金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

お客様から「読みにくい」と言われた成果物への対処

昨日、一昨日は、先日「日本語が読みにくかった」とのメールが来たお客様の案件の分析に取り組む。約3000ワード、約200文の全文を分析した。
エクセル上の
A列に原文、B列に訳文を置き、納品した元の訳文をまず黒にして、お客様が書き加えた文字を青の太字、削除された部分を赤の太字の取り消し線で直し、C列に私のコメント、感想等を書き込む。
お客様は別に分析的に編集しているわけではないので、お客様の修正点が必ずしも一貫しているわけではないが、このように表にしていくと、修正された箇所は、おおむね
1.単純に語の選択で、わざわざ修正しなくてもよかったと思われるもの:次には修正されない可能性が高い
2.どちらでも良いのだが、お客様(編集者の個人)の好みが現れる箇所:次も修正される可能性が比較的高い
3.お客様の会社として好ましいと思われる表現に直されている箇所:恐らく毎回修正されると思われるので、ルール化する必要がありそうな箇所
4.お客様の訂正の方がよい翻訳(編集の視点で見るので、文章が締まっている)となっている箇所:自分の反省点
5.翻訳では絶対出てこない日本語で、編集上の裁量で修正したとしか思えない箇所:お客様に確認してもらう
6.修正する必要のなかった箇所(お客様の側の誤解や誤訳):お客様から反論される可能性はある。
に分類できると思った。このうち「3」の部分に黄色の網掛けをして、ここを中心にお客様のコメントを求める旨のメッセージを添えて、昨日エクセルシートを送付した。合計で約6時間の作業。
お客様との間では、良い作品を仕上げていくためにお互いに努力して行きましょう、というコミュニケーションが成立している(お客様の会社の対営業部門という点ではお客様と私は同じ舟に乗っている)と思うので、これをきっかけに良質のものができることを期待したい。