金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2022-01-01から1年間の記事一覧

ワクチン狂騒曲(小田嶋隆文章教室に提出した課題作文)

昨年お亡くなりになった小田嶋隆さんが(恐らく)最後になさった文章教室(オンライン)に参加していた。その教室は6回の講義を受けた上で(確か)自由題、量も自由の作文の提出が求められていた。課題を提出した数カ月後に小田嶋先生がお亡くなりになられた…

3年前~5年前の今日に「出会った言葉」

(1)2019年の今日「井の中の蛙大海を知らず、されど空の深さを知る」。……面白いのは、これが日本バージョンであるということだ。中国発のオリジナル版が日本に来て、「されど空の深さを知る」というオチが新たに付加されたという。(『室内生活 スローで過…

「人はチャレンジして失敗して恥ずかしくても、死ぬことはありません」 12月17日に出会った言葉

(1)2020年の12月17日 労働における諸問題を「個々人の意欲」みたいなもので解決する方途を主張している人間は……「本人にやる気があれば、紙の鍵盤で練習していても一流のピアニストになることができる」みたいなお話でしょ?それって格差の全面肯定だよ。…

翻訳ストレッチを続けている理由/The Reason I Continue 'Translation Stretch"(December 17, 2022)

昨日、お世話になっているQ社の忘年会に出席したところ、お向かいに座った社長のAさんが僕を別の方にご紹介いただいた中で、「鈴木さん、翻訳ストレッチの努力をずっと続けられて・・・」とお褒めの言葉をいただいた。その話をお聞きしながら、僕が続けてい…

訳者、著者、そして(たぶん)編集者にできるはずの、ささやかなこと(2022年12月11日)

本日の読売新聞書評欄の件を僕に教えてくれたのはツイッターで私の書き込みをご覧になってくれていた方で、本書の関係者でこの書評の事を知っている人は今朝の午前6時過ぎ段階では誰もいなかった。 @tatsuyaakiko おはようございます。本日付読売新聞朝刊文…

オンライン英会話をほぼ2カ月(体験レッスンも含めて)経験して(感想等)

(感想)1.始めてよかった。手頃な値段で毎日英語を話すのは実に気持ちがよい。特に僕の場合英日(英語から日本語)翻訳ばかりを20年続けてきたからかもしれないが、1日に1度、人間相手に「英語で」アウトプットする、意思疎通するという活動はかなりの快…

ビジネスに役立つ経済金融英語 第16回:「ターミナルレート」と「ピボット」

12月(13~14日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、ここ数週間で急速にバズワード化している言葉をご紹介します。原稿執筆時(11月19日)には75bp利上げが優勢かと思われましたが、現時点(11月30日)では50bpが有力の模様です。基本用語の復習にお役…

Webホームページ翻訳上の悩ましい問題(どの会社にもあり得ることです)

現在、某サービス会社(A社)のホームページ/パンフレット/取扱説明書/利用規約等の英訳(原文は日本語)をほぼ全面的に請け負っている(最初にコンタクトいただいてから2年半になる)。(ちなみに英訳案件の時は僕はプロダクト・マネジャー(ネイティブ…

TOEFLは面白い

TOEFL(リーディング)はとても良い。36年前はただただ高得点を狙うための対象だったので気づかなかったが、今改めて問題文を読むと、米国で高等教育を受けるための基礎(語彙や背景知識)を身につけているかどうかを慎重に図っている試験だということがよく…

「……魔法はないんです。地道な作業です」 映画監督 是枝裕和さん(11月13日に出会った言葉)

(1)2020年11月13日1日の睡眠時間が6時間以下の人は、普通、働きもので野望家で社交上手で、決断力があり、政治的には保守的な型が多いそうだ。反対に一日9時間以上の睡眠が必要な人は批判的、懐疑的で、自信に欠けるが、創造的な仕事師は、この型の中から…

飲み込んだ違和感(2022年11月13日)

先日、学生時代の友人たちとの食事会で乾杯の後一皿目が出てきた。そこで「最近さ~、料理をパチパチ写真に撮ってSNSにアップしているバカ多いじゃん。あれ何のため?ミエ?リア充自慢?ほ~んと理解できん。興ざめするよなあ・・・」と言おうと思ったら、「…

私の和英翻訳(日本語→英語)が英和翻訳に比べて高い理由。(2012年11月)

問い:なぜ私の和英翻訳は(英和翻訳に比べて)値段が高い(ほぼ2倍)のか? 答え:①二人がかりで訳しているから(ネイティブがまず訳し、次に私が随時お客様とコミュニケーションを取って日本語と英語のズレを修正する)。②英語のわからないお客様が、英語…

翻訳ストレッチの内容変更

英文解釈のテキストについては、これまではあまり深く考えずに「場当たり的に」、自分に役立ちそうだなと思ったものを購入しては使っていましたが、今月からオンライン英会話を始めたのを機に翻訳ストレッチの内容を少し整理し、組み換えることにしました。 …

ラブストーリー

以下は、昨晩、あるドラマを2回(3回後れで)見た後の会話である。 「しっかしさ、紬(川口春奈)は想(目黒蓮)と会うことを弟には言ったのに、なんで湊斗(鈴鹿央士)には言わなかったわけ?」 「そうよね~」 「やましいところがないんだったら、過去のこ…

オンライン英会話無料体験レッスン体験記③ ビアノのレッスンに似ている(2022年11月4日)

オンライン英会話の無料体験レッスンをこれまで5回(A校で2回、B校で3回)経験して実感するのは、ピアノのレッスンに似ているということだ。 レッスンだけでは上達しない。日頃の練習の成果を出し、先生から軌道修正の提案を受け、それに基づいて再び練習す…

