金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

金融翻訳

「組織名の英訳」①(条件交渉)

先週某社から電話があって「実は今度組織改正をして新たな組織を作る。その組織名の英訳をお願いしたい」と依頼を受けていた。文字数が少ないことはわかっていたので「ミニマムチャージをいただきますよ」「当然でしょう」という会話はあった。 一昨日原稿が…

翻訳以前の問題(金子靖翻訳教室での私へのコメントより)

金子先生の教室、昨日の課題では私の訳文には次の3つの問題があった。 (1) 時制をつい読み過ごす。(2) 他動詞で書いてあるものを原文の最も重要な場面転換であることを意識せずに自動詞的に訳す。(これは辞書を引いた上でこう訳した)(3) 原文の全…

見た瞬間に分かる「不慣れ」

明日(25日)がほとんど稼働できないことがわかっているので、昨日と本日はソースクライアント2社からの仕事と書籍に邁進するつもりが、某翻訳会社からQAを頼まれていたことを思い出す。想定時間は2.9時間。始めてすぐにこの翻訳者valuationを「値ごろ感」ov…

時差出勤(?) ー 外国からの送金手数料の負担を飲ませて仕事を受ける

一昨日の夜に品質管理の依頼があって短いものだったのでオーケーと返事したのだが原稿が来るはずの13時30分になっても来ない。おかしいなと思っているうちに忘れてしまった。夕方5時に「受けてくれてありがとう」のメール。「もう締めきり時間過ぎてるよ」と…

目が回るほど忙しいと思っていたら本当に目が回ってしまったお話(2014年6月)

異変の兆候は一昨日の朝からあった。 朝から左耳に水が入っているような(プールから上がったときのような)ゴソゴソ感とボーッとした音が聞こえ、「あれ?気圧が違う?」と思いながら普通に仕事。夕方先輩のTさんとの食事会に行くときにも、何となく目をつ…

「筋金入り」を目指す(2014年3月5日)

「プロフェッショナル」とか「玄人」という言葉がここ20年ぐらい軽薄に使われすぎてしまっているような気がする。 私がかつていた会社のある職場では、「あいつはアマだ」とか「あの人は素人だ」という言い方がされていて、その裏側にある「プロ」とか「玄人…

初めての『ダブルブッキング(?)』(2014年1月)

2週間ほど前の昼間、某社(ソースクライアント)(以下「A社」という。)から仕事が入る。ある経済圏に関するマクロ経済レポートだった。納品期限は3日後。かなりタイトなスケジュールだったが喜んで受ける。 その3時間後、某翻訳会社(以下「B社」という。…

トライアル合格(2013年10月)

某翻訳会社から翻訳者として登録するので会社に来て欲しいとの連絡あり。これは素直に嬉しい。 ソースクライアントから徐々に翻訳会社へ比重を移すというプロジェクトが一歩前進した、というのが第1点めの「嬉しい」理由。 第2に、翻訳会社のトライアルを受…

全部ソースクライアント(2013年10月16日)

怒濤の3連休が終わって某社(翻訳会社)の案件が昼に終わり、実務はあと2件(ソースクライアント)をやりながらいよいよ本だ・・・と思っていたら某金融機関より電話。プレゼン資料を2件受注する。というわけで現在6件の仕事全部がソースクライアント(2件の…

「翻訳会社にシフトしようか?」(ちょっと疲れてきた2013年の書き込み)

この夏にほぼ10年続いてきたヘッジファンドのレポートがなくなった。昨年の今日だったら再び金融機関への営業を考えるところだが、そういう(営業に向けての)気力が湧かない。今後はソースクライアントに伴うあれこれ大変なことを考えると翻訳会社への登録…

confidenceに当てた訳語

今日、あるマクロ経済に関するエッセイの中で、キーワードであるconfidenceに次の訳語を当てた。 自信、信頼感、期待、見通し(の改善)、景況感、安心感、センチメント。 読み終わったときに、読者に違和感が起きないよう工夫した結果ではあるが、1本4000ワ…

本を「書く」苦しみ(2013年8月)

実務翻訳の締め切りは今週ないので遅れている訳本を進め、訳本についてまとめる。前者はとりあえず原文があるのでそれを訳していけばよいのだが(これはこれで大変なのですけれども)、後者はある程度の方針はあるもののゼロから考えなければならない、いわ…

ヘッジファンド(翻訳)の終了

おはようございます。 起床: 4時20分。今朝の起き抜けの体重:76.2g 、体脂肪24%。脂肪量18.3kg昨日比: -0.2kg 、+1%、+0.7kgピーク(5/5):78.4kg、22%、18.1kg(18.8kg=1/4)昨日の間食: もろこし棒1本昨日の運動:『朝のテレビ体操』、腕立て50秒、…

日本語に引っ張られた英語

たまたま今やっている某社の英訳のチェック(ネイティブ・スピーカーが訳したものを私がチェック)をあれこれ調べながら行ったのだが、昨日、公開情報の中に日本人(あるいは日本語に引っ張られ過ぎた外人)が訳したことが明らかと思われる事例を見つけたの…

お客様から「読みにくい」と言われた成果物への対処

昨日、一昨日は、先日「日本語が読みにくかった」とのメールが来たお客様の案件の分析に取り組む。約3000ワード、約200文の全文を分析した。エクセル上のA列に原文、B列に訳文を置き、納品した元の訳文をまず黒にして、お客様が書き加えた文字を青の太字、削…

「11点」取れない翻訳(負けは負け②)

