金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

その他

存在目的(パーパス)の追求は上場と両立できる

先日の勉強会で『フリーダム・インク』を取り上げていただいた。その席で以下のような質問をいただいた。 「理念の浸透や社員の自由を何よりも重視する上場会社は、上場すれば株主への配慮が優先され、短期的利益第一に走る危険があるのではないだろうか」 …

松本道弘さんがエコノミスト誌を持っていた理由

過去のブログを見ると2018年だから、故松本道弘さんのセミナーに参加したのは亡くなる6年前だったことになる。会場は大手書店のセミナー会場で、当時松本さんが出版された書籍のプロモーションを兼ねていたのだと思う。 いよいよ80歳になろうとしていた松本…

『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(森合 正範著、講談社)

「負けた試合のことなんて思い出したくない」 ふつうはだれでもそう思う。故野村克也監督は「負けに不思議の負けなし」とおっしゃった。これは「負けは思い出したくないもの」という一般の通念を前提として、あえて若い人たちに反省を促した名言だと思う。 …

オリンピック動員令秘話(フィクションです)(2018年8月29日)

お断り:以下はフィクションである。 S大臣「ソーリ、ソーリ、東京オリンピックのボランティア促進策ですが、素晴らしいアイデアを思いつきました!!」 草履大臣「忙しいから手短に頼むよ。資料はA4で1枚ね。読み仮名もきちんとつけて」 S「は、はい、『ボ…

高校の同窓会

25日(日)にあった高校の同窓会で、K君、S君と45年ぶりに会えたのは「超弩級」の感動だった。 確か最後に会ったのはK君のご自宅。在学中はそれほど親しくなかったお二人と、大学受験が終わって卒業式までまだ2週間ぐらい、誰も大学に合格していないことだけ…

「五感をフル稼働して自分なりの基軸を持て」:チャットGPTにどう対処すべきかに関する3つの記事

チャットGPTにどう対処していくべきか、に関する興味深い記事が3つ立て続けに出たので紹介しておく。 (1)「わが子をチャットGDPを使いこなせる大人にするためには、小さい頃は「サル」として育てる必要があると思います。(中略)鉛筆を使う。消しゴムを…

ChatGPTは英語が圧倒的に有利

The Economistの記事を読んで気になったので、ついさっき(203年5月25日午前10時頃)した質問。すべて日本語である。 (私の問い1)チャットGPTさん、あなたは私が何かについて日本語で質問した時、日本語以外のデータ(例えば英語)まで調べに行った上で回…

NHK基礎英語は「1」の方が「2」よりもずーーーーっとレベルが高いというお話。

昨年「基礎英語1」からまじめに勉強し始め、この4月から「2」に移った妻が、「基礎英語1」と「基礎英語2」の(特に副読教材の)あまりのレベル差に驚愕している。「基礎英語1」の方が圧倒的に難しい(高校レベル)のだ。 実は特に副読教材のレベルが高い…

アマゾンの書評

アマゾン等の書評では、少なくとも次が明らかになっていることが必要だと思う。 ①評者は自分でその本を買ったのか、著者または関係者から寄贈されたのか。あるいは寄贈され、かつ購入したか。 ②評者は著者の個人的な知り合い(いわゆるお友だち)か。 ③評者…

「reskilling」は「学び直し」ではない

ここに来て「リスキリング」ということばがにわかに注目されているようです。 実は昨年3月にこの言葉について記事を書きました。どうも、今の日本語としての「リスキリング」の使われ方は、記事の最後に懸念したように、本来の意味から遠ざかっているようで…

日本経済新聞「私の履歴書」は社内報にあらず

(以下引用)その経緯について私がとやかく言うことはない。いろいろ解説する人がいるのは知っている。成否は歴史が決める。(引用ここまで)(古賀信行 私の履歴書(24)サブプライム 野村ホールディングス名誉顧問) 僕は同社の元社員(1998年に退職)であ…

「批判」はグッと我慢してまず受け入れたい。

書籍へのコメントに対する著者の反応に2種類ある。①「こいつは何もわかってない!」と切り捨てる人と、②「ありがとうございます」と謙虚に構える人だ。誰でも褒められたい。(著者・訳者である)僕だって持ち上げられたい。 そして、自分の成果物を批判され…

プロフェッショナル仕事の流儀「縁の下の幸福論 〜校正者・大西寿男〜」を見て

僕は翻訳者なので、このお仕事の価値や大切さを自分なりにわかっているつもりですが、しかしだからこそ、「1文字あたり報酬が(よくて)0・5円」「1日調べた結果の報酬が4000円(ということもある)」というナレーションは、校正という仕事に興味関心を持…

「脱サラする友人に書いたメモ」(2018年10月)

以下は先日、某社を早期退職してフリーランサー(セミナー講師業)になりたいと言ってきた友人に送ったメモ(固有名詞以外はほぼそのまま)。 年齢はほぼ僕と同じ、お子様方の教育も終わって経済的に切実なプレッシャーがあるわけではない。ただ、スタッフ部…

「渥美清は、元気かい」

以下は、2022年9月17日の朝日新聞朝刊に載った山田洋次監督の文章から。寅さんシリーズが7~8作目まで来た時に、まだ続けるかどうかを尋ねた山田監督に渥美清さんがこう答えたそうです。 「5作目を封切った頃、私が東京駅のホームで遅い時間に電車を待って…

