金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2020-01-01から1年間の記事一覧

手書き写しの効用(2020年12月)

英語の原文と優れた訳文の手書き写しをほぼ1年続けてきて分かったこと: ワープロは便利だが、「変換」機能で失われる能力/感覚を侮れないということ。漢字書き取り能力はもちろん、漢字と平仮名の混じり具合の感覚、句読点のタイミング、まとまった考えを…

三島の『文章読本』は文章の「読み方」読本だった(『文章読本』を比べる)(2020年12月)

翻訳ストレッチでは、毎日15~16冊の中から3冊、とっかえひっかえ5分ずつ音読しているのだが、たまたまここに来て何冊か読み終わり、さて次は・・・と考えているうちに、今年は三島没後50年で映画も見たし、読本も数々出されているので、音読教材に入れて改…

「先生」と言われるほどの馬鹿でなし

僕の大学時代のゼミ教官にして今の勉強会で僕らを指導してくださるY先生は、僕の学生時代から今に至るまで首尾一貫して「先生」と呼ばれることを頑なに、その都度拒否されてきた。だからかな、「先生」と呼ばれることに何の抵抗も示さない人を僕はどこかで信…

ネチケット(?)は守ろう(2021年1月)

①いきなりメッセージもなしにお友だち申請くる。 ②「金融翻訳者の鈴木立哉と申します。〇〇様は私あてにお友だち申請をされましたでしょうか?(時たまついうっかりボタンを押して、という方がいらっしゃいます)。もしそうであれば自己紹介をお願いしてもよ…

クリスマスプレゼント

「「あ~、た、た、大変だ~!!!」「どうしたのお父さん?」「今日でおしまいなんだー!!!」「何が?」「木場のTOHOシネマズでやってた『罪の声』、今日が最終日なんだ。年間100本見る(ご近所にお住まいの)Kさんが『これは時間を忘れますよ。星野源の…

外出禁止

「お母さん、今週か来週のどこか昼間に『罪の声』か『awake』観に行ってもいいかな?」「お父さん、どうしてお父さんは、こういうときに、そういう判断を私に任せるの?子どもじゃないんだから、責任転嫁をしないで、自分で考えてよ」「はい、分かりました。…

所作のよいお店

先週の木曜日(17日)は丸の内のレストランで食事会。 メンバーは3人。金曜日を避けたのは、やはり週末からは遠い方がよいと思ったから。1週間前にレストランに(食べログで)予約の際「できれば6人用テーブルにしてほしい」と書いておいた。前日、予約確認…

型とルーティンー最近出会った言葉から

最近出会った言葉から。 ①「琉球舞踏の有名な舞踏家の方の『半分は型を覚えるために練習して、あとの半分は型を忘れるために練習する』という言葉に非常に感動したことを覚えています。型があることすら忘れるぐらい型を体にたたき込んで自由が初めて生まれ…

最高の「クラス」は優れた教材の熟読と暗記

最近、翻訳ストレッチで英作文の時間を毎日10分取るようになって思い浮かんだ仮説。「限られた時間(たとえば毎日30分)で会話力(英作文力)をつけるには、どんな英語クラスや会話レッスンを受けるよりもよくできた教科書を覚える方が効率がよく、はるかに…

『英文標準問題精講』の生かし方(こういうクラスがあったらいいな)

日々、『英文標準問題精講』をはじめとする英文解釈の参考書で学びながら(紙に書いて訳し、解説と解答を見ながら添削し、その後5~10回音読する)意を強くしているのは、英語の訳読の勉強って「学生が訳して教師が添削する」よりも、②「学生がまず訳し、そ…

自己添削の教育効果は高い(2020年12月9日)

日々、英文解釈の参考書で学びながら意を強くしているのは、①「学生が訳して教師が添削する」よりも、②「学生がまず訳し、その学生自身が模範解答(あるいは試訳)と解説を読みながら自己添削する」方が教育効果が高いのではないか、ということだ。 では②に…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの④:ネイティブチェック(2020年12月)

ホームページの翻訳(和文英訳:ただし訳すのはネイティブ翻訳者で、僕はPM)を受注すると、参考資料として別ページの英訳をいただくことがある。 「ネイティブチェック済みです」と言われて見ると、あきらかに「てにをは」的なチェックしかしていない、いや…

細かいケアで30~50万円は安いか、高いか(2020年11月30日)

最近、豪華な教室と日本人コーチによる細かいケアを売りにする英会話教室が増えてきているという印象(僕が興味本位でクリックしたからかも)。料金は1コース30万円~50万円で「(2~3カ月で)結果出します」というのが共通コンセプト。(A) その一方で「ワ…

Is Paying 300,000 to 500,000 Yen for Detailed Care Worth It? (November 30, 2020)

Recently, I've noticed a surge in high-end English language schools boasting luxurious classrooms and meticulous care by Japanese coaches (perhaps because I clicked out of curiosity). These courses charge between 300,000 to 500,000 yen, wi…

「当社のホームページを英訳して下さい」:ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの③)(2020年11月)

「当社のホームページを英訳して下さい」 と依頼してくるお客様に抜けがちな視点が二つある。 ①英訳する英文のほとんどは「翻訳」としてではなく、英米人の読者向けの会社のメッセージだという点。したがって、内容によっては「英文の元となる日本語」の修正…

