金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチの教材から

大人向け教養書としての英文解釈本という位置づけ

僕が大手書店員なら、山崎竜成著『知られざる英語の「素顔」-- 入試問題が教えてくれた言語事実 47』(プレイス)と今井亮一・平沢慎也著『スローでディープな英文精読』(研究社)に、「受験勉強に飽き足らない『大人』の皆様へ」というポップをつけて山川…

his twisted ankleは 「捻挫した足首」か「足首が捻挫したこと」か?

今朝の次のやり取りは面白かった。 (質問1)Corrad Barazuzutti grimaces with pain as attendants care for his twisted right ankle which occured in the second set. のwhichの先行詞は何か?それはなぜか? (ChatGPT)The antecedent of "which" in th…

allの用法について五つの生成AIに尋ねてみた(『スローでディープな英文精読』より)

今朝、4つの生成AIと次のようなやり取りをしました。ご参考まで。 (問い)You didn't have to go to all that trouble. I could have done it. と言う文章でのallの用法は、①「すべて 全員」の意味か、それとも②相手が払った「全ての手間」や「努力」を…

『知られざる英語の「素顔」』の面白さ―受験生向きとは思わないけれど

If節って、主節の条件になっていることがほとんど。たとえば次の例。 (例1)If you have enough experience, he will hire you.(あなたに十分な経験があれば、あなたを雇いましょう)(山崎竜成著『しられざる英語の「素顔」』(プレイス)p23「副詞節の…

重い『ケインズ』(写経は大変)

村井章子さん訳のケインズの伝記『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946(上)(下)経済学者、思想家、ステーツマン』の原著、John Maynard Keynes 1883-1946: Economist, Philosopher, Statesmanの原文と訳文の手書き写し(「写経」に取り組み始めて1カ…

鳥飼久美子/斎藤兆史『迷える英語好きたちへ』(インターナショナル新書)を楽しく読み終える。

鳥飼久美子/斎藤兆史『迷える英語好きたちへ』(インターナショナル新書) 楽しく読み終えました。英語学習法には昔から興味があり、特に訳読を中心とする訳読の重要性を強調されている斎藤さんの英語や英語教育に対するお考えには賛同していたこともあり、…

「日本語にないのは主語ではなく代名詞」

今井亮一、平沢慎也著『スローでディープな英文精読』(研究社) の第I部第3章、”The Myth of the Subjectless Sentence" By Jay Rubinの「日本語には主語がないのではなくて、代名詞が非常に少ないのだ」という主張は勉強になる。 (通常の英語)Cloquet an…

『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946』の"写経”を始める。

『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946(上)経済学者、思想家、ステーツマン』ロバート・スキデルスキー (著), 村井章子 (翻訳)(日経BP 日本経済新聞出版) の原著と訳書の手書き写し(いわゆる”写経”)を本日から始めました。 本は買ってあったのです…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑧:クジラの公式:山崎竜成著『入試問題が教えてくれた言語事実47―知られざる英語の「素顔」』

まず、次の英文を読んで、時間の余裕のある方は全部。ない方はせめて最後の一文を自分で訳してみてください。 People seeking money are quick to make use of the latest discovery and remote them to the desperate-for- a-cure market, regardless of ho…

Chat-GPTは並みのネイティブよりもはるかに信頼できる(翻訳ストレッチの教材から)

何と訳しますか?2,3分考えて紙に訳文を書いてみて。(原文)News arrived this morning of heavy rain in the Kyushu area.『難構文のトリセツ』p121で正解とされた訳文は次の通り。(訳文)九州地方が豪雨になるという知らせが今朝届いた。違和感を覚え…

狂信の時代:玉音放送をめぐって(『深代 惇郎の天声人語』 (1976年)より)

今朝の翻訳ストレッチから(以下引用) 激論昨日につづけて「八月十五日」を書く。昭和二十年八月十五日午前四時ごろ藤田侍従長は天皇の書見室にはいった。天皇の無精ヒゲが目立った。飾りだなには、リンカーン大統領と科学者ダーウィンの胸像が置かれてあっ…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑦:「パブロフの原理」佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)

今朝の翻訳ストレッチ教材から。 紙とペンをもって訳してみて。難所は最後の文。制限時間10分。 Pavlov's principle is this: Given a reflex according to which a stimulus B produces a reaction C, and given that a certain animal has frequently expe…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑥:worthとvalue:小倉弘著『英語 冠詞のトリセツ』(かんき出版)から。

以下は引用ではなく、要約。「価値」に相当する語にworthとvalueがある。いずれも絵に描きにくく境界線が引きにくいので不可算名詞。ただしworthは「そのもの自体の価値、絶対的価値」valueは「(評価が人によって異なる)相対的価値」なので、valuesとなる…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑤:日本語表現(小倉弘著『英語 難構文のトリセツ』から)

次の( )内に入る適切な語を選んで、訳してください(制限時間、3分) A housewife , ( ) if quite casually, said, " we thought it was a lover's quarrel." ①accidentaly ②knowingly ③unexpectedly ④unintentionally 回答: 入れる語は②knowingly 訳文:…

勉強するなら良書を繰り返し学べ④:佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)

(1)基本問題同業者の皆様は一読して意味は分かると思いますが、ではどう訳す?まずは紙とペンを持って、手で訳してみよう。制限時間は3分。 I knew he knew I knew what he was thinking. (意味)自分の考えていることが読まれたなと彼が悟ったのがわか…

