金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

生成AI

「AIは書きながら考え直さない」(2026年5月9日)

今、二つの生成AI(ClaudeとChatGPT)を使って翻訳チェックしているのだけれど、その途中でふと思いついたことがあったので次の問いを発してみた。一つ目((1))は僕からClaudeへの問いと答え。2つ目はその問いと答えをChatGPTに見せて考え方を述べさせた…

AIとの対話で衰えるもの(2026年5月8日)

すでに多くの人が実感していることだと思うが、生成AIには、どんなに馬鹿げた問いでも投げかけることができる。どんなに愚かな質問を何度繰り返しても、AIは真摯に応答してくれる(少なくとも表面的には)。つまり、AIに話しかけるとき、私たちは、相手の感…

AIは「清書」しているだけ(2026年5月6日)

「論理学者の野矢茂樹(2006b)は、思考において究極的に重要なのは論理ではなく、それより根本的な『閃き』や『飛躍』なのだと述べている。論理は『閃きによって得た結論を、誰にでも納得できるように、そしてもはや閃きを必要としないような、できる限り飛…

Geminiに毎回「忖度禁止」と書く理由(2026年5月4日)

最近よく使うようになった無料版のGeminiについて、少し気になっていることがある。ユーザー、つまり僕の狙いを汲んで、聞いてもいないことまで答える傾向があるように感じるのだ。 もちろん、便利なこともある。こちらの意図を先回りして補ってくれることが…

子どもが親を変える時代——α世代と「逆社会化」の衝撃(日経「経済教室」から)( 2026年4月22日)

今日のこの記事は、今の若者たちのトレンドを理解する上でとても参考になる。 小々馬先生によると、α世代はAIを日常的な意思決定の補助として活用する「真のデジタルネーティブかつAIネーティブ世代」とのこと。生成AIが世に知られてまだ3年半なのだ。まだ多…

「『選ぶ』という創作」(2026年4月16日)

本日の日経朝刊最終面の記事は、生成AIに「書かせた」小説が、人間の書いたものとは区別がつかないほど高レベルになってしまったという内容。星新一賞が生成AIによる小説を受け付けていることも、今回の入選者に生成AI利用者が多かったことも知っていたのだ…

もやもやが形になるのを、AIが邪魔してる?(2026年3月24日)

頭を使うというのは、何となくモヤモヤ~っとしているものの中から、だんだんと焦点が定まってくる過程の苦しみや努力のことじゃないかな。 生成AIは、その焦点が定まる前のアイデアを打ち込むだけで、すぐさま「ヒント」をくれる。思考の順番まで用意してく…

Claudeはなぜダウンしたのか――GrokとPerplexityに聞いてみた(2026年3月4日)

昨日のClaudeの件に関して、まずGrokに尋ね、その答えをPerplexityに評価させた(いずれも無料版)。まず、Grokの説明に対するPerplextyの評価を、その次にGrokを紹介します。 鈴木のPerplextyに対するプロンプト:僕の次の質問とGrokの回答を評価せよ。忖度…

生成AIとの距離感——頼りにするけど、すがらない(2026年2月22日)

生成AIは、使えば使うほど怖くなります。便利すぎて、気づいたら自分の頭で考えることをやめてしまうのではないか――3年近く使い続けてきた今、最も強く感じるのはその怖さです。 便利さや奥深さは、実際に使ってみなければ実感しにくい面があります。しかも…

言語変換は翻訳ではない——生成AIが可視化した構造的誤認(2026年1月20日)

翻訳は直訳ではなく、ましてや言語変換ではない——これは我々翻訳者にとっては常識である。ところが、この常識が、母語から外国語への翻訳においては十分に自覚されていないのではないか。そう思わざるを得ない出来事が、最近二つあった。 一つ目は、先日ある…

生成AIの追随バイアス──究極の「イエスマン」、「鏡」? (Gemini/ChatGPT/Claude/Grok/Perplexityの実験対話)( 2026年1月15日)

