金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

営業関連

オンライン英会話でこちらがレッスン?(ロートルから新人翻訳者へのアドバイス)

今日のオンライン英会話で「僕の生徒に経済分野の翻訳者がいるんだが、客数が増えないのでもう廃業しようかと思っている。アドバイスはないか?」と聞かれた。彼の悩める生徒さんは40代女性。数カ月前に脱サラして独立したらしい。「僕のやり方は、10年前な…

フリーダム・インク――「自由な組織」成功と失敗の本質(本日発売!)

『フリーダム・インク――「自由な組織」成功と失敗の本質』本日発売です。 経営者の仕事は、企業理念(自社は何のために存在するのか=パーパス)を明らかにし、それを社員に浸透させていく努力を重ねながら、徹底的に「自由な文化」を作り上げ、それを推進す…

「フリーランスの実務翻訳者を目指せ」なんて言ってはいけない(2023年7月7日)

ChatGPTの登場によって、そもそも「翻訳者の仕事は何か?」の定義さえ曖昧になっている今の時代に、まだ翻訳者でない人たちに向かって「あなたも実務翻訳者になれる」とか「フリーランスの翻訳者を目指そう」といった誘いをかけるのは無責任だ。 思い出すの…

「ビジネス法令、AIで英訳加速」(2023年3月27日付日本経済新聞)の記事を読んで

本日(2023年3月27日)の日本経済新聞に次のような記事が載った。 (以下引用)法務省は2023年度から人工知能(AI)による法令の自動英訳を始める。ビジネス関連の法律や政省令を中心に従来の4倍となる年間320本の翻訳をめざす。海外企業が日本で投資や事業…

翻訳業界の「やりがい搾取」

(1)日本経済新聞の特集「『やりがい搾取』を許さない」2023年2月20日(月)~24日(金)まで、日本経済新聞の最終面で、「『やりがい搾取』を許さない」という5回の特集が組まれた。概要は以下の通り。 ①文化芸術「やりがい搾取」続く 性被害告発、対策進…

翻訳ストレッチを続けている理由/The Reason I Continue 'Translation Stretch"(December 17, 2022)

昨日、お世話になっているQ社の忘年会に出席したところ、お向かいに座った社長のAさんが僕を別の方にご紹介いただいた中で、「鈴木さん、翻訳ストレッチの努力をずっと続けられて・・・」とお褒めの言葉をいただいた。その話をお聞きしながら、僕が続けてい…

訳者、著者、そして(たぶん)編集者にできるはずの、ささやかなこと(2022年12月11日)

本日の読売新聞書評欄の件を僕に教えてくれたのはツイッターで私の書き込みをご覧になってくれていた方で、本書の関係者でこの書評の事を知っている人は今朝の午前6時過ぎ段階では誰もいなかった。 @tatsuyaakiko おはようございます。本日付読売新聞朝刊文…

Webホームページ翻訳上の悩ましい問題(どの会社にもあり得ることです)

現在、某サービス会社(A社)のホームページ/パンフレット/取扱説明書/利用規約等の英訳(原文は日本語)をほぼ全面的に請け負っている(最初にコンタクトいただいてから2年半になる)。(ちなみに英訳案件の時は僕はプロダクト・マネジャー(ネイティブ…

私の和英翻訳(日本語→英語)が英和翻訳に比べて高い理由。(2012年11月)

問い:なぜ私の和英翻訳は(英和翻訳に比べて)値段が高い(ほぼ2倍)のか? 答え:①二人がかりで訳しているから(ネイティブがまず訳し、次に私が随時お客様とコミュニケーションを取って日本語と英語のズレを修正する)。②英語のわからないお客様が、英語…

「脱サラする友人に書いたメモ」(2018年10月)

以下は先日、某社を早期退職してフリーランサー(セミナー講師業)になりたいと言ってきた友人に送ったメモ(固有名詞以外はほぼそのまま)。 年齢はほぼ僕と同じ、お子様方の教育も終わって経済的に切実なプレッシャーがあるわけではない。ただ、スタッフ部…

高校の同期会で『ベンチャーキャピタル全史』をセールス

昨日は高校の同期会。22日に『ベンチャーキャピタル全史』が出たので、近況報告の時に宣伝してもよいかと幹事にお願いしたらどうぞどうぞと。 今週号の『週刊新潮』に出た堀内勉さんの書評(A4で1ページ)を出席者全員分コピーして持っていくと参加者用資料…

発売初日に1万4000歩(丸善丸の内本店に感激し、その勢いで書店3軒をはしごする)

昨日は『ベンチャーキャピタル全史』の発売日。 編集ご担当のKさんから、丸善の丸の内本店で書店での展開が始まったとうかがっていたので仕事を午前中に片付け、昨日午後に店頭を訪ねてみた。 お、写真で拝見した通りだ。大きく展開しているんだーと感激し、…

6年ぶりの取引

某翻訳会社との取引が6年ぶりに復活した。 この6年間、その担当者の方は1~2カ月に1度は案件を僕に打診してきた。 やり取りはいつもこう。メールの時も電話の時もある。「スズキサーン、〇〇ワードで明日(明後日、3日後)どうですか?」(アメリカ人(orカ…

サービスにタダはない。

以下は、3日ほど前にお客様に送ったメール(編集済み)の一部である。 (ここから)なお、昨日お尋ねいただいた追加の件についてお答えさせていただきます(今朝お電話申し上げたのはこの件です)。 私どもとしては、ご依頼を①追加の翻訳依頼であれば文字数…

