金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチ

『通訳翻訳ジャーナル 2022年冬号』(イカロス出版)

テーマは「産業翻訳で求められる日本語力とは?」 でも、別に金融翻訳で求められる特別な日本語力があるとも思えないし、もしあるとすればそれはかなり特殊な業界用語や言い回しになってしまうもので、それは仕事の中で覚えておけばよいと考えます。そこでも…

『英検分野別ターゲット:英検1級長文問題120』途中までの感想(翻訳ストレッチの教材から)

ほぼ20年ぶりに英検1級の参考書で勉強しています。前回受験時(翻訳者として独立直後に合格しました)の英検1級は確か問題文(3)「次の英文を読んで・・・」)も日本語で、形式としては東大の二次試験みたいな感じだった(と思うがハッキリ覚えてはいない…

英英辞書の語釈から和訳に進む:『新訂・英文解釈考』③(翻訳ストレッチの教材から)

佐々木高政著『英文解釈考』って。その後の伊藤和夫さん他に比べると構文の解析が大ざっぱで、どちらかというと「読書百編、意自ずから通ず」みたいなところがあるのだけれど、英英辞典を使った英単語とか英熟語(慣用句)の深い理解とそれに基づく和訳を学…

参考書の勉強の仕方を教える本

翻訳/英文の読み方の参考書や読み物が次々と出ている。これらは「読み物」ではなくて手を動かして「勉強するもの」だ。ところが多くの「参考書」が「読み物」として売られている。どういう参考書を選んで、どう勉強すべきなのか?を導く「読み物」があって…

関係代名詞の「訳し方」に関する基本的な考え方(翻訳ストレッチの教材から)

伊藤和夫著『英文解釈教室 改訂版 別冊』p21 に掲載されている「訳出の工夫 13」は I know a boy whose father is very rich. を例文にして5つの訳文とその背景となる考え方が説明してある。これは簡単な関係代名詞の英語を「どう訳すか」という解説で、大学…

翻訳ストレッチ内訳(2021年7月末時点)

1.英文解釈(毎日):毎日30~40分 毎日2冊(1冊は20分、1冊を10分が基本)。全て紙に訳文を書いて模範解答を見て添削。5~10回音読。最近は添削、音読に加え、模範解答の和訳を書き写すようにしている。 『英文標準問題精講』(原仙作、中原道喜、旺文社…

27周目に突入。

『表現のための実践ロイヤル英文法―英作文のための暗記用例文300』が最後まで来て、メモしてある日付を数えたら26個あった。つまり25日でこの文集を2007年以来27周したことになる。メモっていない日もあるはずだから実際は30周ぐらいだろうか。 これは『表現…

翻訳ストレッチ用音読(日本語)教材について(2021年7月)

先ほど本棚にある「翻訳ストレッチ」用音読教材を数えたら28冊あった。元々は読みたいと思っていた本を順番に読んでいるといつまでたっても読めない(積ん読になってしまう)ので本棚に加えてきた結果だ(これ以外に寝床で読む本が3~5冊ぐらいある)。 毎…

時制について(翻訳ストレッチの教材から)

時制について考える興味深い文章に出会った。 (以下引用)目が覚める。しばらくして目覚まし時計が鳴る。ラジオをつける。コーヒーを沸かす。コンピュータを起こす。顔を洗う。そして、わたしは昨日書いた詞を読み返した。と、ここまで書いて気がついた。初…

『英文標準問題精講』の疑問はインターネットでほぼ解決可能。

原仙作著、中原道喜補訂『英文標準問題精講』(旺文社)については、その疑問点(誤訳等も含む)についてはインターネット上でほぼすべて解決済みなので、解説等を読んで疑問に思ったら原文を検索にかけてみるとだいたい片付くーー英語好きの皆さんにはすで…

総称のtheについてのメモ(翻訳ストレッチの教材から)

文法書を単独で読んでいても気がつかないことでも、英文解釈の参考書で説明されている文法事項を出発点に文法書を改めて紐解くと、それだけを読んでいただけでは退屈だった(?)説明が活き活きと見えて勉強になることがある。今回がその例。 (1)総称のth…

いつまでもアマと思うなよ 8年後の逆襲(?) ~金融翻訳者が語る自立するための心がけと 具体的な方法 2~

最近、昔の資料を引っ張ってはブログに再掲していますが、以前の私のツイートに反応してくださった方がいてこれも公開されていたことを思い出しました。直接リンク先をツイートすればよかったのですが、いったんこのブログを通すことにしました(なお、この…

飜訳会社への応募条件②―TOEIC900点、そんなに大変か?

