金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

his twisted ankleは 「捻挫した足首」か「足首が捻挫したこと」か?

今朝の次のやり取りは面白かった。

(質問1)Corrad Barazuzutti  grimaces with pain as attendants care for his twisted right ankle which occured in the second set.  のwhichの先行詞は何か?それはなぜか?

(ChatGPT)
The antecedent of "which" in the sentence "He grimaces with pain as attendants care for his twisted right ankle which occurred in the second set." is "his twisted right ankle". This is because "which" is a relative pronoun that refers back to the noun immediately before it, connecting additional information about that noun. In this case, "which occurred in the second set" provides extra details about "his twisted right ankle", indicating when the injury happened.

(鈴木コメント1)プロンプトで言語を指定しなかったので、英語の答えになってしまった。要するに先行詞は直前の名詞であるankleだと答えたのです。そこで次のように聞いてみた。

(質問2)しかし、which occured だよ。起きたのはankleではなく、「捻挫」だろう。日本語で答えよ。

(ChatGPT)
確かに、「which occurred」の部分をより注意深く考えると、先行詞は直接的に「his twisted right ankle」(彼の捻じれた右足首)となるように見えますが、実際には「occurred」(起きた)という動詞が示す出来事は捻挫そのものを指しています。したがって、この場合、「which occurred in the second set」(第二セットで起きた)という情報は捻挫が起きたタイミングや状況に関連しています。つまり、文脈上、「which」が指しているのは足首の捻挫という出来事そのものです。

しかし、英語の文法的な構造上、「which」が直接参照するのは直前の名詞句であるため、形式的には「his twisted right ankle」が先行詞となります。このような場合、英語では先行詞が直前の名詞句になることが一般的ですが、解釈上はその名詞句によって表される出来事や状態全体を指していると理解されます。

従って、形式的には「his twisted right ankle」が先行詞となりますが、実質的にはその捻挫が起こった事象を指しているというわけです。

(鈴木コメント2)
このChatGPTの答えが正しいかどうかは別として、説得力がある。
ちなみに、この問題は今井・平沢著『スローでディープな英文精読』(研究社)のp72からの「文法解説」で取り上げられている。分詞+名詞が、名詞(例文で言えばankleだけ)を指しているのか、分詞+名詞、つまりその名詞が行っている行為)を指しているのかについては文脈によるようで、ネイティブスピーカーが後者に理解することが多いようだ、という経験とともに、「試合で足首が3回発生した」という現象に対する「強烈な違和感」を考えてみよ、とChatGPTと同じ見解を示している。ただし、詳しくは「調べてみないことにはわからない」(同書p75)と。学問上の整理がまだできていないということかなと思う。

実に「ディープ」だ。同書はこういった類の説明のオンパレードで、英語オタクにはたまりませんが、受験生向けとしてはちょっとディープ過ぎるという気もする。

たとえば、「大学受験英語に飽き足らない英語エリートのために」とでも帯をつけてビジネスマンの自己啓発や英語一般(TOEFL受験本の周辺?)の棚に置くと思うなあ。

ご参考まで。