金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

because、since、as、そしてforについてのまとめ(翻訳ストレッチの教材から)

「sinceを使えばある理由を開陳して『さぁどうだ』と構える感じがする。becauseよりはやや弱い」(佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)p118)

・・・という解説文を読み、よい機会なのでbecause、since、as、そしてforについて手元の参考書で整理してみた。感覚をつかむために典型的な例文もいくつか紹介しておく。以下「」で囲んだ部分はその後に出典が示している書籍からの引用(一部省略)である。なお、同じような説明はなるべく省いたので、引用部分に関心を持たれた方は直接出所の書籍を読んでほしい(下線はすべて鈴木)。


「(because)
Thea parade was called off because it rained(=because of rain.
(雨が降ったので、パレードは中止になった)。
(as)
As the elevator was not working, we walked up the stairs.
(エレベーターが動いていなかったので、階段を歩いて上がった)
(since)
Since the blouse wasn’t very dirty, it just needed a rinse.
(ブラウスはあまり汚れていなかったから、すすぎ洗いだけでよかった)」
(*ここまでは江川泰一郎著『改訂三版 英文法解説』p387)
「(for)
I know he is reliable, for I have traded with him for years.
(彼が信頼できることは承知している。というのは長年の取引相手だからだ)」(『改訂三版 英文法解説』p379)

(1)Because とsince, as
①「asはその多様性のために、理由・原因を表す気持ちが最も弱い。またsince は相手も知っていると思われる事実について使われる。そのためにasとsinceは(・・・またforも)Why・・・?の疑問文の答えにも使われないし、分裂文(Cleft Sentence)にも使うこともできない。つまり、次の文にはbecauseだけが適格である。

It was because I was ill that I was absent. (欠席の理由は病気でした)」(『改訂三版 英文法解説』p387)

②「一般に伝えられるべき情報の最も重要な要素は文の末尾のほうに置かれるので、becauseはふつう主節の後に置かれ、asとsinceの節は多く主節の前におかれる」(中原道喜著『新マスター英文法』p531)

③「理由を新たに最も明確に示すのはbecauseであり、[読み手]にすでにわかっているだろうと思われることを理由として持ち出すのがsinceである。asは『~と同時に』など、まったく別の意味に用いられることが多いので、意味があいまいになりかねない」(綿貫陽、マーク・ピーターセン共著『表現のための実践ロイヤル英文法』p242)

(2)Because (従位接続詞)とfor(等位接続詞)
「①becauseはasやsinceと同じく従位接続詞であり、主節に先行することもあるが、forは等位接続詞であるから、andやbutと同じく常に他の等位節の後に置かれる(鈴木注:したがって、forが理由の意味で使われる場合は、文頭に来ることはない)
②forは(鈴木注:話者の)推量の根拠としての理由を表すことがある。
(a)He must be ill, for he looks pale. (正)
(b)He is ill because he looks pale (誤)
(c)He looks pale because he is ill (正)」(鈴木注:下の⑥を見よ)
(①と②は中原道喜著『新マスター英文法』p525)

*ここで、等位接続詞とは「対等の関係にある語・句・節を結びつける接続詞:and, but , or, for, etc.」で、従位接続詞とは、一方が他方に従属する二つの節を結び付ける働きをする接続詞:when, where, if, as, because, whether, that, etc.」(いずれも『新マスター英文法』p519)。becauseとasとsinceは副詞節を導く従位接続詞ということになる。
「③forは改まった文章語で、交互では通常用いないが、becauseはどちらにも用いる。
④because~は文頭にも置けるが、for は連結する二つの節の間以外には置けない(鈴木注:これはforが等位接続詞だから)(なお、等位接続詞forが文頭に来る例をしたのブログで挙げた)。
⑤for は、あとから思いついたようにして理由や説明を追加する場合に用い、その前に述べたこととの密接な因果関係はないが、because は明確な因果関係の意味を含む。
⑥becauseはある事実の原因を言うのに用いるが、for は自分の考えの根拠や説明を与えるのに用いる。たとえば「暗くなってきたから雨が降るだろう」では「暗くなってきた」は、「雨が降るだろう」という自分の考えの根拠を示すのであって、「雨が降る」との直接の原因ではないから、ここではbecauseは使えない。
(d) It is going to rain, for it is getting dark.とする。」(正)
(e) It is going to rain because it is getting dark.  (誤)は誤り。(上の(a)~(c)を見よ)
(杉山忠一著『英文法詳解』pp591-592)

(3)sinceとbecause
「『なぜならば』を表す接続詞にはsinceもある。こちらは主に旧情報を伝えるときに用いられる。sinceの直訳を『ご存知のように~だから』と覚えておくとよい。ということは、Why~?と聞かれてSince SV・・・と答えるのはおかしいとわかるだろう。相手は理由をしらないのだから『ご存知のように』というのは辻褄が合わない。そして、since節は相手も知っていそうな旧情報だからこそ、ふつう文頭に現れる。これがbecauseとの違いである」(小倉弘著『例解 和文英訳教本』p230)

(余談)
冒頭の引用文は次のような英文と訳文に対する解説だった。
(原文)He was born to action ,and active people, being driven by a force stronger than themselves, seldom grow bitter, since bitterness can be borne[e] only of indolence and inactivity and brooding.
(訳文)彼は行動すべく生まれついていた。行動型の人は、なにか自分より強い力に駆り立てられているため、とげとげしくなることはまれ。それは怠惰、無為、そして憤懣からのみ生まれるものだからだ。(『新訂 英文解釈考』(金子書房)p118)

この難しさの原文(と訳文)だとasの意味を考える前に英語と日本語にとらわれてしまうため冒頭に置くのをやめた次第。

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