金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

その他

「アメリカン・デモクラシーを根底で支えてきたのは、」:出会った言葉(3~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(112)

(1)昨年の今日「直訳か意訳か」というのは学生からよく受ける質問であるが、「原文と違うもの」が訳ではないのと同時に「日本語だけを読んだのでは分からないもの」も訳ではないのである。この矛盾した要求を個々の場面でどう調和させるか。(伊藤和夫著『…

「欠点を直すことに一生懸命にならない」:出会った言葉(3、4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(111)

(1)3年前の今日欠点を直すことに一生懸命にならない 羽生善治……欠点は多くは「長所の裏返し」。それを無理に矯正すれば「自分のかたちに何か狂いが生じ、調子が落ちてしまう」と将棋棋士はいう。(「折々のことば」 11月4日付朝日新聞より) www.asahi.co…

「独裁者が頭角を現すのは、民衆があきらめた時だ」マイケル・ムーアさん:11月5日に出会った言葉

(1) 2019年11月5日(イノベーターとして高く評価されている人々へのインタビューを通じてわかったのは)常に「こういう問題が解決できたら素晴らしい」「こういうことが可能になったら痛快だ」という具体的な「解決したい問題」が明確にあり、それを解決…

本当に大事な記事は紙で残せ(2021年11月4日)

僕は必要があって購読紙/誌誌を検索して記事を探すことがあるのですが、見つからないことが結構ある。「スクラップブックに残るような記事」を目指しているという日本経済新聞ですらそうだ。恐らく何らかの事情で記事が削除されているのだろう。それは仕方…

「ゆっくり成長する力はたくましい」:出会った言葉(昨年~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(108)

(1)昨年の今日学術的には、従業員を幸せにする経営の有効性として様々なエビデンスが得られています。幸せな従業員は不幸せな従業員よりも創造性が3倍高い、生産性が30%高い、欠勤率や離職率が低い、といったことです。幸せな従業員はエンゲージメント(…

「年をとるっていうのは、突然来るんですかねえ。だんだんなんですかねえ」:出会った言葉(3年前と4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(104)

(1)3年前の今日カード社会の問題点はこれまでも指摘されてきた。カード払いでは現金で支払う場合のような心理的縛りがなくなり、使い過ぎてしまうのだ。米国のある研究者の実験では、1台のトースターに対して、カードが利用できる環境の被験者は現金のみ…

「お砂糖使いますか?」

出会った言葉:「砂糖をお使いになりますか」という表現にも慣れることができない。砂糖は道具でも召使いでもない。コーヒーの中に入れる以外は使い道がないのに、わざわざ「使う」と言って、他の使い方のある可能性を確保しているところがおかしい。 (多和…

「どこへでもご自由にどうぞ。追いかけて写すのが私の仕事ですから」:出会った言葉(昨年~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(102)

(1)昨年の今日三浦光雄は、カメラの横からヒョイと私をのぞいて、ニコニコして言った。「どこへでもご自由にどうぞ。追いかけて写すのが私の仕事ですから」(高峰秀子著『わたしの渡世日記(下)』p138)*引用文は、芝居の勢いでライトの外にまでかけず…

NHK「五輪の厨(ちゅう)房密着800日」に感動する(2)

昨日、一昨日の晩と「「五輪の厨(ちゅう)房密着800日 選手村食堂の秘められたドラマ」を見ながらつくづく思ったのだが、選手村の食堂を準備していたスタッフから見ると、何を言われても「安全・安心の大会を実施する」と愚直に断言し続けた菅義偉首相がとて…

「一つの分野では平凡でも、異なる領域を三つ持てば活躍できる」:出会った言葉(2年前~9年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(96)

(1)2年前の今日作品について「この辺がダメだ」と辛辣に指摘すれば必ず次の作品がよいものになるというのなら、僕だって寸暇を惜しんでダメ出ししますよ。でも、人間はそういう生き物じゃありません。人に質の高い物を生み出してほしいと思ったら、いいと…

NHK「五輪の厨(ちゅう)房密着800日」に感動する。

2017年から取材班が追い続けた、オリンピック選手村の食堂運営を任された会社の記録。 僕は東京オリンピック/パラリンピックの開催には今でも反対だけど、それはこの人たちに対しては言えない。 彼らの必死の努力を前にすると称賛しかない。食材・人材の調…

エンピツの力(2021年10月20日)

昨日、本棚を整理していたら『英文解釈教室』が出てきた。著者は「駿台高等予備校 専任講師 伊藤和夫」序文は「駿台高等予備校 英語科主任 鈴木長十」。 昭和52年1月に初版発行。本書は昭和54年1月 第5版だ。 おそらく予備校時代(昭和54年4月~55年3月)に…

「モチベーションが下がった時こそ君の真価が問われる」:出会った言葉(昨年~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(95)

(1)昨年の今日新品は傷がつくまで、ちょっとまだ心許せない感じみたいなこと、ありますよね。ものに対してもそうだし、人に対してもそうだし、そういう価値観の揺れ動きって、おもしろいですよね。(ヨシタケシンスケ著『思わず考えちゃう』(新潮社)p82…

体操のお兄さんたち

「新井君、石川君、杉井君が加わってから、体操のコツがよく分かるような気がしてきたんだ」「え、何のこと?」「『テレビ体操』に10月から新規加入した男性アシスタント(お手本)のことだよ。腰とか膝とか肘の曲げ方や飛び上がり方がわかりやすくなってよ…

苦しみは山頂の一歩手前:出会った言葉(昨年~9年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(92)

(1)昨年の今日(翻訳とは)言語を前提にした文化の境を超えようとする時点で置いていかなければならない荷物と、理解を得るために肩の上に積まなければならない荷物とがあって、そのやり取りの過程で大切な旅人=原文が無事に向こう側へ渡れるかどうかが決…

