金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

存在目的(パーパス)の追求は上場と両立できる

先日の勉強会で『フリーダム・インク』を取り上げていただいた。その席で以下のような質問をいただいた。

「理念の浸透や社員の自由を何よりも重視する上場会社は、上場すれば株主への配慮が優先され、短期的利益第一に走る危険があるのではないだろうか」

その時は「株主が短期的な利益を求めていないから」以外には明確に答えらえなかった。ただ終わった後で、株主としての自分を振り返って考えが少し変わった。

実は僕は「ティール組織」である会社5社の株式を保有している。購入した理由は、世の中で「ティール組織だ」と認められていると僕が判断し、実際に経営者の方のご発言を講演会に参加したり、直接面会したりして耳にしそれを確認したからだ。自分に買える資金があるかを確認した後は、株価水準を見ないで買いました。うち1社は何倍にもなり、2社は2割高ぐらいなのだが、1社は70%減。1社は買値の10分の1になっている。

その株主である僕は大幅に下げている2社に対してどう思っているか?

もちろん残念だ。株価は上がってほしい。でも頑張ればいつかは業績がもどるのではないか、頑張れと思っている。

たしかサイボウズ株主総会に出席した時、株主の方の中に「私は上昇した時から持っていますが、株価が10分の1になった時にはどうなることかとヒヤヒヤしましたよ」とニコニコ発言している方がいた。株主総会も、その後の株主との集いも、非常にわきあいあいとしたもので、僕は書籍が縁で株を買ったけれども「あ~この会社の株を買ってよかった。ずーーーーっと持っていよう」と心から思いました。

そうなのだ。ティール組織(『フリーダム・インク』は『ティール組織』の参考文献)の株主は、サイボウズに限らず、おそらく皆僕のような心境ではないだろうか?

おそらく、これらの会社に投資している人たちは短期的な利益を求めていない。投資を通じて、経営者や社員の皆さんと一緒に社会に貢献していると考えているのではないかな?そして株主が怒る時があるとすれば、それはその会社のビジョンや理念、『ティール組織』の言葉でいうところの存在目的、いわゆるパーパスに外れた行動をしていているように見える時、株主は不安を感じるのではないか。特に、株主に対して説明責任をきちんと果たしていない時にその感情が強くなるのではないか、と。

こう考えたらすっきりした。

理念をとことん追求することと株式上場は両立できる。

そのことを次の勉強会で発言しようと思っています(本が厚いので1回じゃ終わらないんです)。