金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「ロシア経済はこれからどうなるか」を考える上でのヒント

以下は、たまたま今朝読んだ書籍からの引用です。今、ロシア経済が置かれている状況はこの時よりもはるかに厳しいのではないでしょうか。だってソ連崩壊後の数年間は、とりあえず「平和」だったのに対し、今のロシアは戦争状態にあるのですから。 今後を考え…

「民主制は守る人がいないと自壊する」:出会った言葉:2年前~6年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(243)

(1)2年前の今日① 多くの人が幸せになりたいと思っている。そして、そうした思いをもっている人は遠い将来、自分が幸せになっている姿を容易に想像できる……しかし、だからといって幸せになるための努力を怠ってしまっては、不幸になるだけである。(樋口収…

「この、クソじじい!!」と言われたお話

昨日は父の命日で、妻と二人で墓参りに(コロナ禍なので、母と妹夫妻は別々に行った)。その帰途での出来事である。 ある交差点の横断歩道を歩いていると歩行者を待っている車があった。別にどうということなくその運転手と目が合った。 僕の目つきが気に入…

サービスにタダはない。

以下は、3日ほど前にお客様に送ったメール(編集済み)の一部である。 (ここから)なお、昨日お尋ねいただいた追加の件についてお答えさせていただきます(今朝お電話申し上げたのはこの件です)。 私どもとしては、ご依頼を①追加の翻訳依頼であれば文字数…

「自動人形」にならないために(『100分de名著「ル・ボン 群集心理」』から)

出会った言葉:(以下引用です)わかりやすく導かれた正解や、正論とされている言説に対しては、「本当にそうなのか」「それで本当にいいのか」と、しつこく問い続ける。……「わかりやすさ」の蔓延に対して「わかりにくさ」を許容する。繰り返し目にする主張…

「『思いっきり楽しむ、ゲームを楽しむ』っていうことが今の自分の仕事だって思います。― 梅原大吾さん(プロゲーマー)」:2018~2020年の今日(3月23日)に出会った言葉

(1)2020年3月23日 日本語にない発想を理解して訳そうとするときには、「英語→日本語→事柄」という手順ではなく、「英語→事柄→日本語」という順序をたどらねばならない。(伊藤和夫著『英文解釈教室(改訂版)』(研究社)p17) *本日の言葉:先週後半から翻…

「自分が夢中になれることを見つければ、壁に立ち向かうことができる」イチロー選手:2018~2021年の今日(3月22日)に出会った言葉

(1)2021年3月22日 ·「すばらしいアイデアを得るには、時間がかかるということを学んだ。考えて、試して、実験し、失敗して、次はやり方を変え、また試して失敗して、という具合にね。結果が出るまで、とにかく時間がかかる。かかった時間と忍耐。新境地を…

NHK日曜討論「増え続ける犠牲・避難 ウクライナ危機打開は」

始まってしまった戦争を、攻められた側は徹底抗戦すべきなのかどうか、今の所当事者ではない僕たちはどうすればよいのか、について考えるヒントをもらった番組。 NHK日曜討論「増え続ける犠牲・避難 ウクライナ危機打開は」(3月20日) KHさん(国際政治学者…

「勇気とは無茶をすることではなく……」:出会った言葉:3~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(240)

(1)3年前の今日勇気とは無茶(むちゃ)をすることでなく、情報を積み重ねて判断する力だと思っている。(伊藤雅俊「私の履歴書」本日付日経新聞) www.nikkei.com (2)4年前の今日世の中には面白い会社と面白くない会社があるわけではなくて、それを面…

「仕事にかかるのは気迫だが、仕事をし終えるには諦めが必要である」:3月16日に出会った言葉

(1)2024年3月16日「うまく言えないことの中にこそ、真実がある」頭木弘樹さん(「口の立つやつが勝つってことでいいのか」2024年3月16日付朝日新聞読書欄)2021年3月16日 (2)2021年3月16日)……聴衆から「日本語には、複数形と単数形の区別もないし、女…

「個人的には反対だったが決まった以上は従った」:2019~2021年2021年3月15日に出会った言葉

(1)2021年3月15日「個人としては別だ」「それが世論だ」という言い方で個の責任を免れようとする無責任な集団主義は、はたして克服されたのであろうか。昭和50年(1975年)8月16日(「英霊の声」『深代淳郎の天声人語』(朝日新聞社)p162)*普段は日経の…

「今日はパイ(3・14)の日」:2018~2019年今日(3月14日)に出会った言葉

(1)2019年3月14日今日、3月14日はホワイトデーだが、米国ではパイの日。アップルパイが店頭にならぶ。その心は、3.14が円周率、つまりπだからである。……人類が世界を捉えるために編み出した思考法を学ぶこと。つまり数学を学ぶことは文化史を学ぶことでも…

通訳者は、小説を映画化する映画監督のようなものである:2018年~2020年の今日(3月12日)に出会った言葉

(1)2020年3月12日人間の生理的なもの、日常において皮膚が感じるものをとても大事にして、例えば飲む、食べる、挨拶するという当たり前のことで“人間”を表現する―それを森繁さんで見てしまったものだから、その面白さに目覚めてしまった。(『希林さんと…

DeepLのハイブリッド利用法

クルーグマン氏のエッセイを英語で読んでいくとところどころ分からないところがある。その原因は主に僕の英語力にある。そして、クルーグマン氏ぐらいの書き手になると、皮肉や諧謔をかましてきてそれについて行けないところが良く出てくる(こちらも要する…

