金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「実は、やさしいと思われている『働き』中心の単語こそ重要でむずかしい」2018~2020年の今日(3月26日)に出会った言葉

(1)2020年3月26日  
実は、やさしいと思われている「働き」中心の単語こそ重要でむずかしいのであり、意味を中心とする単語をそれらが一定の約束に従って縫い合わせるところに文章の不動の意味が生まれるのである。
伊藤和夫著『英文解釈教室』「第3章that節」p36)

(2)2019年3月26日  
……数カ月ごとに会うようになったが、回数を重ねるにつれ、いくつかの事に気付く。「時間を絶対に守る」「メールの返信がとてつもなく早い」「ステータスや損得で人を判断しない」。つまり相手に対し誠実なのだ……。

誠実とは「私利私欲を交えず、真心をもって人や物事に対すること」だと(ヤマザキマザック山崎智久社長は)言う。私も誠実を心がけているが、常に私利私欲を交えずに行動しているかと問われると、答えはもちろん「NO」だ。買いもしない宝くじが当たれば良いなと考えている自分が情けない。 
(誠実を学ぶ 古里龍平 「交遊抄」 本日付日本経済新聞

(3)2018年3月26日  
俺は息をしているだけ (高橋秀実の従兄)
・・・(中略)・・・ この謙遜の言葉にふれて、以降、生きている間ずっとしているのは息で、「生きがい」や「自己実現」はオマケみたいなものだと思えるようになり、人生がグッと楽になったという。
 (本日付朝日新聞「折々のことば」より)

「破れた武蔵丸になぜ触れないのか」是枝裕和さん:2018~2020年に出会った言葉

(1)2020年3月25日  
当時の首相だった小泉純一郎さんが「痛みに耐えて、よく頑張った。感動した!」と叫んでトロフィーを渡した。それはそれでいいけれど、破れた武蔵丸になぜ触れないのか。
是枝裕和著『希林さんといっしょに。』スイッチ・パブリッシングp83)
本日の言葉:希林さんと是枝監督との対談中で語られた、是枝監督の過去の発言に関する思い出話から。この「優しい」言葉を(新聞記事で)読んで、ものをつくるひとりの人間として信頼が増したと。是枝監督のような目線を無意識で持ちたいと思うのですが、人間修行ができていなくてなかなか・・・。

(2)2019年3月25日  
「不可能を辞書に加えて卒業す」……。巣立ちの式辞は、若者を励ます言葉に満ちている。でも、何者かになろうと、ある進路を選ぶことは別の可能性を失うことでもある。
選ばなかったもう一つの道は、私たちをどこへ導いたのか。それは、永久にわからない。いくつもの曲がり角を一方に折れ、その都度、不可能を辞書に加える。それが大人になる、という営みなのだ。でも、作者は教え子の選択を祝福し、彼らの可能性を信じる。 
(「春秋」本日付日本経済新聞

www.nikkei.com

(3)2018年3月25日  
鶴見さんとは3度ほどお目にかかる機会があったが、氏の作品を愛読していた私はその思想や生き方からじつに多くの影響を受けることになった。とりわけ忘れられないのは、2018という言葉だった。
 (「私の履歴書山折哲雄(23)「思想の科学」)

www.nikkei.com

「できると思うから挑戦するのではなく、やりたいと思うから挑戦する」(イチローさん):2018~2020年の今日(3月24日)に出会った言葉

(1)2020年3月24日  ·
日本の女性は一度は断るのがエチケットと考えて、微笑を浮かべて小首をかしげたのである。それはあくまでもたてまえでありエチケットである以上、相手を傷つけまいとして曖昧な微笑になるのは、これまた日本人としてみれば至極当然なことではあるまいか。相手の意思を尊重し、相手をたてて自分をそれにあわせるというのが、日本人の対人関係における基本姿勢なのである。
(棟 明郎著『思考訓練の場としての現代国語―受験国語』(育文社)p21)
本日の言葉: 引用文は、現代国語の問題文(加藤周一「中国の屋根の反り」)を「『現代国語』の名にふさわしい、格好の評論文だ」と評した上で解説した、その解説文の中の一節。棟 明郎さん(本書の著者)は、引用文のような読み取り方をすることが現代国語だと言っている。まさに日本の現代国語は「忖度する力を養う」ものなのだな、と思って非常に興味深いと思った。

(2)2019年3月24日  
「新しい世界に挑戦することは勇気がいる。成功すると思うからやってみたい、できないから行かないという判断基準では後悔を生む。できると思うから挑戦するのではなく、やりたいと思うから挑戦する。(そうすれば)どんな結果でも後悔はない」 
(「日米球界の革命家 イチロー引退」昨日付日経新聞

(3)2018年3月24日  
プロフェッショナルとは・・・
継続した人で、かつその中でチャンスをつかんだ人だと思います。継続しているとチャンスがやってくるんで、その中で努力してるとつかめると思うんで、継続です ― ユーチューバーHIKAKIN
 (NHKプロフェッショナル 仕事の流儀「新しい仕事スペシャル」2018年3月19日放送 。再放送は未定)

 

「大切なのは覚悟です」:2018年と2020年の今日(3月21日)に出会った言葉

(1)2020年3月21日
大切なのは覚悟です。……上とぶつかったとき、やめる覚悟までできているのが本当の編集者ではないでしょうか。そうでなかったら単なる編集部員です。
(「時空を超えて言論を育む 藤原書店社主 藤原良雄さん(71歳)」本日付朝日新聞Bee)
*本日の言葉:藤原さんは出版社の社長だからこういう言い方をしているが、「編集者」を「組織人(あるいは何らかの職務または職責を示す名詞)」、「編集部員」を「勤め人(あるいはサラリーマン)」と読み替えればあらゆる職種に言えることではないか。自分さえよければ、人が死んだって構わないというかのごとき「保身」を日々見せつけられているが故に、よけい強くそう思う。