オンライン英会話無料体験レッスン体験記②「自分の方ができるかも?」と思った瞬間

僕は英語の分かる相手に対して英語を話す機会を増やしたいと思ってオンライン英会話のレッスン取ろうとしている。だから、相手がネイティブでなくてもよいと思っていたのだけれど、今日のレッスンの最中に一瞬、「もしかしたらこの先生よりも僕の方が英語が…

オンライン英会話無料体験レッスン体験記(受けながらの感想です)

この2週間で、A校(無料体験2回)、B校(無料体験10日。その後初月の授業料は1000円)の体験レッスンを受けての感想を書いておく。随時更新していく。 現状:オンライン英会話の無料体験、2校目B校の2日目が終わり、本日(2022年11月2日)3回目のレッスンと…

『ベンチャーキャピタル全史』をご紹介いただいたメディア

出版からそろそろ3カ月。本書に関しては日本経済新聞、読売新聞をはじめ、さまざまなメディアで取り上げられました。感謝と (1)日本経済新聞 書評(2022年12月3日)*有料記事です。 www.nikkei.com (2)読売新聞の書評(2022年12月11日)*公開されて…

オンライン英会話無料講座体験記(2日目)(2022年10月31日)#オンライン英会話

オンライン英会話の無料体験、2校目の2日目。 1校目は2レッスン無料で、あらたに申し込まない限り進まない。 2校目のこちらは最初にクレジットカード番号を登録し10日間無料。その間に解約しなければ自動で翌月の授業料が発生するが、初月は1000円(1日ワン…

翻訳ストレッチを全部やると2時間(2022年10月19日)

翻訳ストレッチを、自分なりにやるべきことを全部すると120分ぐらいかかることがわかった。しかしこれは長すぎる。ちなみに僕は、翻訳ストレッチの前に、その準備としてTimeを20分読んでいる(ただしその分だけ早く起きられた時だけなので、実際には週に3~…

『ベンチャーキャピタル全史』ができるまで

私は、ブログでは、「後になって振り返る」のではなく、「この先どうなるかわからないけれどもその時にどう思っていたか」のビビッド感を大切にしています。 『ベンチャーキャピタル全史』についても、リーディング(出版社が翻訳権を取りに行くかどうかを判…

自分で書いて訳して自己採点する(2)。(翻訳ストレッチの教材から)

訳してみよう。紙と鉛筆を持って! (原文1)Egbert died, and Harold was the only son that she had to love.(原文2)Samantha is too ready to make promises.(原文3)In some parts of the world, it is perfectly in order to discuss each other's…

「脱サラする友人に書いたメモ」(2018年10月)

以下は先日、某社を早期退職してフリーランサー(セミナー講師業)になりたいと言ってきた友人に送ったメモ(固有名詞以外はほぼそのまま)。 年齢はほぼ僕と同じ、お子様方の教育も終わって経済的に切実なプレッシャーがあるわけではない。ただ、スタッフ部…

自分で書いて訳して自己採点する。(翻訳ストレッチの教材から)

(原文)Victorian society judged women much more than men according to their attractiveness to the opposite sex and the attention they paid to their personal appearance.(訳文)ヴィクトリア朝時代の社会では、男性よりも女性のほうがはるかに、…

総称のtheについてのメモ(2):総称のaやtheはふつう目的語には使わない(翻訳ストレッチの教材から)

以下は小倉弘著『冠詞のトリセツ』(かんき出版)p105から。 「私は犬好きです」に相当する英文はどれか。 (a) I like dog. (b) I like a dog. (c) I like the dog. (d) I like dogs. (e) I like the dogs. 小倉さんは、正解は(d)だとした上で、「aやthe は…

多義語の難しさ(face) (翻訳ストレッチの教材から)

(原文)The difficulty Americans have in understanding 'face' in Japan stems largely from the emphasis placed by American values on the individual.(訳文)日本の『体面』というものをアメリカ人がなかなか理解できないのは、主にアメリカ的な価値…

「カレー」( 2022年10月5日)

「いったい、いつから痛くなったのかなあ」 実は昨日腰が痛くなった。普通は「きっかけ」がわかるものだが(その最たるものはギックリ腰)、昨日はいつの間にか痛くなっていて夕方シップを貼った。 「それはお父さんカレーよ」「え、カレー?」「加齢よ。加…

「渥美清は、元気かい」

以下は、2022年9月17日の朝日新聞朝刊に載った山田洋次監督の文章から。寅さんシリーズが7~8作目まで来た時に、まだ続けるかどうかを尋ねた山田監督に渥美清さんがこう答えたそうです。 「5作目を封切った頃、私が東京駅のホームで遅い時間に電車を待って…

「ビジネスに役立つ経済金融英語」第14回:ウェルビーイング Well-being

ビジネス英語教育を実践されているQ-Leap様連載「ビジネスに役立つ経済金融英語」の第14回がリリースされました。 今回のテーマは「ウェルビーイング Well-being」。ご存知の方も、ご存知ない方もどうぞ! 英語をそのままカタカナ読みにした事例の紹介です。…

高校の同期会で『ベンチャーキャピタル全史』をセールス

昨日は高校の同期会。22日に『ベンチャーキャピタル全史』が出たので、近況報告の時に宣伝してもよいかと幹事にお願いしたらどうぞどうぞと。 今週号の『週刊新潮』に出た堀内勉さんの書評(A4で1ページ)を出席者全員分コピーして持っていくと参加者用資料…