金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

AIとバイアス

最近、AIが人間では思いつかない手を指すというプロ棋士の発言を読んだ。僕は将棋に詳しくはないけれど、将棋界には昔から「悪い手」とされる手筋が常識として根付いているそうだ。そのような手を指すと、師匠や先輩から叱られることもあると聞いた。だけど、AIにはそういった先入観や既存の知識がなく、ただ現在の局面を分析して最善手を選ぶという。

将棋のルールは固定されていて、AIはそのルールに基づいて最善手を選んでいる。これは、AIが何か新しいものや事象を創造しているわけではないということだ。だが、長く将棋を指してきた人間から見れば、AIの選択する過去にとらわれない手筋は「発見」とも言えるし、さらには無から有を生み出す「創造」ということになるのではないか。

Chat GPTの回答や思考プロセスについても、同じことが言えるのかもしれない。人間はバイアスがあるけれど、AIにはバイアスはない。もちろん、学習データにバイアスが取り込まれている可能性を考慮すれば、完全にバイアスフリーとは言えないかもしれない。しかし、人間のように強くバイアスにとらわれることは少ないだろう。だから、AIの回答や提案が、僕たち人間には新鮮で創造的に感じるってことになるのだろう。

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