金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

出会った言葉:「(日本は)西暦2000年には一人当たり国内総生産が、アメリカを抜くと見られている」

出会った言葉:「前記のOECD未来予測によると、日本についてだけは、1990年まで年平均6.4パーセントという高率の成長が続くとみられている。また西暦2000年には一人当たり国内総生産が、アメリカを抜くと見られている」。

(石川博友「80年代は波乱含みか」『フリードマンサミュエルソンの英文経済コラムを読み取る』西崎/石川解説(グロビュー社、1981年))

ある本の翻訳を進める中で参考になると思って購入した1981年刊の本から。僕が社会人になる前のことで、1984年以降に日本がバブル経済に突入する直前には多くの日本人がこう「期待」していたことは確か。ただ、上の文章に続けて石川さんはこう続ける。

「こうした予測は、心強いことだが、ひとたび世界経済や国際政治に大混乱が起きれば、日本にとって最悪の事態が起こることも、覚悟しておくべきであろう」

実際は米国も世界経済もこの後何回かの大混乱に見舞われたので石川さんの警句は正しかった面もあるが、欧米はその後それを何とか乗り切ったのに対し、日本は沈み続け、1990年にはバブルが崩壊して「失われた30年」(私に言わせれば「失われた1世代」)に突入することになる。

そういえば、別の参考書で世界経済フォーラムの、2009年の世界国際力ランキングがあったことを思い出し、今どうだろう?と見たところ次の記事が見つかった。

IMD「世界競争力年鑑」2023年版からみる日本の競争力 第1回:データ解説編
総合順位は35位 過去最低を更新

www.mri.co.jp

失われた1世代からの日本はどうなるのか?と、ふと黄昏れた気分になった今朝のことでした。