金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

会うということが贅沢な世の中になってみて気づくこと:出会った言葉(2年間~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(87)

(1)昨年の今日
会うということが贅沢な世の中になってみて、改めて「瞬間」の貴さに気づく
(「一期一会 作家 桜木紫乃」2020年10月11日付日本経済新聞

引用文が引っかかって「なるほど」と思いつつ、僕はまだ「直接会うことが贅沢な世の中」になって、かえってオンラインで会う機会の便利さに感動している段階かもしれないなと思った。それは、僕が直接会う必要のない仕事に長く就いていることと、家族という、直接会って話せる相手がすぐ身近にいるからかもしれない。 www.nikkei.com

(2)2年前の今日
人が何事かを学び、学ぶことを問うて、己の身に入ることを学問と言うんだ
伊集院静「ミチクサ先生」(31)2019年10月11日付日経新聞
夏目漱石の伝記小説です。伊集院静は初めて真剣に読む。芥川賞選考委員でもあるし、音読には適しているかも。今日の言葉は実の兄が金之助(漱石の幼名)に語って聞かせた言葉。批判的に学べってことなんだね。小学生にわかるかどうかは別にして。

(3)3年前の今日
 偶然とは、偶々(たまたま)「あった」が「ない」こともありえたということ。この<私>も両親の偶々の結ばれから生まれた。そのかぎりで<私>が今ここにこうしてあることに最終的な根拠はない。が、この偶然は人生を最後まで制約する。そう、偶然は必然へと裏返る。<私>の存在が意味をもつのは、この裏返りに孕まれた可能性を生き抜く時だけだと哲学者(九鬼周造)は言う。
(折々のことば 2018年10月11日付朝日新聞

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