英語の参考書で、本文(原文と訳文)以外の、いわば付録と言うべき部分(「語註」「翻訳の視点から」「文法解説」「本文解説」)がこれほど面白い本はないと思う。著者の(いい意味での)オタク度に思わずグイっと引き込まれて、気が付くと本文を忘れて(?)読み込んでしまい、途中で思い出して本文に戻って記憶をとりもどす感じ、かな。
この著者(今井さんが中心に執筆し、平沢さんがアドバイスされてるのかな?間違ってたらゴメンなさい)の読んだり書いたものを、同時並行的に読み、学びたくなってくる。
いや実に、こんな面白い「参考書」は初めてだ。英語好きの方はきっと好きになる。即クリックをお勧めします。ただこれが一般的な英語学習者の方にどこまで受けるのかは、正直わかりません。本書を英文解釈の参考書として眺めると、何しろ演習量が少ないですし、語句や文法、構文解析等に関する説明よりも、「付録」の方がずっと長いので、「読む英文がこれしかないの?」とビックリ、というよりガッカリされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし本書の醍醐味はその「付録」にこそあるのだ。そこがアマゾンの紹介ページではわからないのよ。
ですからこの文章を読んで本書に興味を持った方は、すぐにポチるのではなく、まず図書館で借りるか、大手書店に長居して最初の章ぐらいを全部読んでみて自分に合うか合わないかをよく吟味した方がよいと思う。
まじ、題名に偽りなしの、文句なしの名著。『スローでディープな』本だと思います。
(お断り:本書の編集担当者である研究社の金子靖さんには、青山ブックセンターで15年続く翻訳教室を1年間(2014~2015年)受講し、その後も翻訳勉強会等でお世話になっております。ただしこの事実は、僕の本書に対する高評価と全く関係ないことを、念のため申し添えます)。