金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

ホームページ翻訳(和文英訳)から見えてくるもの①:ホームページ情報管理統括責任者を置くべき時代

僕の本業は金融翻訳(米国のマクロ経済や市場動向に関する英文和訳翻訳)なのだが、取引先の関係やご紹介で企業のホームページ翻訳(和文英訳)を請け負うことがある。2~3年に1回ぐらいだろうか。

むろん、受け取った日本語を英語に翻訳するのは僕ではなく、英米人であるネイティブ・スピーカーの皆さんに発注し、僕はプロジェクト・マネジャーとしてできあがってくる英語と元の日本語とのチェック(この場合は英和翻訳者として英語をみるわけです)や、元の日本語についての解釈について質問したり、内容によっては原文を変えてもらったり、あるいは納品する英文について、必ずしも英語が得意でないお客様向けに「どうしてこういう英文になったのか」という解説を書いたり(日英翻訳の一つの問題点は、お客様ができあがりの英語の評価をするのが難しい、という問題意識を持っている)といった業務に徹している。

この20年で7~8件ぐらい受注してきて痛感するのは、どの会社も、ホームページ情報管理統括責任者(書庫管理者のイメージ)を置くべき時代になったな、ということだ。

新旧、幅の広さと関係なくどのページも同時に閲覧できるホームページ管理は書庫以上に大変なはずだが、この20年で5社ほど手がけさせてもらって実感するのは、そういう意識がどの企業にも極めて希薄で「パッチワーク文書(その時に都合のよい箇所だけに全体の流れやこれまでの時間的経緯と関係なく何者かによって(記録がないからだれが書いたかわからない)作成/改変された無責任文書)」がかなりあるということだ。ひどい例では、もはや存在しない営業所や部署が、アーカイブではなく、現在公表されている文書の中に出てくる(その意味では、ホームページ管理の第一歩は、「現在生きている文書」部分と「記録のためのアーカイブ文書」への分類整理かもしれない)。

この点は、私が付き合いのあるお客様には口を酸っぱくして強調してきた(今使っている(公表している)文書の一部を変えたら、せめて「いつ、だれが、何のために変更したかを記録しておくべきです」とか「必要性と時間制約の中でこの部分だけを修正するのは理解できますが、1年に1度ぐらいはかならず、この文書の最初から最後までの点検作業をすべきです」とか)し、同業者の皆様には、本来は大きなビジネスチャンスよ・・・・ってことを機会のあるたびに言ってきたんだが・・・。たぶん、だれも、何も手を付けてないというのがこれまでの経験から得た印象。

実務翻訳って、翻訳を切り口にお客様の文書全般に適切なアドバイスを提供するサービスだとつくづく思う