金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「カレー」

「いったい、いつから痛くなったのかなあ」

実は昨日腰が痛くなった。普通は「きっかけ」がわかるものだが(その最たるものはギックリ腰)、昨日はいつの間にか痛くなっていて夕方シップを貼った。

「それはお父さんカレーよ」
「え、カレー?」
「加齢よ。加齢のせい」
「あ、そうだな。でもさ、『カレー』って言葉を聞いて、まず食べ物のカレーを思い出すとこなんざ、俺もまだ相当若いな」
「食い意地が張ってるだけじゃん。それに、やっぱりその症状、加齢ね」
「なぜだ?」
「だって、あたしの最初の『カレー』って聞いた時に『加齢』に思い至らなかったわけでしょ。やっぱり年取ったのよ」
「でも、昔『ローカですな』と言われて最初『廊下』と勘違いして、医師から言われて初めて『老化』とわかった僕だよ。その時と同じだろ」
「違いますね」
「なぜ?」
「その『ローカ』の話はあたしも何度も聞かされたけど、それってお父さんがまだ30代後半、まだ本当に『老化』とは無縁だった頃の話でしょ。ある意味で、判らなくても当然よ。でも今のはわからなきゃ」
「・・・」
「その文脈が読めなかったってことは、やっぱお父さん、カレーなのよ」

反論できなかった。