金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチの教材から

be動詞の後に副詞節(『知られざる英語の「素顔」』をめぐる生成AIとのやり取り)

山崎竜成著『知られざる英語の「素顔」』(プレイス)の第23章に次の文章があって気になったので複数の生成AIに尋ねたところ、Perplexityのみが同書の見解と異なったので真意を探ることにした。 例文は:Rapid Eye Movement(REM) sleep is when we dream.(…

反語的な意味合いを含む逆説の接続詞butについて-『新英文読解法』の例文から

今朝の翻訳ストレッチから。プロンプト:He had always been excitable, but now he was beside himself; there was no reasoning with him.のbutは理論的には何に対する反語か?Gemini:この文における「but」は、前の文脈「He had always been excitable」…

Beyondの比喩的用法

今朝の翻訳ストレッチから。説明が最も簡潔で分かりやすかった生成Iの答えを掲載します。 プロンプト1:No one should be above asking questions.の文法構造を高校生も今わかるように説明した上で分かりやすい日本語に訳してください Claude 3.5この英語の…

in such a way as wouldなど。今朝の翻訳ストレッチから(『英文解釈考』(金子書房)より)

今朝の翻訳ストレッチから(Tは私)T: He was interested in human beings, and understood man's weaknesses and viewed them with a warm eye, which made him tolerant, in such a way as would, I am sure, help the one so disposed not only to be hap…

has は動詞 (翻訳ストレッチ教材から)

今朝の翻訳ストレッチから。私がつい引っかかってしまった英語(恥)。ペンと紙を用意して、まず自分で訳してからお読みください。 Nothing in this world is of any worth which has not labor and toil as its price. (中原道喜著『新英文読解法』(金子…

「余計なthat」に関する生成AIとのやりとり

今朝の翻訳ストレッチの教材からChatGPTとのやりとり。Tは私、CはChatGPT4o。 T. ①I am prepared to accept whatever consequence that may come out of this. ②I am prepared to accept whatever consequence may come out of this. ①と②の違いを文法的に…

ここ数日の翻訳ストレッチから( 2024年11月1日)

(1)haveの用法つい勘違いしてしまう英語です。ペンと紙を用意してくださいね。(原文)The servant announced a visitor, whom I had shown into my study.(ヒント) カンマの後...and I had him (=the visitor) shown into my study,(日本語訳)召使が…

参考書を手掛ける出版社は知恵を出してほしい。

様々な「英語読み方」本や、英語以外でも過去の復刻本が大盛況です。最近は高校の教科書まで。「大人の勉強」は今流行りなのね。しかし、英語に関して言えば、どうして、現在出ている定評のある読解力養成本を「こう使おう」という発想の本が出ないのかな?…

4年半かかって『新訂・英文解釈考』を読了

佐々木高政著『英文解釈考』(金子書房)、今朝ようやく終わりました。原則として全部手書きでまず訳文を書き、正解を見ながら添削して読み直すというスタンダードのやり方を通しました。2~3日に1回、10~15分だったので、始めてから4年半かかりました(初…

"Powder on my coat sleeve."(上着の袖についた火薬)

自分の英語力のなさをさらすようで恥ずかしいのですが、今朝出会った英文についてChat-GPTに質問した内容をご参考までに。(質問)”What caused the exlosion at your house?""Powder on my coat sleeve." この会話のどこが面白い/おかしいの?(回答)「"W…

『新英文読解法』を2年半で完走(2024年8月15日)

中原道喜著『新英文読解法』(金子書房)200番まですべてやり切りました。 記録を見ると2015年の3月に最初の30ページぐらいやっていったん挫折。 2022年の3月から翻訳ストレッチ教材に正式に加えて2~3日に1度10~15分かけて全訳→添削→5回音読を繰り返して…

「遠回りは心からおすすめの近道」『スローでディープな英文精読』より

「ある英文がよくわからない時、その英文とはちょっと違う英文をたくさん、そしてじっくり観察した上で元の英文に戻ってきてみると、すごくよくわかるようになっている。これは外国語を勉強していてとてもよく起こることである」今井・平沢著『スローでディ…

現在形、過去形、過去完了形が1文に出没

I am amazed this had not occured to me before I embarked on the project.(このプロジェクトに乗り出す前にその考えが思い浮かばなかったことのほうが驚きである)。(『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946(上)経済学者、思想家、ステーツマン』ロ…

参考書の解説に関する生成AIとのやり取り例

中原道義著『新英文読解法』(金子書房)p249の原文と訳文についてChatGPT4oに次のような質問を行った。 プロンプト1:It could well be that the relative emphasis placed on trying and on suceeding in hildhood has fa-eaching consequences for the i…

今井、平沢著『スローでディープな英文精読』(研究社)はマジで名著、だが手を取って吟味しててからの購入を勧める

英語の参考書で、本文(原文と訳文)以外の、いわば付録と言うべき部分(「語註」「翻訳の視点から」「文法解説」「本文解説」)がこれほど面白い本はないと思う。著者の(いい意味での)オタク度に思わずグイっと引き込まれて、気が付くと本文を忘れて(?…

