金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

その他

自社がスキャンダルにまみれたとき

今から30年近く前、自分の勤める会社が社会から圧し潰されるのではないかと思うほどの強烈な不祥事を引き起こした時、僕はその渦中にいて社内に3種類の人間が生まれる様子を目の当たりにした(この傾向は、上層部ほど強かったように思う。僕は当時37歳。本社…

オックスフォードが選んだ今年の言葉:「脳の腐敗(brain rot)」(2024年12月17日)

昨日(2017年12月16日)付の朝日新聞「天声人語」で、オックスフォード英語辞典の出版社が、今年の単語に「脳の腐敗(brain rot)」を選んだと発表したとの記述があったので、ウェブページを見に行きました。以下はそのページの最初の三段落のコピペと、生成…

フィンランドの教育改革が示唆すること

昨日、池上彰さんの番組で、世界の最先端を行くとされるフィンランドの小学校が、デジタル教育を廃止し、旧来の紙と鉛筆の方式に戻ったという最近の教育事情が紹介されていた。 このこと自体は以前から知っていたので特に驚きはなかったし、インタビューを受…

日本の総選挙の結果についてのウォールストリートジャーナル紙の論評(2024年10月28日付)

以下は、Japan’s Political ShakeupVoters rebuke the ruling LDP party, but at the risk of a defense setback.(日本の政界に激震:有権者が与党・自民党に厳しい審判を下すも、防衛政策の後退リスク。) と題された、2024年10月28日付ウォールストリート…

「『トランプ氏はファシスト』は民主党によるレッテル貼り」というウォールストリートジャーナル紙の社説

昨日付ウォールストリートジャーナル紙の社説。タイトルと最初の2段落だけを紹介する。The ‘Fascist’ Meme ReturnsWhy the public isn’t buying this Democratic claim about Trump.(「ファシスト」というレッテルの復活なぜ公衆はトランプに対する民主党…

ドナルド・トランプの危険性 彼をよく知る人々からの警告(ニューヨークタイムズ紙論説委員会)

以下は、この無料記事*(NYTの論説委員会)のリード部分をChatGPToで翻訳→Claude 3で翻訳をチェック(特に訳抜け等がないかを確認せよと指示)、→ChatGPToで再チェックした結果である(1カ所だけ「編集委員会」を「論説委員会」に訂正させた以外は出力その…

穏当なアメリカ人の恐怖と不安(アメリカ大統領選挙)

以下は参照先のニューヨークタイムズのオピニオン( 2人の記者の対談)からの引用である。発言者はトランプ氏は大嫌いだが、かといってハリス氏には踏み切れないでいる「ややハリス派」の記者。 If Trump wins the election, I’ll feel sick. If Harris wins…

" concepts of a plan"に既視感(2024年9月15日)

クルーグマン氏の論考。今、" concepts of a plan"が反トランプ派でバズっています。For policy wonks like me, however, the most remarkable moment in the debate probably came when Trump was asked whether he had a plan for health care reform, and…

やましい仕事、うらやましい仕事

「楽して」儲かる仕事は「やましい」けど、「楽し『く』て」儲かる仕事は「うらやましい」。 ふと思いついたことば、かな。

Is this a new age of warrior Japan?「軍国主義日本の再来か」というエコノミストの記事から( 2020年9月1日)

Is this a new age of warrior Japan?「軍国主義日本の再来か」The country is spending more on its armed forces. But not everyone is on board(国民がこぞってこれを支持しているわけではない) 日本の防衛費の大幅増額と、それに対する日本国民の若干…

日経と朝日の読書欄(個人的な感想です)

個人の好みの問題だと思うけれども、毎週土曜日の読書欄、ビジネス関連本が並びつつ文化面も抑えている日本経済新聞の方が僕にはしっくりくる。朝日新聞は文化面に寄りすぎているという印象だ。日本経済新聞は社会の断層という感じがするが、朝日新聞は浮世…

テレ東(というかモーサテ)のなんという人材発掘力!

本日のNHK日曜討論にジョセフ・クラフト さん(ロールシャッハ・アドバイザリー株式会社代表取締役) が出演していた。 クラフトさんだけじゃない。ここ半年ばかり中空麻奈さん(パリバ証券)もよく出演している。中空さんはたしか先生NHKの夜のニュースに解説…

生成AI時代の日本のメディアのニュースの取り方/How Japanese Media Gathers News in the Age of Generative AI - July 27, 2024

今や日本のメディアは、国内ニュースについては自社の社員に足で取材させ、海外ニュースについては現地に派遣するのではなく、各地の記者が足で稼いだ記事をネットを駆使して掘り起こし分析する。その方が良質の記事を効率的かつ経済的に読者に提供できる時…

生成AI時代の外国メディアの読み方・売り方/How to Read and Sell International Media in the Age of Generative AI- July 26, 2024

(英語が得意でない読者のみなさんへ)断言しよう。仮にあなたが英語を全然読めなくても、生成AIを使えばニューヨークタイムズを定期購読して記事を毎日読める。常識で翻訳の不備は補える。無償版は量に制限があるので必要があれば有償版に変えれば良い。問…

ちょっと行き過ぎ?:未成年のお酒とたばこをめぐる騒動について

19歳の少女のお酒と喫煙が問題視されオリンピック辞退に発展。国会議員が救済のための委員会をつくるといった事態になっております。 単なる出来心でお酒とタバコ?あり得るでしょう。もちろん本人にはしっかりお灸を据えるべきですし何らかのけじめ(処分)…

