on mathematics together. He was incredibly quick, and would be half-way through solving a problem before I understood the question. (意味)わたしたちは二人で数学をいっしょに勉強したものだった。彼は信じられない程解…

『翻訳力錬成テキストブック』を読了

柴田耕太郎著『決定版 翻訳力錬成テキストブック: 英文を一点の曇りなく読み解く』(日外アソシエーツ)読了した。 2017年6月(23日)から。4~5日に1回。1回当たり10~20分かけて、4年半かかった。この本を最初から最後まで全部やりきった人はそうそういな…

翻訳ストレッチ内訳(2021年11月下旬時点)

1.英文解釈(毎日):計30分 大学受験用参考書を用いている。すべて紙に訳文を書いて模範解答を見て添削。5~10回音読。最近は、復習した翌日に改めて訳を書いて添削するよう努めている(従って進度は遅くなるが構わない)。 (1)毎日10分間取り組むテキ…