金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチ

才能は有限、努力は無限

出会った言葉: 毎日毎日、蓄積していく。毎日つまらない同じことをずっと繰り返していたところに、ゴルファーとしてではなく、すごく、こう、一人の人間としてですね、ああ、一流っていう人はこういう人なんだなって思ってきました。 ゴルフダイジェスト・…

飛田 茂雄著『翻訳の技法―英文翻訳を志すあなたに』(研究社出版 1997年)

本書は、中嶋彩佳「カズオ・イシグロの小説における翻訳の名残り」『ユリイカ』2017年12月号特集「カズオ・イシグロの世界」所収(P77)の論文の参考文献に載っていた。 図書館で借りて最初の20ページぐらいを読み、買おうと決意した。これから本格的に読み…

「コロン(:)」と「セミコロン(;)」(翻訳ストレッチの教材から)

コロン(:)について、いくつかの著者の説明をまとめてみた。 (1)佐々木高政さん(a)叙述が読者に「してまたそれは?」と思わせ、その解明を求めて心の首を前に伸ばさせる類いのものであれば、続く(b)との仕切りにcolon(:)を使う。……したがって次の分のto …

手書き写しの効用②

出会った言葉:……白川静(1910~2006)は、古代の甲冑文字や金文をひたすら書き写すことで、文字の成り立ちのみならず、底に隠された古代中国の人々の文化や思想まで解明していったという。写経もそうだが、書き写すという作業は、文字と文章、意味と思想を理…

翻訳者の本棚

「え~鈴木さん、今度『翻訳者の本棚』という企画で一度取材を・・・」 「え?本棚4本しかありませんよ。先日リフォームに伴って1000冊ぐらい減らしたんで」 「そこはご心配なく、先日取材させていただいた方も、『断捨離』直後だと固持されたのですが、そこ…

『翻訳力錬成テキストブック』と『例解 和文英訳教本』(have to とmustを人称別にどう捉えるか)

have to とmustを人称別にどう捉えるかという問題。 『翻訳力錬成テキストブック』(柴田耕太郎著、日外アソシエーツ)のp397では、have to を客観的事情、mustを主観的感情と大まかな説明をした後、P400「研究」で「大まかには本文の通りだが、人称により…

試行錯誤の頃(今もですけど)

8年前の今日(2013年3月24日)にフェイスブックに以下の書き込みをしました。 (以下引用) 今、ふと思いついたんだけど、例えば僕の場合で言えば、英語の勉強(読解力の養成)金融の勉強(金融知識の蓄積や金融理論の理解)、そして日本語の勉強(文章力…

『英文標準問題精講』を8カ月で終了

『英文標準問題精講』の学習を本日終了した。 勉強開始は昨年5月15日からほぼ10カ月、おそらく1日も欠かさず演習問題を含む全220問に取り組んできた。学習内容は、 ①全文手書きで訳す。辞書は随時使いました。試験ではないので。②同書の[研究][語句][訳文]を…

字を大きく書く

「お父さん、字が上手になる方法知ってる?」今朝私が居間で某原書と訳書を大学ノートにせっせと書き写していると、珍しく早起きした妻が私の手元を覗き込んでこう私に尋ねた。ちなみに我が相方はどこの誰からも何も教わっていないのに「なぜだかわからない…

本を処分する

フェイスブックの「思い出」機能は、毎日1年前、2年前、・・・・6年前、8年前の「今日」書いたものを振り返ることができる。 以下に紹介するのは8年前の今日、2013年3月10日(日)に書いた内容。その2年前の東日本大震災を受けて我が家も耐震対策を着々と実…

『英文「超」精読』はかなり良さそう(買って3日目の感想)

一昨日、映画を観た後にたまたま立ち寄った本屋で見つけて、パラパラめくって5分で購入を決意。この手の本を衝動買いしたのは初めてだと思う。相当良いいぞ~思ってアマゾン見たら、元々かなり評判よい本だったことが判明した。 本書の特徴は「この本の概要…

「誤訳」と「悪訳」

「『誤訳』とは、原文についての(語句・構文・文法・内容などの面における)解釈が間違っていて、それが原因で生まれる訳文。『悪訳』とは、解釈そのものは正しく行われていても、訳文を通して原文の内容の正しい理解に到達することが困難なもの、としてお…

翻訳ストレッチ:今以上に試行錯誤していた頃(8年前)の書き込み

下記は翻訳ストレッチが今以上に試行錯誤だった頃(2013年2月12日)のFBへの書き込みです。当時は「翻訳筋トレ」と言っていましたが、混乱を避けるため下記の文章では「翻訳筋トレ」→「翻訳ストレッチ」に書き換えました。 (以下転載) 「翻訳ストレッチ」…

朝型フリーランスの優雅な(?)1日

2012年に(ほぼ10年前)「日本翻訳ジャーナル」に寄稿させていただきました。当時は「翻訳ストレッチ」を「翻訳筋トレ」と言っていました。 読んでいただくとお分かりになるように、細かな内容は今とかなり違っていますが、 ①仕事前のストレッチ的な軽い作業…

誰でも1日だけならできることを365日続ける-「続けている生活習慣」ランキング

翻訳、というか語学って、経験を積み重ねることによって力がついていく能力だと思うので、「誰でも1日だけならできることを365日続ける」を生活信条にこの20年間努力を続けてきました。今の僕の生活の中で「続けているものは何か」を探してみたランキングが…