息子から奢られる

昨晩は息子(社会人1年生/在宅勤務のサラリーマン)と食事に行ったら何とご馳走してくれた。 初めて。 期待していなかっただけに感動したのですが、勘定の時に「領収書お願いします」と言ったら「自営業者はしっかりしてるねえ」と(半ば)呆れられた。

感謝祭

(1)この前の日曜日(22日)「お母さん、今日は何の日だか知ってる?」「え?3日前がHの誕生日で家族でお寿司屋さんに行って、明後日があたしの誕生日だから日本蕎麦のH川に行くでしょ。で、来月はお父さんの誕生日だから当然飲みに行くわよね・・・で今日…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの②:誰のための英文?

現在、某サービス会社(A社)のホームページ/パンフレット/取扱説明書/利用規約等の和文英訳をほぼ全面的に請け負っている(最初にコンタクトいただいてから2年ほどになる)。 今、サービスの利用規約の英文をチェックしているのだが、それでつくづく思う…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの①:ホームページ情報管理統括責任者を置くべき時代

僕の本業は金融翻訳(米国のマクロ経済や市場動向に関する英文和訳翻訳)なのだが、取引先の関係やご紹介で企業のホームページ翻訳(和文英訳)を請け負うことがある。2~3年に1回ぐらいだろうか。 むろん、受け取った日本語を英語に翻訳するのは僕ではなく…

実務翻訳(産業翻訳)サービスのあり得べき姿(2020年11月)

実務翻訳って、翻訳を切り口にお客様の文書全般に適切なアドバイスを提供するサービスだとつくづく思う。そのことを自覚している翻訳者はいったいどれだけいるだろうか。

主婦の仕事

「おとうさ~ん、洗濯物取り込んでくれる~?」「は~い」と片付けながらつい「めんどくせーなー」と言ったら「お父さん、お父さんが面倒くさいことは私も面倒なのよ。主婦の仕事って、そういう面倒くさいことの積み重ねなの」と言われてぐうの音も出なかっ…

翻訳について語ることの難しさ(おまけ)

さっきの鴻巣さんのエッセイに関する文章で「訳文として表出するかどうかは、ソース言語(原文)とターゲット言語(訳文)の文化的背景の違いによると思う(文芸とノンフィクションで違いはあるかもしれない)」と書きましたが、分かりやすい例を挙げて若干…

翻訳について語ることの難しさ

この記事について思ったことを二つ。 ①(以下引用)A pleasant if awkward fellow, Hatoyama was Japan’s fourth prime minister in less than three years and the second since I’d taken office ー a symptom of the sclerotic, aimless politics that had…

入社以来初の出社

今年新入社員の息子は入社以来(入社式も含め)ずっと在宅勤務だったのだが、今週から週1(毎週火曜日)出勤となった。10時30分から15時がコアタイムになるので「ラッシュアワーは避けられるね」と言っていたら、本日は7時に家を出た。会社の最寄り駅には8時…

マスク美女

「最近は美人とすれ違うことが多いなあ」と思っていたのだが、ああそうかマスクしている人が多いからか、と何となく腑に落ちた。 ・・・という書き込みをお友だち限りのフェイスブックにしたら、すかさず「わたしも最近よくイケメンとすれ違うと思いました」…

同調圧力(2020年10月)

「お父さんって同調圧力に屈しにくいタイプよね」「ああ、そうかも。むしろ嫌いだなあ」「世間の圧力なんて気にしないもんね。自分は自分だよね」「まあな」(・・・この文脈は俺を持ち上げる方向だと思っていたんだが)「そもそもお父さん、世間はどう考え…

在宅勤務のよしあし(2)―お化粧代(2020年10月17日)

「いや、本当に在宅勤務は楽だわ」 この3月からず~っと在宅勤務のお客様Lさんと久しぶりで電話で話した。彼女の会社は社員全員在宅勤務。宴会等も、公私問わず一切禁止である。 「ウチの子ども(今年度からの新入社員。入社以来の在宅勤務が続いている)も9…

空いていたポケット

今朝のこと。 散歩する僕の50メートルぐらい前をお婆さんが歩いていた。歩き方や髪の毛の感じから80歳ぐらいじゃないかな。ちょっと頼りない足取りで小さなナップザックを背負っていた。 ふと見ると、サブポケット(後ろの小さいポケット)のチャックが空い…

お婆さんのナップザック(2020年10月)

今朝のこと。 散歩する僕の50メートルぐらい前をお婆さんが歩いていた。歩き方や髪の毛の感じから80歳ぐらいじゃないかな。ちょっと頼りない足取りで小さなナップザックを背負っていた。 ふと見ると、サブポケット(後ろの小さいポケット)のチャックが空い…

翻訳ストレッチ内訳(2020年10月時点)

試行錯誤をしながら10年ぐらい続けている翻訳ストレッチ。「こういうプログラム」とキッチリ決めているわけではなく、その時々の問題意識に合わせて随時内容を変更してきました。ここ半年で一番大きかった「変更」は「手書きを重視する」ことで、しかも英文…