ビジネスに役立つ経済金融英語 第9回:Reskilling

ビジネス英語教育界をリードするQ-Leap様連載の9回目。 ここに来てググッとバズワード化した言葉のご紹介です。 Reskilling. この手の言葉や考え方は英米から2~3年後れぐらいで、今後もっと広がる可能性もありますが、日経新聞がつけた日本語の訳語(また…

「コツに頼らないこと」:出会った言葉:本日~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(235)

(1)本日①コツに頼らないこと、いつも白紙に戻すことが、大事だと思っている。松本隆(鷲田清一「折々のことば」2022年3月10日付朝日新聞) 折々のことば:2315 鷲田清一:朝日新聞デジタル②「やり直しを嫌ったら、よい仕事はできない」(三浦綾子「北…

14年ぶりにトイレを交換

先日(3月1日)、トイレの便座(ウォシュレット)を14年ぶりに交換した。 「あの~ノズルの掃除はどうやってすればよいのでしょうか?」と尋ねたら「不要です。今はもう」と言われた。つい先月、ノズル専用洗剤を買ったのに。「耐用年数はどれくらいで?」…

「通訳者に求められるのは確度(accuracy)ではなく、精度(precision)だからです」:出会った言葉:本日、3年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(234)

(1)3年前の今日……accuracy(確度)とは、測定、または計算された量が実際の(真の)「値」とどの程度近いかを示す尺度を指し、precision(精度)とは、複数回の測定や計算の結果が互いにどの程度近いかを示す尺度のことです。この概念は、通訳者になった…

「辛さはときに愚かということの裏返しだ」:3月7日に出会った言葉

(1)2022年3月7日小説家を目指すと家族に伝え、書店員として働き始めた時、あまり反対されませんでした。後になって理由を聞いてみると「ずっと書いていたから。なれると思っていた」。「やりたい」と「やっている」では見られ方も違うということ。(「進…

訳者から上がってきた翻訳原稿

あるビジネス書の翻訳での話。同じ著者による同じテーマの本が何冊かすで出ていて、訳書を参考として渡されていた。訳語、言い回しともに大いに参考になったので、編集者と会話した時に、 「あれ、大いに助かってますよ。訳文も読みやすいし・・・」 と言っ…

戦争は「逃げろ」が基本

命がけで侵略者に対峙している人たちに「ああすべき、こうすべき」と言う資格は僕たちにはない。ただ、この結果についてはこう思う。「ウクライナ兵士の皆さん、よくぞ無駄な戦闘を避けて逃げてくれた。立派です。ご苦労様。あとは外交に任せろ」。 ロシアは…

作者の生没年

毎朝、『声でたのしむ 美しい日本の詩 (岩波文庫別冊)』の音読を始めてから1カ月強。5分のうち前半を和歌・俳句(大岡信選)、後半を現代詩(谷川俊太郎)に振り分けて1、2ページを音読して、選者の解説を読むのだが、明治大正以降の詩歌を読むと、つい…

近くなった戦争

昔は情報が少なかったこともあって、国と国とが戦争すると、国民同士が憎み合っていたような気がする。今は多くの人々が為政者と国民を分けて考え、ロシア国民も気の毒だと思えるようになっているのではないか。これも数少ない救いの一つかも。 それと、昔は…

「割り切った仕事ならたやすいが、思い入れるとぐっと難しくなる」:3月5日に出会った言葉

(1)2022年3月5日「価値」と「使用価値」も、言葉が似ているので混乱しそうです。でも、全く別物であることは、空気のようなそれなしに人間が生きることのできない使用価値の大きな者が無料である一方で、ダイヤモンドのように使用価値の小さな物が、非常…

「前例がそもそもないのだから、失敗しようがない。やろう」:3月4日に出会った言葉

(1)2020年3月4日「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」ハーバード・サイモン(ノーベル経済学賞受賞者)(楠木健著『室内生活 スローで過剰な読書論』p168、晶文社)*本日の言葉:筆者はこの言葉を紹介した後で、人間の脳のキャパシティがよほど大きく…

「『日本人の英語力を放置できない』TOEICの価値は? "不要派"茂木健一郎が吠える」のビデオを見て

モリテツさんは、TOEICの専門家として、まず「そもそもTOEIC800点って、どの程度の学力の人が、どの程度の時間をかければ取れるものなのか?」という点を解説すべきだったと思う。すると、800点を入社条件にすることが全然たいしたことないこと、TOEIC至上主…

「苦しい時ほど、しっかり語るべきだ」:2018年~2021年の今日(3月2日)に出会った言葉

(1)2021年3月2日『浮き世の画家』のオノや『日の名残り』のスティーブンス、『わたしを話さないで』のキャシーは皆、「あなた(たち)」という聞き手に語りかけている。しかし、……邦訳では削除されている。読み易さや、翻訳とは感じられないことを良い翻…

「翻訳ソフトには苦手なことがいくつかある」:出会った言葉:本日と3年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(229)

(1)今日翻訳ソフトには苦手なことがいくつかある。たとえば時間がたつにつれて言葉の意味はかわっていくのにそれを文脈から読み取れないことである。(多和田葉子「白鶴亮翅(はっかくりょうし)」2022年2月25日付朝日新聞)*先週の新聞連載小説から。…