飜訳会社はまず、自社をきちんとプレゼンせよ

先日ある翻訳会社からアプローチがあって、トライアルに時間を費やしている時間はないと答えたら「登録します」と。ついては、希望単価と職務履歴書を送ってもらえませんかと来た。 こういうことは初めてではないので、「職務履歴書を送るのはやぶさかではな…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの④:ネイティブチェック(2020年12月)

ホームページの翻訳(和文英訳:ただし訳すのはネイティブ翻訳者で、僕はPM)を受注すると、参考資料として別ページの英訳をいただくことがある。 「ネイティブチェック済みです」と言われて見ると、あきらかに「てにをは」的なチェックしかしていない、いや…

「当社のホームページを英訳して下さい」:ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの③)(2020年11月)

「当社のホームページを英訳して下さい」 と依頼してくるお客様に抜けがちな視点が二つある。 ①英訳する英文のほとんどは「翻訳」としてではなく、英米人の読者向けの会社のメッセージだという点。したがって、内容によっては「英文の元となる日本語」の修正…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの②:誰のための英文?

現在、某サービス会社(A社)のホームページ/パンフレット/取扱説明書/利用規約等の和文英訳をほぼ全面的に請け負っている(最初にコンタクトいただいてから2年ほどになる)。 今、サービスの利用規約の英文をチェックしているのだが、それでつくづく思う…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの①:ホームページ情報管理統括責任者を置くべき時代

僕の本業は金融翻訳(米国のマクロ経済や市場動向に関する英文和訳翻訳)なのだが、取引先の関係やご紹介で企業のホームページ翻訳(和文英訳)を請け負うことがある。2~3年に1回ぐらいだろうか。 むろん、受け取った日本語を英語に翻訳するのは僕ではなく…

悪い英語ホームページの見分け方(2019年11月)

Google検索で "Reiwa"、"Heisei" ”top message"と打って出てくる会社は、英語版ホームページの意味がわかっていないと断言できます」とある経営者向け勉強会で話したらバカ受けした。 社長さんが「平成から令和という新しい時代を迎え」と言うのはいい。それ…

ソースクライアントに翻訳者を直接引き合わせる(2019年11月)

僕は今、一部業務でミニミニ翻訳会社みたいなことをやっている(というかやらざるを得なくなった)。案件は某上場企業のホームページ英訳である。せっかくなので、恐らく他社がやっていないことをしてみることにした。 1.翻訳者を発注者の元に連れて行き、…

日本企業の英語版ホームページ(2019年10月2日 )

意外と注目されていないと思われる翻訳の重要テーマは日本語→英語(外国語)だろう。 ①特に「書かれている日本語の言語的な意味はこうだ」(和文英訳)よりもむしろ(←ほとんどの「英訳」がこれ。この需要は今後も多いだろう)、 ②「諸外国に対するメッセー…

新規外交を止める(2018年10月)

色々思うところがあり、ここ半年ぐらいでこれまで付き合いのあった翻訳会社との契約更新を次々と止め、あるいは連絡が来ても原則断るようにしている。 10年前のJTF講演会で「請求書の数が5社になったら新規開拓を!」と息巻いていた自分が別人のようである。…

独立翌日(2021年9月2日)の営業日誌

独立した翌日の2002年9月2日からつけている「営業日誌」が51冊目に入りました。 初日にはこう書いてあります。 (ここから)本日買うものMDの機械ADSLの申し込みパソコン(?)秋葉原職務履歴書券面封筒履歴書用写真13時30分 Deodeo:パソコンの見積書送っ…

営業日誌(2018年4月)

皆様、昨日の「ちょっと自慢:家計簿32年」の書き込みに暖かいコメントありがとうございました。我が家はここ数年段階的に震災対策をしてきたのですが、唯一残っているのが「今大地震が起きたらお父さんは間違いなく落ちてきた本で死ぬ」と呼ばれている私の…

独立して気がつくこと(フリーランスになるってことはさ・・・③)(2018年3月)

30年以上サラリーマンをやってきた友人が会社を辞めて自営業者になる。その彼が「最近自分がケチになったような気がする」と。 「コスト意識が芽生えただけではないか?」と指摘したら深く頷いていた。

「機械(ソフトウエア)ができることは機械にさせた」利益は顧客に還元しなくてよいのか?(2018年3月3日)

「機械(ソフトウエア)にできることは機械にさせる」という考え方には僕も反対しない。「てにをは」や誤字脱字のチェック、同じ用語を使わなければならないところにその用語を使う。長い単語の打ち込みを省略する、等々だ。 もちろんそれを機械にさせること…

出版翻訳と「採算」(2017年12月)

実務翻訳の時は頭の中の3分の1ぐらいは採算を考えている。締め切りが比較的近い(長いものでも一カ月ぐらい)こともあって時間あたりWord数(と売上高)が常に頭の中に残っている。1カ月単位で売り上げも計算します。単価交渉もする。 しかし書籍は別だ。 最…

翻訳業と「採算」②(2017年12月)

思わず担当編集者にメールして印税率と初版部数を確認し、時給1000円を切る事実にめくるめく快感を覚え、「ヒットしてくれい!」と祈りすがる卑しいアタシ。

独立した時に決めたこと(2017年12月3日)

独立した時に決めたことがある。 「当初数年は知り合いの伝手に頼らない」こと。 理由は2つ。①ゼロから自分で仕事を増やす営業力をつける必要があると思ったから。②実力もないのに紹介してもらって失敗したら紹介してくれた人の顔をつぶすことになると思った…