金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

譲歩を表すletの命令形(翻訳ストレッチの教材から)

「ひとりは孤独ではない」というタイトルの文章から。

A man thinking or working is always alone, let him be where he will.
(原文に即した訳)どこにいようと、人間はものを考えるのも作業するのもいつもひとり。
(モデル訳文)どこにいようと、考えるのも働くのもしょせんはひとり。
(letに関する解説)譲歩をあらわす命令形「どこに行こうと」

Let them say what they will, I will stand by him.
(連中が何と言っても、私は彼に味方する)
(柴田耕太郎著『翻訳力錬成テキストブック』p150)

letの命令形のこの用法、よく見るようで何となく曖昧にしてきた感があり、改まって読むと分からなかったりする。

文法書では次の解説があった。

[Letを使う命令文]
命令の意味が転じて、a)譲歩や b)仮定を表すことがある。
a) Let him say what he likes, I still believe we were right to act as we did.
(彼が何と言おうとも、私たちの行動は正しかったと私は信じている)
b) Let line AB be equal to the line CD. (線ABを線CDと等しいと仮定しよう)。
(江川泰一郎著『改訂三版 英文法解説』p457)
なお、この用法は『新マスター英文法』『実践ロイヤル英文法』『英文法総覧』『英文法詳解FOREST』『完全マスター英文法』のどれにも見当たらなかった。

a)の用法は辞書でも見つからなかった。b)の用法は、
Let the two lines be parallel. 2 本の線が平行であると仮定せよ.(『リーダーズ・プラス』「 [命令法に用いて勧誘・命令・許可・仮定などを表わす]」)
Let AB be equal to CD. (AB は CD に等しいと仮定せよ)(『新英和大辞典』*研究社の辞書はいずれもKOD)

は見つかりましたが、a)の用法は見つからなかった。また仮定の用法については、命令形の延長なので「明確に区別しては」頭に入らないかも。