金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

日英翻訳

「機械翻訳と人の翻訳」(その1)(2014年1月)

(その1) ・・・ちょっと今ある表現にうんうん唸っているうちに思ったこと。 「全体を読んで筆者が何を言いたいのかを理解し、そのテーマに沿った形で訳語や訳文を選択し、場合によっては原文の順序と並べ替え、全体を読み終わったときに筆者が最も言いた…

僕が和英翻訳をあきらめた理由①「文法的には合っているけど(この文脈では)絶対言わない」ことを見分ける難しさ

「文法的には合っているけど(この文脈では)絶対言わない」っていう文章。今、それをネイティブ担当者と直す仕事(というかコンペの準備)をしています。 コンペとは言えそれは私にとってのコンペ(トライアル)なのであって、担当してくれるネイティブ翻訳…

ユーザー(読み手)目線をつい忘れてしまう日英翻訳の実例

以下は一昨日から昨日にかけて、私とあるお客様との間になされたやりとりを若干修正したものである。とりわけ、成果物を受け取ったお客様がその英文を評価できにくい和文英訳の実務翻訳上、極めて重要なポイントを含んでいると思うので読者の皆様にご紹介し…

英語がペラペラになるとはどういうことか?(翻訳ストレッチの英文暗唱からわかってきたこと)

翻訳ストレッチで使っている『表現のための実践ロイヤル英文法―英作文のための暗記用例文300』は綿貫陽/マーク・ピーターセン著『表現のための実践ロイヤル英文法』の付録で、「翻訳ストレッチ」の教材としては最も古くから使っているものの1つ。僕はテキス…

ネイティブ翻訳者とは?(2021年1月)

英語関連の翻訳の場合は、主に日英(日本語→英語)翻訳の分野で「ネイティブチェック」とか翻訳会社の求人広告で「ネイティブ翻訳者に限る」という場合には要するに英語のネイティブ翻訳者のことを言っているが、業界では結構曖昧に使われている模様である。…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの④:ネイティブチェック

ホームページの翻訳(和文英訳:ただし訳すのはネイティブ翻訳者で、僕はPM)を受注すると、参考資料として別ページの英訳をいただくことがある。「ネイティブチェック済みです」と言われて見ると、あきらかに「てにをは」的なチェックしかしていない、いや…

「当社のホームページを英訳して下さい」:ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの③)(2020年11月)

「当社のホームページを英訳して下さい」 と依頼してくるお客様に抜けがちな視点が二つある。 ①英訳する英文のほとんどは「翻訳」としてではなく、英米人の読者向けの会社のメッセージだという点。したがって、内容によっては「英文の元となる日本語」の修正…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの②:誰のための英文?

現在、某サービス会社(A社)のホームページ/パンフレット/取扱説明書/利用規約等の和文英訳をほぼ全面的に請け負っている(最初にコンタクトいただいてから2年ほどになる)。 今、サービスの利用規約の英文をチェックしているのだが、それでつくづく思う…

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの①:ホームページ情報管理統括責任者を置くべき時代

僕の本業は金融翻訳(米国のマクロ経済や市場動向に関する英文和訳翻訳)なのだが、取引先の関係やご紹介で企業のホームページ翻訳(和文英訳)を請け負うことがある。2~3年に1回ぐらいだろうか。 むろん、受け取った日本語を英語に翻訳するのは僕ではなく…

ネイティブ翻訳者の簡易(?)判定法(2020年2月)

翻訳でも通訳でも、仕事の要件としてよく「ネイティブスピーカー」とか「母語が英語(日本語)であること」とか言うけど、むしろ「卒業した中学と高校がいずれも現地校であること」とした方が適材が集まりやすいのではないだろうか? tbest.hatenablog.com t…

悪い英語ホームページの見分け方(2019年11月)

Google検索で "Reiwa"、"Heisei" ”top message"と打って出てくる会社は、英語版ホームページの意味がわかっていないと断言できます」とある経営者向け勉強会で話したらバカ受けした。 社長さんが「平成から令和という新しい時代を迎え」と言うのはいい。それ…

ソースクライアントに翻訳者を直接引き合わせる(2019年11月)

僕は今、一部業務でミニミニ翻訳会社みたいなことをやっている(というかやらざるを得なくなった)。案件は某上場企業のホームページ英訳である。せっかくなので、恐らく他社がやっていないことをしてみることにした。 1.翻訳者を発注者の元に連れて行き、…

日本企業の英語版ホームページ

意外と注目されていないと思われる翻訳の重要テーマは日本語→英語(外国語)だろう。 ①特に「書かれている日本語の言語的な意味はこうだ」(和文英訳)よりもむしろ(←ほとんどの「英訳」がこれ。この需要は今後も多いだろう)、 ②「諸外国に対するメッセー…

「瓢箪から駒、みたいな」(和英案件)(2016年10月16日)

自業自得と言いますか何と言いますか、金曜日に原稿も見ないで受けてしまった仕事のおかげで朝から晩まで仕事でした。その割に翻訳時間が長くないのは、睡眠時間を7時間にしているのと散歩を必ずいれているため。 実は金曜日には同じソースクライアントから…

日英翻訳のPM業(2016年9月)

本日の午前中の前半は和英翻訳のPM業。4700文字。ネイティブ翻訳者から来た訳文案を1文ずつ検討して疑問点を挙げ、質問または対案を書いていく。必要に応じて顧客向けコメントも書き加えていく。 20カ所ぐらい検討項目(質問と私の対案)が上がり、質問ファ…

結果オーライ?(誠実だったがやや稚拙だったセールストークの事例)(2016年6月)

