金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

プロンプトは母語(日本語)の方がいい(2024年6月15日)

これまでの1年数カ月のChatGPTを利用した経験を踏まえると、プロンプトは英語ではなく母語で書いた方が正解にたどりつきやすい、というのが現段階での僕の結論(仮説)です。

ChatGPTは日本語よりも英語の方がずっと得意だというのは明らかです。だから、英語のプロンプトの方が日本語よりも正確にメッセージが伝わりやすいのは確かでしょう。でも、英語ネイティブではないあなたの書くその英語は、あなたのメッセージを正確に反映しているのだろうか?

プロンプトを発する側が自分の不得意な英語でプロンプトを出して答えが曲がってしまう確率と、得意な日本語でプロンプトを出して、ChatGPTがその日本語を読み間違えて出力が間違う確率は、どちらが高いだろう?

おそらく、英語の非ネイティブであるあなたや私の英語表現能力よりも、CHATGPTの日本語理解能力の方が高い。さらに、ChatGPTの回答が間違っているか歪んでいた場合、 その原因がプロンプト(発信)側にあったのか、ChatGPT(受信)側にあったのかをまず見極め、その上で対処し軌道修正する際には、プロンプトが日本語であった場合の方がずっと早く解決にたどり着けるだろうと私は思う。そもそも、利用者は母語(つまりこの場合は日本語)のプロンプトで矯正して行く方が発信サイドの間違いが少ないのではないか?これは検証する価値があると思っています。

今のChatGPTは英語ネイティブの天才ですから、「英語ネイティブではない英語の得意な日本人」と同じで、その日本語の読解力は相当高いものの表現力がそれに追いついていない、というのが僕の理解です(したがって日本語表現には参考程度にしか使えない)。ただ、日英翻訳でChatGPTをお使いになった方はよくお分かりのように、その日本語理解力はかなりのものです。

したがって、間違っているかもしれない英語をわざわざ使ってプロンプトを書くぐらいなら、最初から日本語で書いた方が正解にたどり着きやすいのではないでしょうか。もちろん、「英語でのプロンプトを書くために日本語をChatGPTに訳させる」というのは本末転倒です(というか、もしそうならほとんど「お笑い」の世界だ)。それなら最初から日本語でプロンプトを書けよってことですものね。

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