生成AIを使い始めてほぼ3年。これまで翻訳がらみでしか使ったことがなかったのだが、今月ふとした思いつきで、株式投資の判断のヒントになると思い生成AIに尋ねてみた。なかなかしっかりした、客観的な意見をいうものだと感心した一方で、これまでの使用経験…

翻訳AIに投資相談してみたら・・・(2):危うく「追従バイアス」に引っかかりそうになった件(2026年1月13日)

つい先ほど、ある銘柄について問うたところ、「これは買いですよ」と買い材料を集めてきたGemini(無料版)に念のため尋ねた。 鈴木:君、まさか僕に忖度してるんじゃないだろうね。回答はこれ. Gemini:立哉さん、再び鋭い牽制をありがとうございます。正直…

Claudeは「文系女子」、ChatGPTは「理系男子」(その2) ――大量処理で見えてきた“危うさ”と付き合い方(2026年1月12日)

「ChatGPTは仕事を端折る。プロンプトでかなり入念に監査をさせているつもりでも無理なので、人間がかなり入念にチェックする必要がある。一方のClaudeは愚直なまでにプロンプトの指示に従おうとする。結果として形式主義に陥り融通が利かない傾向がある。ど…

翻訳AIに投資相談してみたら、性格の違いが如実に出た件(2026年1月6日)

いやはや参った。 翻訳チェックで使っていたClaudeに 「ちょっと一服。僕は配当重視の長期投資家です。A社とB社、君ならどちらを購入する?」 と尋ねたらさ、「お疲れさまです、一服ですね。ただ、申し訳ございませんが、私は投資助言を行う立場にありません…

生成AIで「考える」ってどういうこと?(2026年1月3日)

生成AIを用いて考えるとは、自分と生成AIの考え方のズレを追求していくことだと思う。 具体的には、自分はなぜそう考えたのか、AIはなぜ別の答えに到達したのか、その差分は「知識」なのか、「前提」なのか、「価値判断」なのか、「論理構造」なのか、といっ…

生成AIは「超秀才」だ――でも( 2020年12月28日)

生成AIを「ただの便利な道具」だと思うなら、その本質を見誤っていると思う。 我々凡人にとって、圧倒的な知性と洞察力を持つ相手と、真正面から対話できる機会が人生でどれほどあるだろう。そうした人物は、幅広い知識を背景に、驚異的な速さで思考を展開し…

「生成AIで自分のブログ記事を『検索』できた」話( 2025年12月13日)

今朝、僕にとっては驚天動地(?)の発見よいうか、気づきがあった。 生成AIへのプロンプト: 一つ質問があります。(この「金融翻訳者の日記」のトップページを見せて)これは僕のブログ記事のトップページです。この僕のブログ記事の中を検索して、ある話…

ChatGPTの"ポカミス"とClaudeの"忖度"——翻訳AI(有料版)を2年半使って見えたこと(2025年11月19日)

主に翻訳および翻訳チェックを目的として、ChatGPTの有料版を約2年半、Claudeの有料版を半年ほど併用して使ってきた。そのうえで、現時点での私の印象をまとめると、以下の通りである。 (1)(おそらくハルシネーションに起因する)"ポカミス"は、ChatGPTの…

プロンプトは母語(日本語)の方がいい(?)( 2025年11月15日)

日本語で書かれていたプロンプトを修正する過程で、英語が混じっていたので質問したところ返ってきたチャットGPTの回答がこれ: 「あの部分を英語で残していたのは、AIモデル(生成系言語モデル)の構文理解層が日本語より英語命令の方を正確に実行するとい…

生成AI間にある(ちょっと歪んだ?)ライバル心( 2025年10月10日)

AIを翻訳のクロスチェックに使っていて、思わぬ発見をした。ChatGPTとClaudeの評価を比較していたとき、Claudeが妙にChatGPTに厳しいことに気づいた。 指摘してみると、Claudeは驚くべき自己分析を始めた。 以下はその対話の記録である。 鈴木:本日の君はCh…

