金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

大人向け教養書としての英文解釈本という位置づけ

僕が大手書店員なら、山崎竜成著『知られざる英語の「素顔」-- 入試問題が教えてくれた言語事実 47』(プレイス)と今井亮一・平沢慎也著『スローでディープな英文精読』(研究社)に、「受験勉強に飽き足らない『大人』の皆様へ」というポップをつけて山川出版社の『日本史』『世界史』の横に並べる。

両書をそう捉え直すと、「前書き」では、著者等が①なぜ本書を出したのか②誰(どういう学力の、何を目指している、あるいはどんな職業の人)向けの本なのか、③それぞれの例文をなぜ、どういう基準で選んだのか(特に『スローで・・・』の例文の選定には筆者らの意思を感じるので、それを明らかにしてほしい)④具体的にどう読み、勉強を進めてほしいのかについて、紙数をたっぷり割いて書けるのではないか。

そういう著者らの、明確な「思い」が示されれば、たとえば『スローで・・・』の場合、脱線にこそ本書の本領が発揮される。いくら脱線しても読者は喜んでついてくると思う。