金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

逆転現象?!日本人が英訳本を出し、英米人が日本語訳を出すとき(2023年10月28日)

これまでの考え方では、ネイティブスピーカーは非ネイティブよりもその言語の表現に得意であるとされ、翻訳は、母語をターゲット言語にする翻訳者がすべき、というのが世界の常識だった(日本は例外)。

しかしChatGPTのおかげで、今から2~3年後には、例えば英和翻訳(英語→日本語)は英語ネイティブが、そして和英翻訳(日本語→英語)は日本語ネイティブが主流になっているかもしれない。

ポイントは、原文の意味の読み取りはその言語を母語とする人の方がそうでない人よりも得意だからだ。英語表現はChatGPTに任せ、日本人翻訳者が表現された英語が原文の意図を正確に反映しているかどうかをチェックする方が質の高い翻訳ができるようになるのではないか。

この考え方を敷衍していくと、従来、日本文学の英訳は英米人の文学者が、英米文学の日本語訳は日本人の翻訳者が担当するのが常識とされてきたが、そのうち、立場が逆転するかもしれない。つまり、日本文学に精通して英語を理解できる日本人の翻訳者がChatGPTを使って日本文学を英語にして出版し、各国語の文学に精通しているネイティブの研究者がChatGPTを使って日本語の書籍にして出版するのだ。このような時代がもうすぐ来るのかも。

(2年後、3年後に僕がこの書き込みを読んだとき、未来の僕はどう考えるだろう?)