『改訂三版 英文法解説』(金子書房)では「不定のある1人/1つ」(p112)、『英文法詳解』(学研)では「ばく然と不特定のものと考えられた普通名詞/集合名詞の前(に使われる)」(p43)、『改訂版 英文法総覧』(開拓社)では「数詞oneの弱まった意味で用いられる場合」(p130)、『表現のための実践ロイヤル英文法』(旺文社)では「不定冠詞の基本的用法(1)可算名詞が、不特定の単数であることを示す。(2)初めて話題に上る可算名詞を導入する」(pp367-368)、『新マスター英文法』(金子書房)では「不特定の単数名詞を表す」(p228)、そして英文法書ではないが『翻訳力錬成テキストブック』では「漠然と不特定のものに(この用法が一番普通)(p139)と説明されている「a」。これについて小倉弘さんは『英文表現力を身につける 例解和文英訳教本』(プレイス)という英作文の基本教科書で、次のように説明している。
(以下引用)
(タイトル)aは「いくつかあるうちの一つ」
This is a pen.の意味について考えていただきたい。……(筆者が)グァムに旅行に行った際、ある友人に土産を買っていった。その土産とはペンなのだが、ふつうのペンとは違ってペンの絵の部分の先端に人の顔が彫ってあった。一見、棒の先に顔があるミニ人形に見えるのだが、実はその顔の部分がキャップになっていて、それを取るとペンとして使える代物だ。そんなとき(鈴木注:相手がそれを知らないとき)、This is a pen.というのではないだろうか。(ではなぜaを使うのか)。それは「これ(土産にグァムから買ってきた物)もペンと呼ばれる範疇に属するものののうちの1つ」だからである。aは「いくつもあるうちの1つ」を表すのである。これを簡潔に和訳するなら、「これもペンである」が適切な日本語であろう(引用ここまで)『英文表現力を身につける 例解和文英訳教本』pp168-169)。
お見事。そのように理解してから、この用法のaに関する各文法書のタイトルと説明を読むとスッキリしませんか?