たまたま今訳している文章に When the new Governor Mark Carney arrives....英中銀は金融緩和政策に乗り出すかも。 てフレーズがある。 この時に(文脈の問題は無視できないんだけど・・・) (A)「マーク・カーニー新総裁が就任すると・・・」と訳すか。 …

翻訳の品質管理に時間を取られる(翻訳者の実力不足と飜訳会社の怠慢①)(2013年5月15日)

昨日は1日Readingのレポートを書くつもりだったが一昨日某翻訳会社から翻訳を見直してもらえないかとの依頼。大きなプロジェクトの一部とのことで、インターナルの翻訳者に訳させたのではないかと思われる。先週打診があったが忙しいので断った案件である。 …

負けは負け(翻訳者の実力不足と飜訳会社の怠慢②)

昨日の翻訳チェックをしながら、つい3日前のウチの次男とナメちゃん(卓球道場の仲間)とのゲームを思い出して、段々腹が立ってきた。 次男は 1ゲーム目:11-8の勝ち2ゲーム目:10-12の負け3ゲーム目:9-11の負け4ゲーム目:9-11の負け のゲームカウント…

27時間必要(2013年5月)

起床:4時05分。今朝の起き抜けの体重:77.6kg 、体脂肪23%。脂肪量17.8kg昨日比:ー0.6kg 、+1%、+0.6kgピーク(5/5):78.4kg、22%、17.2kg(18.8kg=1/4)昨日の間食:サンドイッチ1個(妻公認)ザクザクキング(チョコ)一袋(妻未公認)昨日の運動:…

日本語読み上げソフトの驚くべき効用

日本語読み上げソフトに読み上げさせながら、自分で原文を音読すると ①日本語としての流ちょうさと②誤訳、訳抜け の両方がチェックできる。 なんでこんなことに気がつかなかったんだろう、今まで。 これまでの私の利用の仕方は、 1.英語読み上げソフトに原…

自分で調べる

先日の新田順也さんのマクロセミナーで印象に残った言葉の一つは 「自分で調べてみなさい」だった。 確か別のマイクロソフトMVPの方の言葉を紹介されたのだった。講義中に質問を受けるとそのMVPの方は直接答えずに「ご自分で調べて下さい」と言ったという…

3件の打診(2013年4月)

全くの偶然だが、昨日は3件の仕事の打診があった。 1件目はJAT経由の外国の会社。「あなたみたいな優秀な翻訳者を求めています。すぐに履歴書を送って下さい。条件は交渉可」。有り難いお話である。以前から機会があれば皆さんに強調しているがJATのプロフィ…

すべての行動で営業を意識する

一昨日、某ヘッジファンドが6月に閉鎖するとの連絡を受けた。 月の収入の1割ぐらいを占める仕事が4ヵ月後になくなるので、この分を埋める必要がある。そこでちょっと営業を意識してこれまで訪ねたことのある金融機関数社に『ブレイクアウト・ネーションズ』…

「翻訳志望者の審査」という仕事を終えて(2012年11月)

(私のようなフリーの)翻訳者が翻訳者候補を審査するとどう客観的に評価しようとしてもバイアスがかかるであろう(だれも自分の競争相手を増やしたくないですがな)ことはわかっているので、今回の仕事では、「思ったよりも1段階上」の評価にしようと決めて…

翻訳する時の姿勢の変化(10年でようやく気づいたこと)

10年やってきて自分の進歩の遅さにもどかしい思いをすることが多いのだけれど、時たま感じるのは、最近は 「この筆者はこの表現を通して何を言いたいのだろう?それをどう日本語で表現すれば筆者の意図を日本語の読者に伝えられるだろう?」 という意識で翻…

翻訳者の常識と良識を疑う(「千里の道も一歩から」とは言うけれど・・・)(2012年10月3日)

昨日は昼ごろに某翻訳会社から電話がありQA(品質管理ー他人が訳した翻訳を見てチェックする仕事)をやってくれとの依頼。原文5k(5000ワード以上)なので忙しいので断る。 10分後にまた電話があって忙しいのはわかるがどうしてもやって欲しい。実は某社のト…

独立後初めて取引した翻訳会社

おはようございます。 昨日は夕方に某翻訳会社(9年ぶり)を訪ねる。私が独立後最初にコンタクトし、1年後に仕事が来てそれ以降仕事が途切れなくなった(ただしこの数年何となくご無沙汰していた)、私にとって特別な会社だ。 私がJTFに書かせてもらった原稿…

11年目の決意(2012年9月3日)

おはようございます。 本日は営業日としては11年目の初日に当たる。 本日から年末までこれまでお世話になったお客様に挨拶に行こうと思っている。最近疎遠になった所も含めて訪問し初心に帰りたいと思う。 一方で新規開拓も意識する。8月にはレギュラーだっ…

初めて知り合いに営業をかける

昨日は知り合い(かつての上司)が社長をしている某社を訪ねる。元々その方からある仕事を頼まれ担当部署を紹介されて納品し、その担当者の方にご挨拶に行きたいとアポを入れたところそれを聞きつけた上司(つまり社長)から「ちょっと顔出せ」となった。 そ…

金融・証券(『JTFほんやく検定 公式問題集』に寄稿)

 分野の概要「金融・証券」分野は幅広く、「日経新聞」から社会/政治/文化/スポーツ面を除いたすべてといったら分かりやすいでしょうか。私の場合各種ファンドの運用レポートを中心に金融機関の社内外向け資料や財務諸表の英文和訳が仕事の大半を占めて…