(2)2018年3月21日
放っておけば人はすぐに「自分の思想の限られたレパートリーの中」に安住してしまう。自分を超えるもの、自分の外にあるものへの感覚をなくしてしまう。それを鈍らせないためには、絶えず「自分を疑う」ことが必要だ
 (本日付朝日新聞「折々のことば」より)

押しつけがましくなったら、『おもてなし』ではなくなる:2018~2019年の今日(3月20日)に出会った言葉

(1)2019年3月20日
バラカン:僕が最近、ちょっと嫌いになったのが「おもてなし」。言葉そのものじゃなくて、使い方が気になる。……
「さりげない気遣いや心配り」が「おもてなし」なのだから、押しつけがましくなったら、もう「おもてなし」じゃないでしょう。
(マーク・ピーターセン X ピーター・バラカン「日本語と英語のはざまを考える」「日本人と英語」kotoba 集英社クオータリー35)

(2)2018年3月20日
若いときにあまりやってなかったから、今その枠がある。人間なんてずっとそんな良い状態でいるわけないから。遠藤憲一
 (2018年3月19日付朝日新聞「折々のことば」より)

「転職だらけ、つぎはぎだらけの人生・・・無理はしたが、無駄ではなかった」 (壇蜜):2018~2021年の今日(3月19日)に出会った言葉

(1)2021年3月19日
無理やり自我を貫き通すために、知識・論理で武装するのではなく、言葉と言葉のコミュニケーションそのものを軽視することによって、自分や自分の回りが考えていることが正しいと言い聞かせるようになった。
小田嶋隆著、武田砂鉄撰『災間の唄』(株式会社サイゾー)p137)
*今日の言葉は2015年に書かれた文章。武田総務大臣の一連の発言を読んでこの文章を思い出しました。いうまでもなく第二次安倍政権を評した文章だ。小田嶋さんはそれを「全方位的に幼児性が露骨に表出するようになった」とまとめた。要するに今の国会の体たらくの元凶は、安倍さんにあったのだと痛感した次第。そりゃ、トップがやってりゃ皆真似するでしょ。

(2)2020年3月19日
『今朝の秋』には素晴らしい台詞がいくつもあり、僕は何度も書き写しているが、
是枝裕和著『希林さんといっしょに。』スイッチ・パブリッシングp68)
*本日の言葉:「是枝監督も書き写しているんだ!」ということに感銘を受けて書き写しました。余談ながら『今朝の秋』は山田太一原作・脚本、笠智衆主演、樹木希林杉村春子共演、武満徹音楽のテレビドラマだそう。山田太一氏は確か、脚本通りに台詞を言わないと承知しない方だったんだけど、その山田氏脚本のドラマに、樹木希林さん等の出演者がアドリブ連発して山田さんを相当怒らせたそうです。

(3)2019年3月19日
人気の高い音楽家兼俳優が麻薬使用の疑いで逮捕された。その後の報道では、相変わらず「白い粉」の映像でおどろおどろしく描く番組が目立つ一方、依存症を社会の課題としてとらえ、相談窓口を紹介するなどの試みも増えている。断罪から支援へ、薬物依存を見る目の転換点となるかもしれない。
(「春秋」3月18日付日本経済新聞

(4)2018年3月19日
転職だらけ、つぎはぎだらけの人生を送っているが、時にこんな形で話のネタとして還元できることもある。無理はしたが、無駄ではなかった。
 (壇蜜脾臓と兎」『群像』2018年4月号p233より)

 

「『協力』をどう英訳するかで通訳者の英語能力が試されます」:2018~2020年の今日(3月18日)に出会った言葉

(1)2020年3月17日
スキよりもイヤのほうが強い感情である。自分にとって嫌なことほど、自分の価値観のスイートスポットについての理解が深まる。……「ああ、こういうのが心の底からイヤ……」という思いをするほど、人間の本質がわかる。自分がわかる。
(楠木健著『室内生活 スローで過剰な読書論』晶文社p186)
*本日の言葉:読んでいてヒジョーにイヤな気持ちがする読書のことを筆者は「特殊読書」と呼び、時たま特殊読書をすることが愉悦なのだ、という趣旨の文章の一節。人は自分と似ている人のことを嫌いになる、という話をどこかで聞いたことがある。なぜイヤーな気持ちになるかを考えると自己分析になる、ということだろうか。頭では分かるけれども、なかなか……。

(2)2019年3月17日
……「協力」をどう英訳するかで通訳者の英語能力が試されます(と勝手に思っています!)。両方とも確かに、同じような意味ですが、英語でcooperateは主に、補完的役割としての協力(たとえば情報やリソースの提供)を意味する一方、collaborateは同じ「協力」でも距離がグッと近くなり、現場で「一緒にやろう!」感が強くなります。ですから、災害支援などの会議では、状況によってはcollaborateを使う方が聞き手にとって安心感が大きくなると思います。
(『同時通訳者のここだけの話』関根マイク著 p37)

(3)2018年3月17日
『知識における最大の敵は無知ではなく、知っていると錯覚することだ。』
 *本日の言葉、昨日ツイッターで見かけました。ホーキング博士の言葉だそうです。出典は調べておりませんが、良い言葉だと思ったので。