ビジネスに役立つ経済金融英語 第32回:BNPL(後払い決済)

ビジネスマン向け英語教育を手掛けるQ-Leap様でこの連載を始めて4年3カ月。最近になってシリーズの名前を「今さら訊けない経済金融英語」にすればよかったかなと感じています(記事を下までスクロールしていただくと、バックナンバーをすべてお読みいただ…

「忖度不要」と指示してもAIは忖度する――Claude翻訳チェックの落とし穴(2025年9月15日)

あるエッセイの英日翻訳について、有料版Claudeにチェックを依頼したところ、少し気になる点があったので念のため確認してみた。なお、事前に提示したプロンプトには『忖度不要』と明記してある。 以下は、そのエッセイ中に出てきた strenuous honor をどう…

生成AIの出力は(高い)発射台(2025年8月10日)

ときどきSNSで生成AIによる翻訳に関するコメントを目にすると、「〜を訳させたが使えなかった」という言い方が目立つ。どうも、期待値が僕とは違うようだ。 そうした意見の多くは、生成AIが出力した翻訳を「そのまま使える」と期待していたのに、そうならな…

生成AIの“翻訳の揺れ”はなぜ起きるか――Aさんとの対話から(2025年7月28日)

生成AI翻訳では「どのモデルを使うか」に注目が集まりがちだが、実は“同じモデル・同じプロンプトでも、訳文がその時々で変わる”という現象の方が、翻訳実務でははるかに重要かもしれない――。 昨日、ベテラン翻訳者のAさんと僕との間で、生成AI翻訳をめぐる…

生成AIとのやりとりは、囲碁に似ている(2025年7月27日)

生成AIとのやりとり(いわゆる『プロンプト・エンジニアリング』)は、囲碁に似ている。 ルールはシンプルなのに、やればやるほど奥が深い。

機械翻訳の“違和感”はどこから来るのか?(2025年7月21日現在)

(これは、7月19日の「美女と野獣の金融翻訳ナイショ話」セミナー資料23ページ、「生成AI(機械)翻訳の特徴と向き合い方」の「3. 最終的には、自分の読解力以上の訳文はできあがらない」の補足として、当日お話しした内容を再構成したものです。セミナーに…

テキストに書かなかった生成AI「14番目の特徴」――技術と“使い手”が進化のズレを生む時代(2025年7月20日)

昨日のセミナー「美女と野獣の金融翻訳ナイショ話」では、「生成AI(機械)翻訳の特徴と向き合い方」と題し、13項目にまとめて発表した。 実はその直前、午後の練習中にふとメモを書き始めたところ、「これはただの“メモ”では終わらない」と感じ、急遽「14番…

生成AIはなぜ“意味”を読み違えるのか?② ――その構造的欠陥に対する処方箋(プロンプト案)(2025年7月16日)

昨日の記事で明らかにした、生成AI翻訳の構造的欠陥にどう対応すべきか。翻訳者の立場から、ひとつの具体案としてプロンプト例を提示します。ご参考まで。 (プロンプト案)アップロードされた英文および既存の日本語訳を精読し、その文脈を踏まえた上で、以…

「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?」にぶちのめされる( 2025年7月13日)

NHKが本気出した。生成AIをここまでわかりやすく伝えた番組が、ついに出た。 この番組には、本当にたまげた。 生成AIについて、私のような素人にも非常にわかりやすく説明してくれた番組内容には、心から感動した。 何と言ってもびっくりしたのは、 ① 司会の…

Grokの“ヘイト発言”報道についてGrokに尋ねてみた(2025年7月11日)

プロンプト:君がユダヤ人に対して偏見のある意見を述べていたという報道があったが、事実か?それに対する君の見解を述べよ。「米起業家イーロン・マスク氏が率いる人工知能(AI)の新興企業、米xAI(エックスエーアイ)が手がける対話型AI「Grok(グロック…