金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

AI(機械)翻訳

先生からのお墨付き(?)(2023年11月24日)

昨日は半年ぶりに金子靖(研究社編集部)先生主催の公開翻訳教室(補講=飲み会付き)に参加し、金子先生の熱意と学識に触れることができ大いに感動した。 どんなに有名になっても、生徒に「教える」のではなく、生徒の翻訳から学ぼうとされる謙虚な姿勢には…

pickをめぐる三者三様(Bard, Bing, Claude):辞書とは違った言葉の探り方(2023年11月23日現在)

ちょっと必要があって次の同じ質問を3者にぶつけてみた。 質問:英語のpickに予測するという意味はあるか? (1)肯定派:Bard はい、英語のpickには予測するという意味があります。ただし、この意味は日常会話ではほとんど使われず、主にビジネスや専門的…

英日翻訳での質疑応答の例(2023年11月21日)

英文解釈でのBardとのやり取りの例を示す。題材は公開されている大学受験用教材から(質問は書きなぐったのでスペルミスや時制の誤り等はご容赦)。 (1)プロンプト(最初の質問):Please read the following sentence, analyze the sentence stucture in…

翻訳ツールとしてのChatGPTに関する現時点での結論(2023年11月19日)

ChatGPTって要するに ①英文を正確に理解(英日翻訳用)し、②正しい英文で表現する(日英翻訳用)ための ベストツールだ、ということ。 ChatGPTは辞書ではない。機械翻訳アプリでもない。「むちゃくちゃ頭がよいけど日本語がやや苦手な翻訳アシスタント」なの…

ChatGPTの翻訳力②:あなたは英日翻訳、日英翻訳をどの程度こなせるのか?(2023年11月15日現在)

ChatGPTは読む力も書く力も英語の方が得意で、しかもネイティブ並みの読解力があるらしい。そこで、我々がChatGPTを翻訳に使うとしたらどこまでも任せられるのか、を再びChatGPTに尋ねることで探ることにした。 以下は、英日(英語→日本語)、日英(日本語→…

ChatGPTの翻訳力①:あなたは英語、日本語どっちが得意?(2023年11月13日)

ChatGPTを翻訳に使っているうちに、いくつかの特徴に気が付くようになった。そこでいくつかの仮説を立てて、ChatGPTに直接英語で尋ねてみることにした。 1.ChatGPTは日本語を書くよりも英語を書く方が得意問:They say that you are better at writing in …

ChatGPTは問題を「掘れる」:allとevery(とeach)の違いを探るディスカッションから(2023年11月12日)

僕が参加しているあるMessengerのグループ(文筆家、編集プロ経営者、校正者、翻訳者)で構成されている)に、「every と all の違いについて」というお題が出された。 参加者のお一人(問題の提出者)から、次の引用が示された。「all も every もともに人…

日本語表現がまだ不得意なChatGPTを英日翻訳に活かす方法(2023年11月12日現在)

「めちゃくちゃ頭がよく、日本語が苦手な留学生」(『ChatGPTエフェクト』(日経BP)p314)であるChatGPTを英日(英語→日本語)翻訳に活かすには二つの方法があると思う。①原文(英文)の解釈を英語でさせる(パラフレーズさせる)。 これは私が実際に体験済…

ChatGPTと手書きのハイブリッド(ChatGPTの修正を手書き(赤ペン)で自己添削する)(2023年11月5日)

朝の英文日記をつけ始めて5日目。試しに次のことをやってみた。 ①英文を書くいきなり英語で書きます。昨日何をした、という他愛もない内容です。何を書こうか?と考える前に自分がしたことを英語にして書く。あるアイデアが先に日本語で浮かんでしまい特定の…

『ChatGPTエフェクト 破壊と創造のすべて』(日経BP)に大満足(ただし索引がないのが残念)(2023年11月1日)

『ChatGPTエフェクト 破壊と創造のすべて』を読み終えた。素晴らしい本だ。 僕のようにほとんど予備知識もなく使い始めちゃった人間にとっては、①ChatGPTとは何か、②その歴史、③現在および将来への影響、④各国各社の導入事例、⑤規制環境等、ChatGPTの置かれ…

自由英作文をChatGPTに添削させてみた(恥ずかしい実例)(2023年10月29日)

ちょっと恥ずかしいのですが、今朝こういうことをしました(英語日記2日目のやり取りです) 鈴木:"Please correct the following diary entry in English. Show me the corrections and provide reasons for each change. ChatGPT:Of course! Please provid…

ChatGPTは、自由英作文の(自己)添削に使える(2023年10月28日現在)

例えば、自分の思うところを英語で書いて「これを中学生で学ぶ範囲の英語で添削してください。その際、どこを、なぜ修正したかを明示してください」というプロンプトにすれば自習用に使えると思う。ChatGPTが間違えるリスクも少ない。 例えば、私は今朝、次…

逆転現象?!日本人が英訳本を出し、英米人が日本語訳を出すとき(2023年10月28日)

これまでの考え方では、ネイティブスピーカーは非ネイティブよりもその言語の表現に得意であるとされ、翻訳は、母語をターゲット言語にする翻訳者がすべき、というのが世界の常識だった(日本は例外)。 しかしChatGPTのおかげで、今から2~3年後には、例…

翻訳ツールとしてのChatGPTとの付き合い方(いくつかの仮説:2023年10月29日現在)

*以下の心得(仮説)は順不同です。随時加筆、削減、修正入れ替えしていきます(更新日時はタイトルに書いておきます) 心得1:くれぐれも、ChatGPTの出力結果を無批判に受け入れないこと。なぜならば、ChatGPTはよく間違えるからだ。ユーザーが、対話を通…