それは国語力ではなく、英語力の問題

英文解釈の勉強*をしている時でも、あるいは「写経」をしている時でも自分では決して書けない訳語(訳文)に逢うと「どうして自分はこう書けなかったんだろう?」と自分の国語力の不足を嘆いたものだが、数年ほど前から「自分はどうしてこの訳文のように英…

消費者の立場から参考書の出版社と書店に望むこと

様々な英語参考書を利用している立場から見ると、出版社や書店の皆さんは、新しい本をつくる暇があったら、これまで出たもののの中で良質なものを探す/編集し直す/勉強の仕方を提示するなど付加価値を高める努力をした方が生産性がはるかに高いと思う。小…

大人向け教養書としての英文解釈本という位置づけ

僕が大手書店員なら、山崎竜成著『知られざる英語の「素顔」-- 入試問題が教えてくれた言語事実 47』(プレイス)と今井亮一・平沢慎也著『スローでディープな英文精読』(研究社)に、「受験勉強に飽き足らない『大人』の皆様へ」というポップをつけて山川…

his twisted ankleは 「捻挫した足首」か「足首が捻挫したこと」か?

今朝の次のやり取りは面白かった。 (質問1)Corrad Barazuzutti grimaces with pain as attendants care for his twisted right ankle which occured in the second set. のwhichの先行詞は何か?それはなぜか? (ChatGPT)The antecedent of "which" in th…

allの用法について五つの生成AIに尋ねてみた(『スローでディープな英文精読』より)

今朝、4つの生成AIと次のようなやり取りをしました。ご参考まで。 (問い)You didn't have to go to all that trouble. I could have done it. と言う文章でのallの用法は、①「すべて 全員」の意味か、それとも②相手が払った「全ての手間」や「努力」を…

『知られざる英語の「素顔」』の面白さ―受験生向きとは思わないけれど

If節って、主節の条件になっていることがほとんど。たとえば次の例。 (例1)If you have enough experience, he will hire you.(あなたに十分な経験があれば、あなたを雇いましょう)(山崎竜成著『しられざる英語の「素顔」』(プレイス)p23「副詞節の…

重い『ケインズ』(写経は大変)

村井章子さん訳のケインズの伝記『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946(上)(下)経済学者、思想家、ステーツマン』の原著、John Maynard Keynes 1883-1946: Economist, Philosopher, Statesmanの原文と訳文の手書き写し(「写経」に取り組み始めて1カ…

鳥飼久美子/斎藤兆史『迷える英語好きたちへ』(インターナショナル新書)を楽しく読み終える。

鳥飼久美子/斎藤兆史『迷える英語好きたちへ』(インターナショナル新書) 楽しく読み終えました。英語学習法には昔から興味があり、特に訳読を中心とする訳読の重要性を強調されている斎藤さんの英語や英語教育に対するお考えには賛同していたこともあり、…

「日本語にないのは主語ではなく代名詞」

今井亮一、平沢慎也著『スローでディープな英文精読』(研究社) の第I部第3章、”The Myth of the Subjectless Sentence" By Jay Rubinの「日本語には主語がないのではなくて、代名詞が非常に少ないのだ」という主張は勉強になる。 (通常の英語)Cloquet an…

『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946』の"写経”を始める。

『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946(上)経済学者、思想家、ステーツマン』ロバート・スキデルスキー (著), 村井章子 (翻訳)(日経BP 日本経済新聞出版) の原著と訳書の手書き写し(いわゆる”写経”)を本日から始めました。 本は買ってあったのです…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑧:クジラの公式:山崎竜成著『入試問題が教えてくれた言語事実47―知られざる英語の「素顔」』

まず、次の英文を読んで、時間の余裕のある方は全部。ない方はせめて最後の一文を自分で訳してみてください。 People seeking money are quick to make use of the latest discovery and remote them to the desperate-for- a-cure market, regardless of ho…

Chat-GPTは並みのネイティブよりもはるかに信頼できる(翻訳ストレッチの教材から)

何と訳しますか?2,3分考えて紙に訳文を書いてみて。(原文)News arrived this morning of heavy rain in the Kyushu area.『難構文のトリセツ』p121で正解とされた訳文は次の通り。(訳文)九州地方が豪雨になるという知らせが今朝届いた。違和感を覚え…

狂信の時代:玉音放送をめぐって(『深代 惇郎の天声人語』 (1976年)より)

今朝の翻訳ストレッチから(以下引用) 激論昨日につづけて「八月十五日」を書く。昭和二十年八月十五日午前四時ごろ藤田侍従長は天皇の書見室にはいった。天皇の無精ヒゲが目立った。飾りだなには、リンカーン大統領と科学者ダーウィンの胸像が置かれてあっ…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑦:「パブロフの原理」佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)

今朝の翻訳ストレッチ教材から。 紙とペンをもって訳してみて。難所は最後の文。制限時間10分。 Pavlov's principle is this: Given a reflex according to which a stimulus B produces a reaction C, and given that a certain animal has frequently expe…

勉強するなら良書を繰り返し学べ⑥:worthとvalue:小倉弘著『英語 冠詞のトリセツ』(かんき出版)から。

以下は引用ではなく、要約。「価値」に相当する語にworthとvalueがある。いずれも絵に描きにくく境界線が引きにくいので不可算名詞。ただしworthは「そのもの自体の価値、絶対的価値」valueは「(評価が人によって異なる)相対的価値」なので、valuesとなる…