金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

理由を補足的に説明する等位接続詞forが文頭にくる(数少ない)例(翻訳ストレッチの教材から)

以前、等位接続詞のforは文頭に来ないという説明を紹介した。

tbest.hatenablog.com

つまり上記の中で、

「④because~は文頭にも置けるが、for は連結する二つの節の間以外には置けない(鈴木注:これはforが等位接続詞だから)」という説明(杉山忠一著『英文法詳解』pp591-592)

を紹介したわけだが、一連の文章の中で、前に続く文の理由を説明するために、その次の文の文頭にくる用法は数少ないながらあるようだ。柴田耕太郎著『翻訳力錬成テキストブック』には用語別の索引があって、forの参照先が106例紹介されているが、その中でこれに該当する例が三つ見つかったので紹介する(106のうち三つなので、確かに少ない)。

(課題1-15)
It is enough for any man that he has the divined power of making friends, and he must leave it to that power to determine who his friends shall be.  For, though you may choose the virtuous to be your friends, they may not choose you;,,,
(モデル訳文)誰であれ、友人をつくるという天与の才があるだけで充分である。そして誰が友達になるかを決めるのは、その力に委ねざるを得ない。こちらで立派な相手を選ぼうとしても、向こうで選んでくれるとは限らないからだ。
(Forについての解説)「というのは・・・だからだ」。Because に対し、for は個人的な理由(観点)を示す。
(同書p87-90)
*この説明は一読すると曖昧だが、上のブログで紹介した

「⑥becauseはある事実の原因を言うのに用いるが、for は自分の考えの根拠や説明を与えるのに用いる。たとえば「暗くなってきたから雨が降るだろう」では「暗くなってきた」は、「雨が降るだろう」という自分の考えの根拠を示すのであって、「雨が降る」との直接の原因ではないから、ここではbecauseは使えない。
(d) It is going to rain, for it is getting dark.とする。」(正)
(e) It is going to rain because it is getting dark.  (誤)は誤り。(上の(a)~(c)を見よ)
(杉山忠一著『英文法詳解』pp591-592)」

であると理解すればわかるだろう。

(課題1-16)
His only reason for giving up a friend is that he has ceased to care for him; and , when that happens, he should reproach himself for this mortal poverty of affection, not the friend for having proved unworthy.  For it is human presumption to say of any man that he is unworthy of your friendship, just as it is to say of any woman, when you have fallen out of love with her, that she is unworthy of your love.
(モデル訳文)付き合いを断つ理由は、その友人が好きでなくなったからに他ならない。そうなった場合は、愛情がおぞましいほど欠けている自分を責めるべきで、相応しくない友人だったのだと思ってはいけない。相手がだれであれ、友情を結ぶに値しないなどというのは鉄仮面そのものであり、焦がれた女性に対する焦がれた女性に対する熱をさまして自分の愛情に値する女じゃないとうそぶくようなものだ。
(Forについての解説)
理由を示す。
(同書p93-96)

*このモデル訳には(というのは~だからだ)訳すら入っていない。敢えて入れると、
(というのは、)相手がだれであれ、友情を結ぶに値しないなどというのは鉄仮面そのものであり、焦がれた女性に対する焦がれた女性に対する熱をさまして自分の愛情に値する女じゃないとうそぶくようなものだ(からだ)。


(課題5-12)
The curious thing about those people next door is that, if you ever come to know them, you find they are not a bit like what you thought they were.  You find to your astonishment that they have redeeming features.  Perhaps they find that we have redeeming features too.  For the chastening truth is that we all play the role of those people next door to somebody.
(モデル訳文)いったん隣の人と知り合えば、想像していたのとはまるで違う人であるのが判るのは面白い。意外なことに彼らには取り柄があるのだ。向こうでもこちらに取り柄があるのを知るはずだ。つまるところ、わたしたちはお互い誰かのお隣の役回りにある。
(Forについての解説)
「どうしてそう思うかというと」。判断の根拠を述べる。因果関係を弱く訳した方が文の流れがよくなる。
例:It must be very cold, for the pond is frozen. (とても寒いに違いない、だって池が凍ってっているから)
Cf. The pond is frozen because it is very cold. (とても寒いので池は凍っている)
(同書p539-542)

*ちなみに、上のforは主観的判断で、下のbecause合理的理由。池が凍っている根拠についての主観的判断(for)と合理的理由(because)がこの文ではたまたま一致したと考えれば理解できる(合致しない例は上「雨」と「暗さ」、および上のブログの「彼の顔色」と「病気」の文章を参照)。

**なお、上のモデル訳にも(というのは~だからだ)訳すら入っていない。敢えて入れると、
(というのは、)つまるところ、わたしたちはお互い誰かのお隣の役回りにある(からだ)。

なお、本書の他の箇所での等位接続詞forの説明としては「理由を補足的に示す接続詞」(p356)が多かった。前がカンマ(一文の中での等位接続詞の役割)と、for の前がピリオドの区別(意味は同じですが)は書いておりません。