敵対的TOBのBeforeとAfter:昨日の「ジョブチューン」大戸屋対一流料理人(7名)対決を見て

昨日のジョブチューン、大戸屋対一流料理人(7名)のリベンジ・マッチは、テレビを見ている我々とは違う意味で、大戸屋社内ではかなり真剣かつ深刻に注目されていた回だったと思う。 なぜか?1回目が、敵対的TOBによるM&A騒ぎの「前」だったからだ。 つまり…

「知床旅情」は森繁久弥さんの即興

出会った言葉:(ここから)あの名曲「知床旅情」はこの映画の宴会シーンで森繁さんが即興で作詞作曲したものである。撮影中に久松静児監督が突然、「ここでひとつ歌が欲しいな。繁さん、何か歌え」と言った。場面は、知床の漁師の息子(僕の役)の出征を祝…

妙に懐かしい会話

昨日の午後、歩道を散歩していると右手の小学校の正門から年中ぐらいの男の子と小1ぐらいの女の子が出てきた。信号が青で男の子が先に横断歩道をわたり、6メートルぐらいの道路を渡り終えたぐらいで信号が点滅する。元々車のあまり通らない通学路だ。 女の…

『ミカエルの鼓動』を二晩で読み切る(ネタバレです。ご注意!)

『ミカエルの鼓動』柚月裕子著(文藝春秋社) 女「横山秀夫」さんの最新刊。 自分の仕事に圧倒的なプライドと正義感を持つ主人公の心臓外科医が、自分と同じかそれ以上のプライドと腕と正義感を持つ同じ分野のライバル医師と対立しながらも彼のことを認めて…

あの一瞬

一発目の銃弾の後、元首相が振り返り、皆一瞬止まったよね。あの時はSPも警護の人も「まず自分(を守る)」と思ったんじゃないかな。 その方たちが職責に照らした行動をしていたのかどうかとの検証と評価、そして今度似たようなことが起きた時に①警備担当者…

現代劇のように見てしまう「鎌倉殿の13人」

「大泉洋が亡くなって、いよいよ小池栄子と小栗旬の姉弟愛が光ってくるわけだよな~」「比企家は一晩で滅ぼされるらしいわよ」「佐藤二郎さん憎たらしいよな~。『ファぶる』じゃいい味出して可愛いんだが」「うまいから憎たらしいんじゃないの」「やはり、…

僕の「セクハラ(?)」発言①

私:おはようございます。昨日次のような書き込みをフェイスブックにしたのですが、正しいでしょうか? (ここから)「昨日のオンライン勉強会の最中に、ある女性の参加者の方に「Sさん、髪の毛伸ばされました?」とつい尋ねてしまった。「はい、実は・・・…

「書き起こし原稿」と「翻訳」の違い(2022年5月)

その月のテーマを漠然と決めて材料を集めているうちに一つに絞れてくる。結論(というか仮説というか)らしき物がぼんやり見えたものをその月のテーマにする。そこからまずは書き始め、書いているうちに構想(というか結末までの流れ)が明確になっていき、…

「PASTの法則」

客観的には嘘が明白なのに絶対認めない。もしかしたら、自分は嘘を言っているつもりは全然ないのかもしれない。本人が何を言っても周囲が忖度して「本当に」なってしまうことが重なるとそうなってしまうかもしれない。 写真を見せられても、音声を聞かされて…

新聞週間だからこそ、あえて新聞社をはじめとするマスコミ各社に言いたいこと

新聞週間って「新聞の意味を読者に知ったもらいたい」という新聞社側のキャンペーンだと思うけれども、作っている人たちにも新聞の果たすべき役割をこの機会に考えてもらいたいので、あえて強調したい。 僕が新聞をはじめとする主要メディアに求めるのは、特…

「ロシア経済はこれからどうなるか」を考える上でのヒント

以下は、たまたま今朝読んだ書籍からの引用です。今、ロシア経済が置かれている状況はこの時よりもはるかに厳しいのではないでしょうか。だってソ連崩壊後の数年間は、とりあえず「平和」だったのに対し、今のロシアは戦争状態にあるのですから。 今後を考え…

「自動人形」にならないために(『100分de名著「ル・ボン 群集心理」』から)

出会った言葉:(以下引用です)わかりやすく導かれた正解や、正論とされている言説に対しては、「本当にそうなのか」「それで本当にいいのか」と、しつこく問い続ける。……「わかりやすさ」の蔓延に対して「わかりにくさ」を許容する。繰り返し目にする主張…

NHK日曜討論「増え続ける犠牲・避難 ウクライナ危機打開は」

始まってしまった戦争を、攻められた側は徹底抗戦すべきなのかどうか、今の所当事者ではない僕たちはどうすればよいのか、について考えるヒントをもらった番組。 NHK日曜討論「増え続ける犠牲・避難 ウクライナ危機打開は」(3月20日) KHさん(国際政治学者…

戦争は「逃げろ」が基本

命がけで侵略者に対峙している人たちに「ああすべき、こうすべき」と言う資格は僕たちにはない。ただ、この結果についてはこう思う。「ウクライナ兵士の皆さん、よくぞ無駄な戦闘を避けて逃げてくれた。立派です。ご苦労様。あとは外交に任せろ」。 ロシアは…

「師匠」と「弟子」

「私はあの人の弟子」「あの人は私の師匠(先生)」とはよく聞くし僕もよくそう話し書くことはあるが、「あの人は私の弟子」「私はあの人の師匠」というセリフを読み聞きすると、引く。