先日、僕と同世代のフリーランス翻訳者Nさんと食事した。Nさんは約40年会社勤めをされた後、昨年翻訳者として独立したのである。僕のお客さんになって10年ぐらい付き合いがあり、転職がきっかけとなってビジネス上の関係が切れていた。定期的なお客さんの目途も付き、「まあ1杯やりましょう」ということになった。
乾杯をして焼き鳥をつつき、一時間ぐらいだったころかな。しみじみと
「鈴木さん、僕もようやく注文を出される側の気持ちが分かるようになってきました」とおっしゃったのだ。
「それはそれはご苦労様でございます」と言いながら彼のコップにビールを注いだ。60を超えてからのサラリーマンからフリーランスへの転身は精神的にかなり大変だろうと改めて、つくづく思った。