金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

AI(機械)翻訳

AI翻訳の出力はAIの仮説:AIと人間の果たす役割(2024年5月27日)

生成AIがさらに進歩していく中での人間の役割は結局①発想と②生成AIの提出する仮説(昨日のやり取りで言えばChatGPTの「結論」)の検証や実験に収れんしていくのではないかな。 昨日ChatGPTにいろいろ尋ねてそう思った僕は、翻訳に的を絞って次の質問をした…

「記号接地問題」と翻訳についてのChatGPTとの対話(2024年5月25日)

たまたま今、某協会向けに昨年ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたノーム・チョムスキー博士の論文を訳していたところ、気になる段落が見つかったのでその内容についてChatGPT4oと対話した。以下はそのやり取りである (原文)Indeed, such programs are s…

生成AI(ChatGPT-4oなど)は、書籍編集者にとってかなりの戦力になるかも(想定問答の相手として)?(2024年5月14日)

ChatGPT-4oが出て、これは翻訳書や参考書の編集者の皆さんには強力な武器になるのではないかと思った。 翻訳書の編集者の重要な仕事の一つが校閲であろうが、「翻訳チェック」の義務はない。翻訳は翻訳者の仕事だからだ。とはいえどうしても翻訳を確認する必…

参考書の解説に関する生成AIとのやり取り例

中原道義著『新英文読解法』(金子書房)p249の原文と訳文についてChatGPT4oに次のような質問を行った。 プロンプト1:It could well be that the relative emphasis placed on trying and on suceeding in hildhood has fa-eaching consequences for the i…

「機械(あるいはAI)翻訳をめぐる前提条件のずれ(2024年5月11日現在)

4月14日のウェビナーの資料に次のように書いた(若干手直ししました)。 「考慮したい三つの区別(前提条件)① AI(機械)が翻訳した出力と、機械の出力した翻訳を利用して人間が完成させた作品とを区別する。 ② 外国語→母語の翻訳と母語→外国語の翻訳は分け…

プロンプト:あらゆるポイントを網羅した一つのプロンプトと、ポイントを絞ったプロンプトを重ねていくのでは、どちらがよいか?という実験の提案

①考えられるあらゆるポイントを網羅した一つのプロンプトと②毎回ポイントを絞って、二の矢、三の矢でポイントを追加していった結果、①と同じだけのポイントをカバーした場合のプロンプト では②の方が狙った効果(つまり原文の狙い通りの)英文ができるのでは…

友人からの嬉しいコメント

昨日、古い友人から頼まれて日英翻訳の手伝いをした。 あらかじめ「ChatGPTに相談するつもりです。ChatGPTの英語はどこからどう見ても僕の英語力よりも高いからです」とお伝えした上で、ChatGPTの出力した英訳とコメント後にプロンプトと回答と僕のコメント…

自分がぶつかった疑問の大半はChatGPTとの対話で解決できる(2024年5月2日)。

(以下は、僕の経験に基づく、ChatGPTに対する対処の仕方に関する、現段階での一つの仮説です)。 参考書や問題集(の解答)を読んでいて、どうしても理解できなかったり納得できなかったりする箇所ってあるよね(僕の場合は英文解釈本を学んでいる時によく…

『頭がいい人のChatGPT & Copilotの使い方』は、期待できる。

「もう1つのおすすめの使い方は、あなたが監督になって『時間をかければできるが面倒でやらない作業』を任せること・・・(中略)このときの、ポイントは、仕事の内容を『自分でも時間をかければできること』に絞ることです」(橋本大也著『頭がいい人のCha…

「ChatGPTを駆使してネイティブ並みに英語を理解し、ネイティブ並みの英語を書くために最も重要な能力は英文読解力」について(補足ノート)

4月14日ウェビナーの資料に ChatGPTを駆使してネイティブ並みに英語を理解し(英日翻訳)、ネイティブ並みの英語を書くために最も重要な能力は? 英文読解力(2024年4月14日時点での私の結論です) と書いた理由について簡単に補足します。 (1)英日(英語…

(私にとっての)「翻訳ツールとしてのChatGPT(生成AI)」定義変更(2024年4月18日時点)

