金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「筋金入り」を目指す(2014年3月5日)

「プロフェッショナル」とか「玄人」という言葉がここ20年ぐらい軽薄に使われすぎてしまっているような気がする。

私がかつていた会社のある職場では、「あいつはアマだ」とか「あの人は素人だ」という言い方がされていて、その裏側にある「プロ」とか「玄人」とは、他ならぬ自分のことを指していることが多かったような気がする。私はそれでとっても嫌な思いをしたことがあるのでよく覚えているのだ(要するに、4年ほど上の先輩から「このド素人!」と言われたことあるんです。そのことをまだ根に持ってまして・・・我ながらセコイね)。

それは今私がいる翻訳のような専門職においても陥りやすい独善なのではないか。なぜならば時たまそういう言い方を見たり聞いたりするからだ。最も虫ずが走るのは「素人さん」という言葉かな。「僕は違うぞ」「アタシは違うのよ」という差別感が裏側に漂っているような気がするからだ。他人に向かって言う「駆け出し」も嫌い。

言葉は頻繁に使われるほどに有り難さが減じていく。その意味では「プロフェッショナル」とか「玄人」という言葉が希薄化していると思う。

ではまだその本来の意味を残している言葉はあるか?ある。「筋金入り」だ。

これはまだ「自分」には使えない(言葉が変容していってこれから変わるかもしれないけれど)。「あの人はプロだ」「あの人は玄人だ」と言われても嬉しくないし、ましてや「私はプロだ」「私は玄人だ」とか「あの人はアマだ」「あの人は素人(さん)だ」と言いたくもない。

「あの人は筋金入りの翻訳者だ」

そう他人から言われ、自分のこともそう誇れるように努力を続けたいと思う。