先方は当初、私にやる気がないと思ったのではないか。 「私、W社のMと申します。守秘義務契約本日届きました。ありがとうございます」 W社はリーマンショック後の上昇相場に乗り切れなかった不幸なヘッジファンドの閉鎖で3年ほど前に取引がなくなった金融機…

僕が和英翻訳をあきらめた理由②

Aさんのサークルに和英翻訳者の「募集広告」を出した。募集、と言っても今すぐ必要!ということではなく、将来機会があれば僕と一緒に和英(日本語→英語)をしてもよいかな?と思ってくれそうな人を探していますという募集の打診みたいなお知らせ。「英語の…

前代未聞の和英翻訳(正式な翻訳文の後に直訳も別料金で受けて納品した話)(2015年9月)

昨日の朝、某ソースクライアントから連絡。 「CSRについてコンセプトをとりまとめたので、その宣言文だけ(70文字)を英訳してほしい。今日中に」 が依頼内容。1万円(プラス消費税)を伝え、その文章だけでなく全体も送ってほしいと先方に依頼。2時間後にブ…

翻訳会社に日英翻訳を発注した話

某ソースクライアントから先週発注いただいたのだが、お願いしようと思っていたネイティブ担当者が二人とも都合がつかず、やむなく普段つきあいのある翻訳会社に発注した(お客様にはその旨連絡しご了解を得ている)。次は私の発注したメールから。(以下引用…

「〇〇区在住。一男一女」 (日英翻訳の現場から)

7~8年ほど前から、和英(日本語→英語)はネイティブ翻訳者に訳してもらい、私は品質管理のみを担当することにしている。 最近出会った「実務翻訳(和英)は英作文にあらず」の例を2つご紹介。 (1)事例1「〇〇区在住。一男一女」 表題は、ある会社の役…

和英(日本語→英語)翻訳に対する基本スタンス

某社から連絡があり、今後のプレスリリース等をまとめてやってくれないかと打診を受ける。この会社と付き合い初めて5年。ネイティブ担当者一人とタッグマッチで(何度も担当者と喧嘩しながらも)コツコツ良い仕事を心がけてきた成果かもと思うと嬉しいです。…

伝えたいことは何か?-英訳案件をめぐっての小さな事件

先週金曜日に上場企業某社広報部からメールがあり、「当社のポスターに掲載するメッセージを作ったので英訳してほしい」との依頼を受ける。用途は英語のポスターに使うとのこと。締め切りは昨日。文字数90字。 昨日朝納品したところ、昼頃に「社内からこうい…

「反社会的勢力に対する基本方針」をそのまま英訳できるか(2014年9月)

以下、あくまでも一例です(実例ではありません)。 「反社会的勢力に対する基本方針」が原文だった場合 BASIC POLICY REGARDING ANTI-SOCIAL ELEMENTSは正しい英文か? (1)英作文なら正しい(かも)(2)CSRの文章なら? 1.Basicとは例外を認めるこ…

「顧客教育」(ネイティブチェック済み英訳原稿のチェックを依頼されたケース)(2014年9月)

以下は本日午前に某上場会社宛に納品した際の私からお客様宛メールの一部(文章は追加していないが一部削除した)である。 業務内容は、英文のプルーフリーディング。A社は某翻訳会社に同社のCSRに関する日本語文書のネイティブ・チェック付きの英訳を依頼…

「組織名の英訳」②(日本企業の英語ホームページの特徴)(2014年9月)

僕は6~7年前から対ソースクライアントでは英訳を受けるとネイティブ担当者に一次訳を任せ、私は①英和翻訳者としていわゆる品質管理、と②必ずしも成果物を評価できないお客様に対し「なぜこういう英文になったのか?」「なぜこの表現を削ったのか?」の説明…

「組織名の英訳」①(条件交渉)

先週某社から電話があって「実は今度組織改正をして新たな組織を作る。その組織名の英訳をお願いしたい」と依頼を受けていた。文字数が少ないことはわかっていたので「ミニマムチャージをいただきますよ」「当然でしょう」という会話はあった。 一昨日原稿が…

致命的なミスを犯す

間違いに気づいたのは朝7時だった。 某ソースクライアントから依頼されていたホームページ英訳。先週金曜日にネイティブ担当者から英文が届き日曜日に質問を投げ、月曜日に返事が来た。そして火曜日(24日)に再質問を送って、明日(25日のこと)朝までに回…

「発想の違い?」(日英翻訳のPMをしていてふと気がついたこと)(2014年1月)

今、「日本語→英語」(以下「日英」)翻訳のQAをして、いつもの通り質問をネイティブ担当者に投げたところ。 日英はネイティブ担当者が訳し私がQAをする体制。日英の時には単語の選択というよりもそもそも書かれている内容(思想やロジック)を英語でそ…

(続)気になるケアレスミス:和英翻訳におけるPMの役割について(2013年10月23日)

一昨日にお客様から来た修正記録つき修正案(けっこうビッシリ入っていた)をネイティブ担当者に送り、昨日朝ネイティブ担当者から返ってきた回答の検討をする。 ネイティブ担当者に対しては「思ったことをそのまま書いてくれ。遠慮はいらない。僕の方で表現…

気になるケアレスミス(2013年10月22日)

昨日はどうにも気になるミスをした。和英の案件でネイティブ翻訳者から送ってきたものを私がチェックし、質問をいくつかして昨日朝納品したところまではよかった。夕方になってお客様から返ってきたコメント(修正記録付き)を見ると、普段の私なら見逃すは…