勉強するなら良書を繰り返し学べ③:小倉弘著『英語 冠詞のトリセツ』(かんき出版)+Chat GPT-4の有用性

今朝のChat GPT-4とのやり取り。ネイティブ・スピーカーに尋ねている感じです。もちろん、厳密には裏を取る必要はあるが、このレベルの話であれば、そこまでする必要はないと思う。ネイティブと話ている時にいちいち文法書で確認しないもんね、 興味のある方…

勉強するなら良書を繰り返し学べ②:関係代名詞の二重限定(小倉弘著『英語 難構文のトリセツ』から)

紙と鉛筆をもって次の英文を訳してみよう。必ず書いてね。 (1)Toranomon News is the only program I watch every day and that I find so interesting. 次に、次の英文を訳してみよう。必ず書いてね。 (2)Toranomon News is the only program I watch…

有名参考書だって間違えることはある。

紙と鉛筆をもって、次の英文を訳してみよう。制限時間は5分。 (15.2.3)I had imagined, what most pacfists contended, that wars were forced upon a reluctant population by despotic governments.(伊藤和夫著『英文解釈教室 改訂版』(2000年9月25日 …

勉強するなら良書を繰り返し学べ:小倉弘著『英語 難構文のトリセツ』(かんき出版)

問題:次の英文を読み、最後の( )に入る適切なものを選んだ上で、英文全体を訳してください。紙とペンを使い、手で訳を書くことを勧めます。制限時間は5分。 英文:People have such a strange power of misunderstanding even the plainest directions th…

タイム誌は(おそらく他のメディアも)ウェブ版の方が重層的

タイム誌はずっと紙で読んできた。数年前から紙の定期購読者はウェブでも読めるようになったがあまりなじめないと思い紙での読みを続けてきました。 ところが最近ひょんなことから紙の記事をウェブで確認しなければなくなって気がついたことがある。 1.実…

翻訳ストレッチ内訳(2023年3月末時点)

翻訳ストレッチを始めて15年ぐらいになるでしょうか。試行錯誤を重ねながら内容も少しずつ変わってきていますが、この半年ほどは、ほぼ以下の内容で固まっています。 (1)毎日:比較的短い英文解釈:次の4冊から2冊ずつ(15分×2) 佐々木高政著『英文解釈…

『冠詞のトリセツ』の勉強の仕方についてのご提案

小倉弘著『冠詞のトリセツ』かんき出版 (2020)、昨年の8月15日から毎日5分ずつ取り組んで12月22日に一通り終わった。現在2巡目だが、冠詞に関して私がこれまでに学習したあらゆる参考書や解説本の中でダントツのベスト本である本書を今後も2回、3回、4回とボ…

オンライン英会話教室での、ある優秀講師との会話

この3か月で初めて同じ先生を指名し、二日連続で授業を受けた。 冒頭に彼にはこう伝えた。「この3か月で私はなるべく多くの先生の授業を取るようにし、授業ごとに先生を採点し、『よい』と思った先生には『いいね!』をつけて、レギュラー先生のストックを…

TOEFLは面白い

TOEFL(リーディング)はとても良い。36年前はただただ高得点を狙うための対象だったので気づかなかったが、今改めて問題文を読むと、米国で高等教育を受けるための基礎(語彙や背景知識)を身につけているかどうかを慎重に図っている試験だということがよく…

翻訳ストレッチの内容変更

英文解釈のテキストについては、これまではあまり深く考えずに「場当たり的に」、自分に役立ちそうだなと思ったものを購入しては使っていましたが、今月からオンライン英会話を始めたのを機に翻訳ストレッチの内容を少し整理し、組み換えることにしました。 …

自分で書いて訳して自己採点する(2)。(翻訳ストレッチの教材から)

訳してみよう。紙と鉛筆を持って! (原文1)Egbert died, and Harold was the only son that she had to love.(原文2)Samantha is too ready to make promises.(原文3)In some parts of the world, it is perfectly in order to discuss each other's…

自分で書いて訳して自己採点する。(翻訳ストレッチの教材から)

(原文)Victorian society judged women much more than men according to their attractiveness to the opposite sex and the attention they paid to their personal appearance.(訳文)ヴィクトリア朝時代の社会では、男性よりも女性のほうがはるかに、…

多義語の難しさ(face) (翻訳ストレッチの教材から)

(原文)The difficulty Americans have in understanding 'face' in Japan stems largely from the emphasis placed by American values on the individual.(訳文)日本の『体面』というものをアメリカ人がなかなか理解できないのは、主にアメリカ的な価値…

(H+H)MかH+(H+M)か:共通関係(翻訳ストレッチの教材から)

ある程度の上級者(TOEIC850以上ぐらい?)になると、経験的には知っているが何となくあやふや、という文の要素の共通関係があって、その部分を権威ある書籍(辞書でも文法書でも参考書でも)で明言されるとホッとしたりする。今回はその例。 (以下引用)us…

"as" のいろいろ:辞書よりも文法書よりも役に立つ受験参考書(翻訳ストレッチの教材から)

文法書は、さまざまな切り口の文法項目(五文型とか関係代名詞とか、品詞とか・・・)によって章立てされているので、一つの語の役割が一冊の中にばらばらに記述される。 一方、辞書は一つの語の意味や役割がすべて同じ語の元に記述されているが、何しろ(そ…