「翻訳ストレッチ」を続けるコツ

2016年に何回か「翻訳ストレッチ体験セミナー」を開催しました。その後に参加者の皆様に書き送ったものを再掲します(若干修正しました)。なお執筆したのは2016年12月です。翻訳ストレッチは試行錯誤しながら続けているので、今の内容とはズレている部分も…

『ファクトチェック・ニッポン』

立岩陽一郎著『ファクトチェック・ニッポン』(徳間書店) この既存メディアに対する「怒りの書」を多くの人に勧めたいと思います。昨年の新型コロナウイルス勃発から直近の大統領選挙直後までの、日本のメディアで報じられた日米の「ファクト」に関する検証…

翻訳ストレッチ内訳(2021年1月末時点)

1.英文解釈(毎日):毎日30~40分 ・・・前回より5分程度長い。以下は現在の進捗状況。『英文標準問題精講』(原仙作、中原道喜、旺文社):現在「第III編後期10日間」練習問題90番(P284)。紙に訳文を書いて模範解答を見て添削。5~10回音読。後期10日…

英語がペラペラになるとはどういうことか?(翻訳ストレッチの英文暗唱からわかってきたこと)

翻訳ストレッチで使っている『表現のための実践ロイヤル英文法―英作文のための暗記用例文300』は綿貫陽/マーク・ピーターセン著『表現のための実践ロイヤル英文法』の付録で、「翻訳ストレッチ」の教材としては最も古くから使っているものの1つ。僕はテキス…

英語のニュアンスを日本語で学ぶ英作文の本

和英翻訳のプロセスで僕は英語ネイティブの方に「こういう文脈の中でこういう言い方(表現)をする?しない?」と問うことが多いし、いわゆるネイティブ・チェックとはそういうものだ。ネイティブ講師による英語の授業なども「そういう言い方をする、しない…

妄想「英文読解教室」(まだ構想段階です)

以下はすべて、先月60歳を過ぎた僕が、いつかやってみたいと思っている「英文読解教室」の現段階での概要です。ただしこういうのができたらいいな~という妄想にすぎず、やるかやらないかもわかりませんし、(かなりやる方に傾いていますが)、内容も変更に…

「英語参考書のご紹介」の書き込みを見て思ったこと

「英語をきちんと読めるようになるにはこの本をこの順番で読んでいくといいですよ」というテーマで英語の本を紹介する書き込みをSNSでたまたま見つけた。英語の得意な方が、自らの経験に基づいて初学者向けに参考書の案内をするのは素晴らしいことだと思う。…

手書き写しの効用

英語の原文と優れた訳文の手書き写しをほぼ1年続けてきて分かったこと: ワープロは便利だが、「変換」機能で失われる能力/感覚を侮れないということ。漢字書き取り能力はもちろん、漢字と平仮名の混じり具合の感覚、句読点のタイミング、まとまった考えを…

三島由紀夫の『文章読本』は文章の「読み方」読本だったことを知る。

翻訳ストレッチでは、毎日15~16冊の中から3冊、とっかえひっかえ5分ずつ音読しているのだが、たまたまここに来て何冊か読み終わり、さて次は・・・と考えているうちに、今年は三島没後50年で映画も見たし、読本も数々出されているので、音読教材に入れて改…

型とルーティンー最近出会った言葉から

最近出会った言葉から。 ①「琉球舞踏の有名な舞踏家の方の『半分は型を覚えるために練習して、あとの半分は型を忘れるために練習する』という言葉に非常に感動したことを覚えています。型があることすら忘れるぐらい型を体にたたき込んで自由が初めて生まれ…

最高の「クラス」は優れた教材の熟読と暗記

最近、翻訳ストレッチで英作文の時間を毎日10分取るようになって思い浮かんだ仮説。「限られた時間(たとえば毎日30分)で会話力(英作文力)をつけるには、どんな英語クラスや会話レッスンを受けるよりもよくできた教科書を覚える方が効率がよく、はるかに…

『英文標準問題精講』の生かし方(こういうクラスがあったらいいな)

日々、『英文標準問題精講』をはじめとする英文解釈の参考書で学びながら(紙に書いて訳し、解説と解答を見ながら添削し、その後5~10回音読する)意を強くしているのは、英語の訳読の勉強って「学生が訳して教師が添削する」よりも、②「学生がまず訳し、そ…

翻訳ストレッチ内訳(2020年10月時点)

試行錯誤をしながら10年ぐらい続けている翻訳ストレッチ。「こういうプログラム」とキッチリ決めているわけではなく、その時々の問題意識に合わせて随時内容を変更してきました。ここ半年で一番大きかった「変更」は「手書きを重視する」ことで、しかも英文…

「超マイナーだが強烈な本」ー『思考訓練の場としての英文解釈(1)』

これまで、『英文標準問題精講』『英文解釈教室』『英文解釈考』を紹介してきましたが、今日は、最もマイナーな参考書を一つ。『思考訓練の場としての英文解釈(1)』は次のような英文のオンパレードです。 [原文]Democratic institutions are likely to wo…

『英文標準問題精講』と『英文解釈教室』

『英文標準問題精講』良い点:英文が標準的な名文。一編一編の文章を人生訓として学ぶこともできる。出典も全部ついている。翻訳も上手いので、模範解答をベースに英作文の教材にできるほど。難点:英文の構造(読み方)の説明がほとんどない。模範解答と語…