一昨日の書き込み(このブログに書いたものとほぼ同じ内容)の後、私は次のやや刺激的な投稿をお友だち限りで書いた。 ①「私は英検1級持っていますが、トライアルに全然受からないんです」という話は聞いたことがない(ちなみに僕は英検1級を取って独立した…

飜訳会社への応募条件

以前から思っていた素朴な疑問がある。 翻訳会社はなぜ、応募書類の一つとして公的な英語の試験(英検や国連英検、TOEIC、TOEFL)の合格証やスコアの提出を求めないのだろう?語学関連の仕事でしょ?必要条件じゃないの? 上の疑問を昨日自分のフェイスブッ…

翻訳ストレッチ内訳(2021年4月末時点)

1.英文解釈(毎日):毎日30~40分 前回までは『英文標準問題精講』を毎日、その他を1冊ずつ入れ替えていたが、現在は毎日2冊(1冊は20分、1冊を10分が基本)。全て紙に訳文を書いて模範解答を見て添削。5~10回音読 『英文標準問題精講』(原仙作、中原道…

誰でも学び続けることはできる。

学ぶ方法に正解はないが、学ぶ姿勢にはあるような気がする。 それは、愚直に継続しろということではないかな。 誰でも1日だけならできることを365日続ける-「続けている生活習慣」ランキング - 金融翻訳者の日記

毎朝のトイレ掃除を褒められた話(2021年4月)

「〇〇さんのところ、奥様が体調崩して2カ月ぐらい入院していて先日退院したんだけどね…トイレの業者さんに清掃頼んだんだって」 「え、どういう意味?」 「2カ月掃除してなかったからウォシュレット動かなくなっちゃったんだってさー」 「そりゃ大変だな、…

翻訳テクニックを学ぶ前にやるべきことがある―『新版 産業翻訳パーフェクトガイド』

「専門知識の効率的な学び方」について執筆させていただきました。 「英検一級orTOEIC 900点とアナリスト試験一次レベルが出発点」ということ。確か、5年ほど前にも同じテーマでほぼ同内容のことを書いたなと思い、原稿がほぼできてから編集部に電話して相談…

才能は有限、努力は無限

出会った言葉: 毎日毎日、蓄積していく。毎日つまらない同じことをずっと繰り返していたところに、ゴルファーとしてではなく、すごく、こう、一人の人間としてですね、ああ、一流っていう人はこういう人なんだなって思ってきました。 ゴルフダイジェスト・…

飛田 茂雄著『翻訳の技法―英文翻訳を志すあなたに』(研究社出版 1997年)

本書は、中嶋彩佳「カズオ・イシグロの小説における翻訳の名残り」『ユリイカ』2017年12月号特集「カズオ・イシグロの世界」所収(P77)の論文の参考文献に載っていた。 図書館で借りて最初の20ページぐらいを読み、買おうと決意した。これから本格的に読み…

手書き写しの効用②

出会った言葉:……白川静(1910~2006)は、古代の甲冑文字や金文をひたすら書き写すことで、文字の成り立ちのみならず、底に隠された古代中国の人々の文化や思想まで解明していったという。写経もそうだが、書き写すという作業は、文字と文章、意味と思想を理…

翻訳者の本棚

「え~鈴木さん、今度『翻訳者の本棚』という企画で一度取材を・・・」 「え?本棚4本しかありませんよ。先日リフォームに伴って1000冊ぐらい減らしたんで」 「そこはご心配なく、先日取材させていただいた方も、『断捨離』直後だと固持されたのですが、そこ…

試行錯誤の頃(今もですけど)

8年前の今日(2013年3月24日)にフェイスブックに以下の書き込みをしました。 (以下引用) 今、ふと思いついたんだけど、例えば僕の場合で言えば、英語の勉強(読解力の養成)金融の勉強(金融知識の蓄積や金融理論の理解)、そして日本語の勉強(文章力…

『英文標準問題精講』を8カ月で終了

『英文標準問題精講』の学習を本日終了した。 勉強開始は昨年5月15日からほぼ10カ月、おそらく1日も欠かさず演習問題を含む全220問に取り組んできた。学習内容は、 ①全文手書きで訳す。辞書は随時使いました。試験ではないので。②同書の[研究][語句][訳文]を…

字を大きく書く(2021年3月)

「お父さん、字が上手になる方法知ってる?」今朝私が居間で某原書と訳書を大学ノートにせっせと書き写していると、珍しく早起きした妻が私の手元を覗き込んでこう私に尋ねた。ちなみに我が相方はどこの誰からも何も教わっていないのに「なぜだかわからない…

本を処分する

フェイスブックの「思い出」機能は、毎日1年前、2年前、・・・・6年前、8年前の「今日」書いたものを振り返ることができる。 以下に紹介するのは8年前の今日、2013年3月10日(日)に書いた内容。その2年前の東日本大震災を受けて我が家も耐震対策を着々と実…

書き換え問題の落とし穴(2021年2月)

She swims well. ⇔ She is a good swimmer. という類いの「書き換え問題」を中高生時代にはさんざんやらされるのだが、この時に、 「一般的に英語では、動詞的、叙述的表現よりも名詞化表現を好む傾向があるため、『彼女は水泳が上手い』に対応する英語とし…

『英文「超」精読』はかなり良さそう(買って3日目の感想)

一昨日、映画を観た後にたまたま立ち寄った本屋で見つけて、パラパラめくって5分で購入を決意。この手の本を衝動買いしたのは初めてだと思う。相当良いいぞ~思ってアマゾン見たら、元々かなり評判よい本だったことが判明した。 本書の特徴は「この本の概要…

「誤訳」と「悪訳」

「『誤訳』とは、原文についての(語句・構文・文法・内容などの面における)解釈が間違っていて、それが原因で生まれる訳文。『悪訳』とは、解釈そのものは正しく行われていても、訳文を通して原文の内容の正しい理解に到達することが困難なもの、としてお…