気が付いたのは昨日だった。英日(英語→日本語)翻訳のチェックにChatGPTを使っているのだが、そのコメントと修正案の日本語が妙にうまくなったと感じたのだ。そこでフェイスブックとツイッターに ChatGPTいきなり日本語がうまくなった印象。気のせいかな? …

ウェビナーの感想(思いつくまま)

「機械翻訳」(機械が出力した翻訳アウトプット)に可能性は感じつつも当面無理だと思っていた自分が、1年後にまさかこのテーマに関するセミナーで話す機会を与えられるとは全く予想していませんでした。 ひょんなことからChatGPTを知ってそれについて調べ…

生成AIに関する仮説二つ(翻訳/英語教育関連)(2024年4月7日現在)

総花的な1回のプロンプトよりも、ポイントを絞った複数回のプロンプトを繰り出していくが「正解」(質問者の求めている答え)に近づきやすい。 原文の日本語を工夫して(内容を曖昧にする、対象の原文をかなり長いものにする、等)「やり取りのスクリーンシ…

機械翻訳は映画製作に似ている/Machine Translation Is Similar to Filmmaking: Humans and Machines as Directors and Actors

機械翻訳(「AIを使った翻訳)を映画にたとえると、英日(外国語→母語)翻訳での僕は監督兼主役。機械は助監督またはアシスタント。日英(母語→外国語)翻訳での僕は監督。機械は役者。 英日では自分が主体的に作品をつくっていく。日英では役者に演技をさせ…

「翻訳の民主化で『言語の壁』取り払う DeepL創業者 テックの未来」(2024年3月26日付日本経済新聞)を読んで

(以下引用)「同氏は生成AIの中核技術である大規模言語モデルの進化などを受け「よりインタラクティブ(相互的)な翻訳が可能になるだろう」と予測する。AIは文章を訳すだけの存在ではなく、利用者の意図などをくんで精緻な翻訳を実現する「アシスタントの…

対話型翻訳(ChatGPT)サービスで人間翻訳の重要性がかえって明らかに(2024年3月27日更新)

ChatGPTを用いた対話型翻訳サービスが登場して、非対話型の翻訳サービスがいきなり(数)周回遅れとなった。 これが、ChatGPTに偶然出会い、最初は遊びで、いつの間にか仕事のアシスタントして毎日使うようになってほぼ1年がたった私の実感だ ポイントは、翻…

ChatGPTの活用:翻訳者の英語読解力を英作文力に転換する(2024年3月22日)

ChatGPT(生成AI)を使って行う日英翻訳の成果物の質(「英作文力」と言ってもいい)は、翻訳者のオフハンド(辞書や参考書なしでの)英文読解力に(感覚的には、「加速度的に」)比例する。これは、ChatGPTをある程度使った人なら誰でも実感することだと思…

"AI"(機械)翻訳について考えるときの三つの前提

4月14日のウェビナー(ウェブによるセミナー)。僕の担当部分の話す内容がほぼ固まりました。基本的な前提は以下の通りです。 ① 「AI(機械)が翻訳した出力」と「AIの出力した翻訳を利用して人間が完成させた成果物」を区別する。② 外国語→母語の翻訳と母語…

「AI・機械翻訳」の意味/ The Ambiguity of "AI & Machine Translation"(2024年3月19日)

「AI・機械翻訳」という言葉を見たり、聞いたり、読んだりするとき、それが (1)「AI・機械が出力した翻訳」という意味なのか、 (2)「『AI・機械が出力した翻訳』」を利用した翻訳という意味なのかがはっきりしないで使われている印象を受ける。 4月の…

プロンプトの二の矢、三の矢(naturally translatable Englishを巡る生成AIとのやり取りの例)(2024年3月18日)

最初のプロンプト:The US economy is only one recession away from deflation.をnaturally translatable Englishに書き換えよ。(注:この英語の出所は小倉弘著『英語難構文のトリセツ』(かんき出版)p285) (1)ChatGPT4The US economy is very close …

