金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

金融翻訳

『金融英語の基礎と応用 すぐに役立つ表現・文例1300』 まえがき

はじめに 本書は金融関連のレポートで見かける典型的な表現や用語を、言い回しや重要用語ごとにまとめた例文集です。一つの例文は英語と日本語の対訳になっています。想定している読者層は、金融翻訳の初級~中級者で、主にファンドの運用報告書や投資レポー…

「なにくそコンチクショー」(『金融英語の基礎と応用』の執筆を支えたのは意地)

やっと著者向けの見本本がきた。 本当は23日までには着くはずだったのだが出版社の手違いで最初の2冊が着いたのが25日(ひとまず編集部にあるものを2冊宅配便で送ってもらった)。これは2冊ともそのまま鞄に突っ込んで翻訳祭の前夜祭で1冊進呈、もう1冊も同…

マッチング率はナンセンス

昨日の夕食時の会話 「おい、明日は日本は休日だな」「お父さん、それじゃ日本にいないみたいじゃない。それを言うなら『世間は』でしょ」 外国の翻訳会社との仕事が終わったところだからかな。 それは、ある会社の第3四半期(7ー9月期)決算発表用プレスリリ…

「これでよく受けたな!」と驚きあきれた翻訳者のレベルと姿勢(2015年10月)

比較的短めの品質管理の仕事。想定時間3.6時間で納期まで3日あったのだが、品質管理は「まさか?」の事態があり得るので昨日ちょっと(3本のレポートのうち1本)やってみたら、その「まさか」だった。 Peripherals 金融やっている人だったら常識で、「欧州周…

当面新規営業は控えよう

昨日も1日中仕事。長いもの、短いもの含めて6件同時進行のうち1件が昨日終わり、1件の納期日を1日延ばしてもらい精神的には若干落ち着いたかな?ただ某ソースクライアントから「終末にお願いしたいレポートがある」と言われていてその量と納期次第ではまた苦…

翻訳会社に日英翻訳を発注した話

某ソースクライアントから先週発注いただいたのだが、お願いしようと思っていたネイティブ担当者が二人とも都合がつかず、やむなく普段つきあいのある翻訳会社に発注した(お客様にはその旨連絡しご了解を得ている)。次は私の発注したメールから。(以下引用…

読者の利便性より自分の都合

新たなレポートを請け負った場合にはサンプルを見てサンプルの訳文に倣うようにしている。明らかにオカシイ場合には修正を提案するがそうでない限り前例を踏襲する。 A社(ソースクライアント)の株式ファンドレポートの原文では会社(銘柄)が出てくると、…

和英(日本語→英語)翻訳に対する基本スタンス

某社から連絡があり、今後のプレスリリース等をまとめてやってくれないかと打診を受ける。この会社と付き合い初めて5年。ネイティブ担当者一人とタッグマッチで(何度も担当者と喧嘩しながらも)コツコツ良い仕事を心がけてきた成果かもと思うと嬉しいです。…

金子靖先生の翻訳教室についてー講師が「神」ではない教室の魅力(2015年6月18日)

昨日は金子靖先生の翻訳教室、2期目の最後の授業だった。ひいひい言いながら12回の課題を全部出し、出席しました。 川月現大( 風工舎代表)さんに紹介されて特別教室に参加してから1年。毎回何が何だかわからない原文を解読するところから始まり、月末にな…

「トランスレーターズ・ハイ」は危険信号(2015年5月15日)

昨日は気がついたら夜になっていて、夕食を食べてすぐ仕事に戻って11時に寝た。今朝は3時半に起きてしまった。眠くもなかったが「まずい」と思って4時40分まで布団の中にいた。 ネットの翻訳時間13時間超えは久しぶりだが何故か疲れていない。気力も充実して…

長期平均

(下らない話です。お時間のない方はスルーを) 今、あるマクロ経済のレポート訳していましてね。「・・・米国市場の現在の・・・は長期平均に比べ・・・」(と英語で書いてあるわけですけれども)の部分がだよあんた。the long term average of around XX%…

GW前の飜訳会社との会話

まずは今朝来たメール。「(5月)1日の午前11時まででお願いできますでしょうか」即電話。「何時間かでも遅くなりませんかね」「う~ん数時間なら」「・・・ところで、ソースクライアントへの納品はいつ?」「・・・(5月)7日の正午です・・・」さすがに、…

伝えたいことは何か?-英訳案件をめぐっての小さな事件(2015年4月21日)

先週金曜日に上場企業某社広報部からメールがあり、「当社のポスターに掲載するメッセージを作ったので英訳してほしい」との依頼を受ける。用途は英語のポスターに使うとのこと。締め切りは昨日。文字数90字。 昨日朝納品したところ、昼頃に「社内からこうい…

スケベ心に負ける(『ティール組織』リーディング依頼を受けた時) ①

どうしようもなく忙しいのに仕事を受けてしまうことがある。(1)断れない先のとき、(2)「どうしても!」と頼まれるとき、(3)こっちにスケベ心があるとき。 昨日は(3)のケースだ。 某社の編集者Oさんから電話。「鈴木さん、お久しぶりです!」「…

「僕の『二足のわらじ』」ー好きなことを仕事にしかけた頃(2015年4月8日)

「好きなことを仕事にし始めたのいつだったっけ?」と考えた。留学から帰ったのが1989年で91年まで東京にいたのですが、その間僕は会社に秘密で増進会(Z会)の大学受験科(A科:英語)の添削バイトをやっていた。 2年ぐらいやりました。主に週末に。楽しか…