今年何日休んだっけ?(2021年10月14日)

2日ほど前にふと思うところがあって、 「あれ?俺何カ月休んでないだろう?と一瞬思ったが、考えるのやめた」 とツイッターとフェイスブック(お友だち限り)に書き込んだところ、お友だちのお一人から、 「じっくり考えるべきじゃない?」 とのコメントをい…

「高校の国語 文学を軽視?」(新聞記事に覚えた違和感)(2019年10月)

今日(2019年10月14日)の朝日新聞の21面「高校の国語 文学を軽視?」は、朝日新聞の問題の立て方も、回答者のお答えも完全にピントを外していると思った。先日も書いたけど、今回の国語教育の、『走れメロス』を鑑賞する以前に、『走れメロス』をそもそも読…

会うということが贅沢な世の中になってみて気づくこと:出会った言葉(2年間~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(87)

(1)昨年の今日会うということが贅沢な世の中になってみて、改めて「瞬間」の貴さに気づく(「一期一会 作家 桜木紫乃」2020年10月11日付日本経済新聞)* 引用文が引っかかって「なるほど」と思いつつ、僕はまだ「直接会うことが贅沢な世の中」になって、…

「私の履歴書」雑感

日本経済新聞の最終面に毎日連載されている「私の履歴書」って、そこに書けるだけで既に大変な名誉なのね。世の中で人もうらやむような大成功を収めた人の自叙伝なわけですよ。 だったら己の失敗談や学んだことをどんどん書いた方が読んでいる人の参考になる…

「嫌なお方の 親切よりも 好いたお方の 無理が良い」:出会った言葉(昨年~6年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(78)

(1)昨年の今日誰にだってまちがうことがある。危険なのは、まちがいを犯すことではなくて、自分の見方に固執して事実を無視することだ。前へ進むにはつねに事実に立ち戻り、まちがいを認めなければならない。前を向くのはそれからだ。(バナジー&デュフ…

「なんでもあるという本屋には、なーんもない」:出会った言葉(昨年~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(76)

(1)昨年の今日「なんでもあるという本屋には、なーんもない」京都・三月書房の三代目店主、宍戸立夫さん(「交遊抄 騙し絵 」永江朗 2020年9月26日付日本経済新聞)*スペースが限られているからこそ店(のオーナー)の色を出すべきだ、という宍戸さんの…

「先進国」という名の幻想

僕が編集者なら次の本の企画を考える。 『「先進国」という名の幻想―30年間の"バブル”を高度成長と誤解してしまった国の悲劇』 テーマはもちろん「日本」だ。 決して自虐的にそう言っているのではない。 さまざまな観点(国民一人当たりGDP、国民所得、政府…

データサイエンティストは売り手市場なのか(2019年9月)

最近「ハッカソン」というプログラマーのコンテストによく参加している息子(大4、数学科)が、昨日帰宅して言っていた話が面白かった。 ・参加者20名。対象は学生。参加費は無料。1日または2日。・自分と同じテーブルに座った他の4名は、全員関西だった。関…

「いるべきときに、いるべきところにいて、なすべきことをなす」:9月23日に出会った言葉

(1)2020年9月23日 知識は世界をある程度予測可能な物にすることで人々の不安を振り払ってくれる。……知恵とは……世界に飛び込み、それと語らう中で「道」を探すこと。(鷲田清一「折々のことば」2020年9月22日付朝日新聞)*読書や学びの場で身につけたこと…

ある英語メディアの定期購読解約にあれこれ手間暇がかかったお話(2021年9月19日)

昨日、8年間購読していたFinancial Times(FT)を止めてWall Street Journal(WSJ)に乗り換えることにした。内容に不満があったわけではない。仕事用の資料としても十分に機能している。だた今ひとつ十分に読み切れていないなあ、年間3万円を超える費用対効果は…

記事のトーンが最近暗い朝日新聞(一読者の要望)

朝日新聞は弱者に視点を当てている。このスタンスは重要で僕は支持している。同時に安倍政権、管政権をはじめとする権力に対する同紙の批判的な姿勢も、正しいジャーナリズムのあり方だと考えている。だから購読している。ただし、最近は弱者にとって生きる…

自分が居心地の悪いところにも可能性がある:出会った言葉から

「クセでデザインするな」。松岡さんのことばで印象的なのがこれですね。たとえばケイを入れると落ち着くとか、色もひとつ決めてしまえば落ち着いて完成度があるように見えるけれども、自分が居心地の悪いところにも可能性があるということだと思うんです。…

「多数派が少数派の批判にたえられるかどうかがためされる過程にこそ、意味がある」:出会った言葉(1年前~7年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(61)

(1)2年前の今日さて、字が読め、十分な語彙量があれば、不自由なく文章を読むことができるでしょうか。いいえ。……もちろん、これまでの国語教育で重視されていた文脈や行間や、その文章が書かれた背景を知ることも、文章をより深く理解する上では必要で…

「経験は、短縮したり圧縮したりできない」(加藤典洋さん):9月10日に出会った言葉

(1) 2020年9月10日心配事とか不安とかっていうのは身体の外に付くはずだと、だんだん強固に思えてきて、今に至ります。(ヨシタケシンスケ著『思わず考えちゃう』新潮社、p31) https://www.amazon.co.jp/dp/4103524510/ (2) 2019年9月10日短縮したり…

「文明と孤独」

(以下引用)当節、テレビ・タレントに異常な人気が集まり、そのゴシップが細大もらさず売り物にされるのは、なぜか。おそらく人々はその孤独に耐えかねて、だれでもいい、だれかと知り合いたいと望んでいる。タレントとの疑似交友でさびしさを紛らわしてい…