金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

和英(日本語→英語)翻訳に対する基本スタンス

某社から連絡があり、今後のプレスリリース等をまとめてやってくれないかと打診を受ける。この会社と付き合い初めて5年。ネイティブ担当者一人とタッグマッチで(何度も担当者と喧嘩しながらも)コツコツ良い仕事を心がけてきた成果かもと思うと嬉しいです。

ただしこちらはずっと一人(というか二人)でやってきたので量は稼げないのである

僕はこの仕事(和英)を深めて行こうとは思うが広げる意図は毛頭ない。質は絶対落とせない(つまりネイティブ担当者に訳してもらい、僕が一語一語完全に納得するまで担当者を質問攻めにし、日本人である自分が疑問に思ったことはお客様も疑問に思うだろうと考え、なぜその英文になったのかの説明を日本語で書いて、お客様の伝えたいメッセージを、お客様の納得できる形で、なるべく自然な英語に仕上げていくスタイル)ので、頼める人を慎重に人づてで少しずつ増やしていくしかないと思っている。

お客様もその辺は理解してくれている。というかこっちがガツガツしてこなかったのが評価されたのかな?まあいずれにせよ新たに契約書を結ぶのでこちらの限界を改めて話してこないと。

そう考えてみて初めて翻訳会社が「即戦力求む」「経験5年以上」を条件にしていることの意味が実感できたような気がします。僕の規模では、特に和英の分野で翻訳者を育成している能力的、時間的余裕がない。

僕は日本人だから英語を直せない。僕にできることは、お客様が伝えたい日本語をネイティブ担当者に正確に伝え、ネイティブ担当者が英語で言いたいことをお客様にきちんと理解してもらう過程の中で、時に対案をネイティブ担当者に提示し(僕がケアレスミスだと思って修正意見を出したところそうではなかったことが分かって恥をかいたことも何度かある)、ネイティブ担当者の説明を日本語に翻訳して伝達しながら、なるべく全員が気持ち良い形で両者の溝を詰めていくことだからだ(この業務には価値があると思っている)。ゆっくり試行錯誤していきます。

僕が和英翻訳をあきらめた理由 - 金融翻訳者の日記