下訳について①

妻は絵画教室に通っている、先日、自分が描いていたある絵の仕上げの2段階前ぐらいに先生がかなり手を入れたらしいのだが、「アタシはそれが納得できなかったので」と妻は元のアイデアに戻したとのこと。出来上がりの絵を見た先生はとても誉めてくれ、何かの…

お客様からのクレーム―他人の目で見てもらう―

昨日は翻訳会社B社経由の仕事である金融機関からクレームがあった。しかも「このファイルに問題があるのだが、どこが悪いか自分で考えろ」。こういう姿勢にはムカっと来る。お互い忙しいのだから「ここがこうまずい」と言ってくれた方が時間が短縮になるだろ…

翻訳会社の「ピンハネ率」(2015年3月14日)

前から思っていたんだが、なぜ翻訳会社は自分の売り値を翻訳者に教えないのだろう 僕の知っている限りでは、以前ある翻訳会社が翻訳料を公開していた(翻訳料支払い通知書にソースクライアントへの請求単価を乗せていた)が、6,7年前に止めた例が1つある…

「きれいなお別れ」(目が点:1ワード当たり単価が6円②)

一昨日、1ワード6円の翻訳会社A社のことを書き、昨日正式に断りのメールを入れたのだが、その直後に某翻訳会社B社からの仕事を受ける。ちなみにA社、B社ともホームページでお客様への料金体系を開示しており、2つを比較すると、A社の最高レートよりもB社の最…

目が点:1ワード当たり単価が6円(2015年3月4日)

この会社、ホームページとか見ると相当真面目にやっている翻訳会社で、スタンスも良いなと思って年末にトライアルを受けた。で、さっきメールが来て見事合格。色々な手続き用資料が添付されている。 でだ。 Dear Tatsuya, Greetings from 会社名! Thank you…

翻訳スピードの鈍化(2015年2月21日)

ちょうど1年前、某出版社からとてつもなく厚い本のオファーがあった。この時は版権が取れていたので僕がイエスと言えば決まりだったのだが、2週間考えて泣く泣く断った。理由は「15万語を半年」と言われたから(その後20万語近いことがわかった)。その時の…

「『時間単位』から解放される」(2015年2月14日)

起床:4時50分今朝の起き抜けの体重:75.4g 、体脂肪24%。脂肪量18.1kg前日比:-0.2kg、±0%、±0kgピーク:体重は78.6kg(8/24/14)脂肪量は19.9kg(12/7/14)昨日の間食:塩せんべい3枚昨日の運動:「朝のテレビ体操」、じょぎんぐ散歩30分昨日の翻訳スト…

お客様は入れ替わる―2015年頃の仕事日記(2015年2月10日)

怒濤の2週間が終焉を迎え昨日の午前中は「昼が来れば休める。『神様はバリにいる』でも見に行こうかなあ」と思っていたら翻訳会社Aから仕事が入って午後はそれに時間を取られる。午後7時頃に目処もつき「さあ今からビールを飲もうかなあ」と思っていたら翻…

翻訳会社の代表(?)としてトライアルを受ける(2015年2月)

先日某翻訳会社の代表(?)として某金融会社のトライアルを受け、合格したのだがその翻訳会社から「2月の予定が来ましたので今月からよろしくお願いします」とリストが届いた。毎月10日頃から後半ぐらいまで毎日~1日置きぐらいに大小様々なファンド(投資…

「平均で400字詰め原稿用紙1枚あたり1200円ですが・・・」(2014年11月)

先日翻訳ディレクトリーを見てアクセスしてきた翻訳会社があって、緊急案件と言われたが断った。ただせっかくの機会なので登録しようと思ったわけです。 登録フォームに「『弊社規定に従う』と『希望レート』のどちらかを選ぶようになっていたので、「スミマ…

ポストエディットのオファー(2014年10月)

先日某翻訳会社からメールが来た。 「今度機械翻訳のポストエディットをやることになった。ついてはこの業務に関心のある人はその意思を示して欲しい」 そこで次のような返信メールを書いた。「サンプルを見せてほしい。現段階での御社の英日の機械翻訳の水…

間が悪い(いつも断ってしまう先)(2014年10月16日)

昨日夜に翻訳会社(上海事務所)P社のDさんから電話。「スズキさーん。お忙しいですかぁ?」 彼女はいつも日本語である。少なくとも彼女のヒアリング力は完璧で俺の英語の方ができると見栄をはるほどの勇気もないので日本語で応対している。ここは3日ほど前…

「組織名の英訳」②(日本企業の英語ホームページの特徴)(2014年9月)

僕は6~7年前から対ソースクライアントでは英訳を受けるとネイティブ担当者に一次訳を任せ、私は①英和翻訳者としていわゆる品質管理、と②必ずしも成果物を評価できないお客様に対し「なぜこういう英文になったのか?」「なぜこの表現を削ったのか?」の説明…

「組織名の英訳」①(条件交渉)

先週某社から電話があって「実は今度組織改正をして新たな組織を作る。その組織名の英訳をお願いしたい」と依頼を受けていた。文字数が少ないことはわかっていたので「ミニマムチャージをいただきますよ」「当然でしょう」という会話はあった。 一昨日原稿が…

翻訳以前の問題(金子靖翻訳教室での私へのコメントより)

金子先生の教室、昨日の課題では私の訳文には次の3つの問題があった。 (1) 時制をつい読み過ごす。(2) 他動詞で書いてあるものを原文の最も重要な場面転換であることを意識せずに自動詞的に訳す。(これは辞書を引いた上でこう訳した)(3) 原文の全…