ChatGPTは昨年11月から現在までに進歩したか?:ChatGPTの自己評価と私の見立て/ 使い方に対する反応(2024年3月17日)

昨年11月に翻訳ツールとしてのChatGPTについての感想を書いた。あれから4カ月がたち、この間ChatGPT側に何らかの進化があったのかを尋ねるとともに、そもそも昨年11月時点で私が考えた翻訳ツールとしてのChatGPTがどの程度正鵠を射ていたのかを尋ねることに…

ChatGPTの翻訳力③:「最終的な日本語訳に最も近いと考える英語」(2023年11月15日へのフォローアップ質問)(2024年3月17日現在)

11月13日付「ChatGPTの翻訳力②:あなたは英日翻訳、日英翻訳をどの程度こなせるのか?(2023年11月15日現在)」について、次のようなフォローアップ質問を行った。 鈴木:あなたが11月15日に示してくれた「最終的な日本語訳に最も近いと考える英語」のことを…

今のChatGPTと翻訳(2023年10月23日/2024年3月27日更新)

対英語の文脈で言うと、我々にとってのChat-GPT-4(生成AI)は、非ネイティブ部分を補う、つまり英語をネイティブ並みに理解し(英和の場合)、ネイティブ並みの英語を書く(和英の場合)ための最強ツールなのだ。僕はもはやこのことを疑っていない。 たとえ…

告知:第12回つーほんウェビナー 翻訳者&専門家が大激論! 生成AIで良質な翻訳はできるのか?

機械翻訳は絶対無理!と思っていた私が、「経済用語」としてChatGPTについての記事を書いたのが今からちょうど1年前。 ビジネスに役立つ経済金融英語 第19回:いまさら聞けない(!?)ChatGPT入門 | Q-Leap この言葉について調べながら「お、意外と面白そ…

AI翻訳は秋元康さんの作詞に似ている(2023年3月13日)

秋元康さんの作詞は文字通り「詞を(ゼロから)つくる」のではなく、多くの作家に書かせた詞をた~くさん読んでその中から自らの感性に合った言葉を「選ぶ」のだ、と以前テレビで紹介されていた。 これが本当だとすると、たとえば英日翻訳では、AI翻訳は秋元…

翻訳方向のグローバルスタンダードが変わるかも(2024年3月6日)

翻訳は元来、外国語を自国語に訳すことがグローバルスタンダードであった。その理由は、表現力の面で自国語の語彙が圧倒的に豊富であるため、と僕は理解しているのだが(もっとも、日英は例外とされてきた。日本語の語彙や文法構造が英米語とあまりに異なる…

「新たな扉」「第三の目」「二の矢、三の矢」:生成AIに関する感想メモ

今日仕事中に思いついた生成AIに関する感想をメモ風に。 ①生成AIは、自分は持っていたはずだが使えなかった表現上の引き出しを開けてくれる。引き出しがそもそもないと意味がないけど。 ②翻訳者である僕にとって生成AI(英和では翻訳チェックに使っています…

生成AI辞書:Consult a Dictionary

生成AI形式の辞書(説明に使われる用語は検証された辞書の範囲内)ができると爆発的に売れるかも。対話型で引けるから。 すでに電子辞書があるんだから、出版社はその気になったらAI辞書つくれますよね。そうなったら今後は辞書は「引くもの」ではなく、「相…

allの用法について五つの生成AIに尋ねてみた(『スローでディープな英文精読』より)

今朝、4つの生成AIと次のようなやり取りをしました。ご参考まで。 (問い)You didn't have to go to all that trouble. I could have done it. と言う文章でのallの用法は、①「すべて 全員」の意味か、それとも②相手が払った「全ての手間」や「努力」を…

ノーム・チョムスキーとテッド・チャン:生成AIの信頼性に疑問を呈した二人の巨匠 (2024年2月14日)

2022年11月30日にChatGPT-3が公開されてから1年2カ月。僕がその存在を知ったのは2023年2月上旬ぐらい。「ちょっと普通ではない」と感じてビジネス英語教育Q-Leapさん向けの記事にまとめたのが昨年の3月だ。 ビジネスに役立つ経済金融英語 第19回:いまさら聞…