ChatGPTは、口達者な耳年増(2023年10月25日)

(以下引用)(1)AIの目覚ましい発達に目が眩んで忘れている方も多いと思いますが、コンピューターは計算機なのです。計算機ですから、できることは基本的に四則計算だけです。……(AIは)「あたかも意味を理解しているようなふり」をしているのです。……(…

「一定の英語力さえあれば、Chat-GPTを利用して、誰でも短時間で、ネイティブ並みの英文を作れる」(2023年9月28日)

一定の英語力とはTOEICでだいたい 900点ぐらい 。つまり僕レベルの英語力のある人がChatGPTの力を借りて日本語からネイティブ並みの英語を作成するまでの経緯を時々書いてきましたが、今回はそれを一つにまとめることにしました。 (1)ChatGPTで英文をつく…

『Chat GPT翻訳術』をご恵贈いただきました。(2023年9月22日)

『Chat GPT翻訳術』の著者山田優先生から、著書をお贈りいただきました。 そもそも僕が機械翻訳やらChat GPTやらについて、思いつくまま好き勝手に書き散らしていたものに注目され、同書に僕のコメント(というかフェイスブックへの過去の書き込み)を引用く…

Chat-GPT4とのやり取りから(ご相談)

今朝のCHAT GPTとの「対話」(編集しています) ある本を訳していて、ある1単語の訳語に迷った。そこで・・・ (問)(その語の前の1ページの原文をコピペして)という英文の中で、XXXを「○○〇」と訳すべきか、それとも「▽▽▽」と訳すべきか、それとも他の訳…

Chat-GPT4とのやり取りから

僕の翻訳内容をチェックしてもらうと大抵1回で終わらず、Chat-GPTと何回かやり取りするのだが、彼(または彼女)が提案してきた修正案に疑問をぶつけて対話をかさねていくうちに、結局元(つまり僕の原文)に戻ることがある。 以下は、今朝のChat-GPT4とのや…

ChatGPTを使った和文英訳から学んだこと、気づいたこと(2023年8月30日)

僕は普段、ふと思いついたことを推敲も何もせずにフェイスブックに書く。即興で書く文章の練習だと思っています。 その後、記録に残しておこうかなとおもったものをブログに残す。・・・これをここ2~3年続けてきました。 今年の春以降、ブログに書いた記…

Chat-GPTは気難し屋の「名馬」(2023年8月27日)

翻訳におけるChat-GPTは優秀だが気難し屋の「名馬」。 ちゃんと慎重に乗りこなせば素晴らしいパフォーマンスを上げてくれるが、一歩間違えると振り落とされて大けがをする。というのが実感です。

Chat-GPTは並みのネイティブよりもはるかに信頼できる(翻訳ストレッチの教材から)

何と訳しますか?2,3分考えて紙に訳文を書いてみて。(原文)News arrived this morning of heavy rain in the Kyushu area.『難構文のトリセツ』p121で正解とされた訳文は次の通り。(訳文)九州地方が豪雨になるという知らせが今朝届いた。違和感を覚え…

AIとバイアス

最近、AIが人間では思いつかない手を指すというプロ棋士の発言を読んだ。僕は将棋に詳しくはないけれど、将棋界には昔から「悪い手」とされる手筋が常識として根付いているそうだ。そのような手を指すと、師匠や先輩から叱られることもあると聞いた。だけど…

Chat-GPTは間違える

Chat-GPTは融通が利くので、それだけ間違える確率も高い。 今、「間違え」と書いたけれども、そもそも人間の判断には「幅」や「隙間」があるのだから、そのうちのどこに焦点をあてるかによって、あるいはその隙間をどう埋めていくかによって、結果として「間…

AIとの対話は有益

翻訳に関するChat-GPT(以下AI)との対話の中で分かりかけてきたその特徴の一つは、「前後関係からどこに重点を置くか」をAIが間違える件数が少なからずある、という点だ。 今日出会ったのは、たとえばhigherが「他との比較で高い」のか、「過去と比べて高い…

Chat GPTは「逆引き辞典」だ。

外国語を訳していてある言葉の日本語訳を探す場合に、Chat GPTによる検索(あるいは翻訳)が従来の「検索」(あるいは辞書を引く行為)と異なるのは、調べたい用語とともに、その言葉の定義を含む周辺情報をインプットすることで狙っている言葉の「訳語」を…

Beyond Accuracy: Chat-GPT's Capability in Validating Content in Industrial Translation

When employing Chat-GPT for quality control in industrial translation, we can ensure the translation's accuracy and fluency in relation to the original text, and also independently assess the veracity of the content itself. This second cap…

道具としてのChat GPTに関する仮説

これまで自分がやっていたことをChat GPTに任せたら、その部分の自分の能力は落ちるだろう。でもこれまで他人に任せていたものをChat GPTに任せたら、自分の能力は落ちない。 Chat GPTが他のツールと違う点はここではないか。人間関係のストレスがない分むし…

Prompts for GPT-4 for Translation Checking (As of July 5, 2023)

(Note) The following commentary was was initially composed in Japanese and then translated into English, on translation from English to Japanese. While the discussion is primarily about translation from English to Japanese, the insights co…

翻訳チェック用のGPT-4へのプロンプト(2023年7月5日現在)

今のところ結構効いているGPT-4へのプロンプト(指示文):(ここから)「(一連の英文)の次の訳文について英文の理解は正しいか、日本語の語彙、文法、表現の4つの面からはどうか、について指定した範囲の全体を見た上で一文ごとに、丁寧にコメントせよ。…