ジョージ・クルーニーさんからのバイデン大統領の撤退を求める寄稿(2024年7月11日)

この記事はニューヨークタイムズのプレゼント記事なので、いつクリックしても無料で読めると思います。バイデン大統領に対する尊敬と愛情を込めた勇気ある撤退要請だと思う。 quote: I love Joe Biden. As a senator. As a vice president and as president…

バランスの取れすぎた、「角」の取れ過ぎた文章はつまらない

先日、朝日新聞と日本経済新聞の読書欄を眺めながらつくづく思ったのは、 四方八方に目を配りほどよくバランスの取れた隙のない文章は「つまらない」ということだ。 もちろん、炎上を狙いに行くのは本末転倒だ。また「書きすぎ」が思いもよらず他人を不快に…

「届く」本はリアル

さっきたまたま知り合いの翻訳者の方が、ご自分で訳した本の写真を掲載して「届いた!」と書かれたツイートをリツイートした。 それで思ったのだが、 自分のキンドルにダウンロードして表紙のページを写真に撮って「届いた!」あるいは「ついにダウンロード…

学校の先生や講演の講師に望むこと「試行錯誤を見せてほしい」

大学の先生方や講演者に望むことは、「自分の試行錯誤を見せてほしい」ということである。それが最も教育的だと思う。 定期的に(たとえば毎週、あるいは毎月)開催される通常の授業では、先生自身が解決できない問題を提示し、自分の疑問もそのまま認めた上…

コメンテーターのレベルが段違いに高いテレビ東京「モーニングサテライト」

この4月以降のテレ東「モーニングサテライト」はコメンテーターの解説が大いに光っている気がする。特に「プロの目」はもちろんのこと、「今日(今週)の予定」と「日経朝特急」直後、そして番組終了直前の「経済視点」はメモを取ってみています。時たま見る…

出会った言葉:「(日本は)西暦2000年には一人当たり国内総生産が、アメリカを抜くと見られている」

出会った言葉:「前記のOECD未来予測によると、日本についてだけは、1990年まで年平均6.4パーセントという高率の成長が続くとみられている。また西暦2000年には一人当たり国内総生産が、アメリカを抜くと見られている」。 (石川博友「80年代は波乱含みか」…

今後の展開が実に楽しみな「趙治勲 私の履歴書」

こんなに面白い「私の履歴書」も久々かも。勝負事には関心がなく、囲碁も将棋もしらないウチの妻が夢中になっています。 ポイントは自分の失敗談やつらい話をありのままにさらしているからではないかな。 「練習碁を打っても先輩たちとのハンディは増えるば…

最高の誉め言葉:Q社の10周年記念パーティーにて

一昨日、お世話になっているQ社の10周年記念パーティーでのこと(実は日付を1カ月間違えて先月の同じ日にパーティー会場に行ってしまった先である)。翻訳チーム設立当初から(つまり、7年前から)加わっていただいてるYさん(金融翻訳者として20年のベテラ…

存在目的(パーパス)の追求は上場と両立できる

先日の勉強会で『フリーダム・インク』を取り上げていただいた。その席で以下のような質問をいただいた。 「理念の浸透や社員の自由を何よりも重視する上場会社は、上場すれば株主への配慮が優先され、短期的利益第一に走る危険があるのではないだろうか」 …

松本道弘さんがエコノミスト誌を持っていた理由

過去のブログを見ると2018年だから、故松本道弘さんのセミナーに参加したのは亡くなる6年前だったことになる。会場は大手書店のセミナー会場で、当時松本さんが出版された書籍のプロモーションを兼ねていたのだと思う。 いよいよ80歳になろうとしていた松本…

『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(森合 正範著、講談社)

「負けた試合のことなんて思い出したくない」 ふつうはだれでもそう思う。故野村克也監督は「負けに不思議の負けなし」とおっしゃった。これは「負けは思い出したくないもの」という一般の通念を前提として、あえて若い人たちに反省を促した名言だと思う。 …

オリンピック動員令秘話(フィクションです)(2018年8月29日)

お断り:以下はフィクションである。 S大臣「ソーリ、ソーリ、東京オリンピックのボランティア促進策ですが、素晴らしいアイデアを思いつきました!!」 草履大臣「忙しいから手短に頼むよ。資料はA4で1枚ね。読み仮名もきちんとつけて」 S「は、はい、『ボ…

世間が若者に甘かった頃:高校の同窓会で(2023年6月28日)

25日(日)にあった高校の同窓会で、K君、S君と45年ぶりに会えたのは「超弩級」の感動だった。 確か最後に会ったのはK君のご自宅。在学中はそれほど親しくなかったお二人と、大学受験が終わって卒業式までまだ2週間ぐらい、誰も大学に合格していないことだけ…

「五感をフル稼働して自分なりの基軸を持て」:チャットGPTにどう対処すべきかに関する3つの記事(2023年6月1日)

チャットGPTにどう対処していくべきか、に関する興味深い記事が3つ立て続けに出たので紹介しておく。 (1)「わが子をチャットGDPを使いこなせる大人にするためには、小さい頃は「サル」として育てる必要があると思います。(中略)鉛筆を使う。消しゴムを…

ChatGPTは英語が圧倒的に有利(2023年5月25日)

The Economistの記事を読んで気になったので、ついさっき(203年5月25日午前10時頃)した質問。すべて日本語である。 (私の問い1)チャットGPTさん、あなたは私が何かについて日本語で質問した時、日本語以外のデータ(例えば英語)まで調べに行った上で回…