金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

ソースクライアントに翻訳者を直接引き合わせる(2019年11月)

僕は今、一部業務でミニミニ翻訳会社みたいなことをやっている(というかやらざるを得なくなった)。案件は某上場企業のホームページ英訳である。
せっかくなので、恐らく他社がやっていないことをしてみることにした。

1.翻訳者を発注者の元に連れて行き、「私以外にこの方とこの方が翻訳、校閲をやります」と紹介する。名刺交換もしてもらう(ただし連絡は私を通してもらう)。ソースクライアントが、翻訳会社の先にいる翻訳者の顔を見る、という例はほとんどないのではないか。
したがってお客様とのメールのやり取りでも「Aさんに伝えます」「Bさんのコメントはこうです」と書ける。

2.その場で見積もり(受け単価)を話す。つまり、翻訳者も校閲者も当社の受け値を知っている。その上で翻訳者と校閲者と価格交渉をする。
したがってお客様とのやりとりも(当社の見積もり金額付きで)そのまま転送できる。
何しろ、

「誰に対しても何も隠していない」

というのがスッキリしている。ちなみに本件の場合、お客様は翻訳者、校閲者の取り分までご存知だ(翻訳プロセス説明の成り行き上必要だと思い開示した)。今のところうまく行っているのではないかという印象だ。

こういうやり方をした大きな理由は『ティール組織』を訳したことと無関係ではない。特にダイヤモンドメディア株式会社の前社長、 武井浩三 さんが「社長の給料を隠しておく合理的な理由がない」「経理の人間は他の社員の給料を知っているのだから、他の社員も当然知ってていい」というのは結構、透明性であることの素晴らしさ(本質)を突いていると思った。

要するに、同じ業務をやっている仲間内でこうした情報を隠すってことは「後ろめたいところがある」ってことではないか。

我々のようなフリーランス(がタッグマッチを組んで仕事をする)主体のビジネスは、こっちの方向に向かう方が強くなるような気がする。