前から思っていたんだが、なぜ翻訳会社は自分の売り値を翻訳者に教えないのだろう
僕の知っている限りでは、以前ある翻訳会社が翻訳料を公開していた(翻訳料支払い通知書にソースクライアントへの請求単価を乗せていた)が、6,7年前に止めた例が1つあるだけです。
僕自身は2年ぐらい前まで某ソースクライアント向けのレポートの翻訳で、お客様に断った上で(私と顧客と同程度の守秘義務契約を締結していることを保証して)一人にいわゆる下訳を頼んでいたことがある(そのファンドの解消とともになくなった)。その時は私は一語一語全部見て直し、納品ファイルは返し、気がついた点はコメントしていた。
また日英(日本語→英語)は原則として同じネイティブ・スピーカーの方にお願いしている。いずれも翻訳料金は折半。特急だったりして上がることも、お客様によって下がることもあるが担当者は大元(つまり僕がソースクライアントに請求している額)を知っているので、「す、スマン今回は○○円になったので△円でお願い」という会話になる。
唯一の例外は先日(つい10日ぐらいまえ)。
欧州に出張したお客様向けにスピーチの英訳を請け負った。当然翻訳料金は折半だが出張直前に電話が入り「音声で覚えたいのでスピーチを吹き込んだファイルを送ってもらいたい」との依頼があった。7分のスピーチ。僕の独断で吹き込み料7000円(税別)を交渉。成功しました。これは作業をするのもファイルを作るのもネイティブ翻訳者のAさん。私がしたのは料金交渉と相手とのコミュニケ-ションのみ。
この時は折半にしなかった。以下その会話
「Aさん、吹き込み料の報酬ゲットしたぜ、7000円!」
「ホントですか?すごーい」(吹き込みを無料サービスと思っていたらしい)
「で、僕は2000円ピンハネしますんで、Aさん5000円ね」
「え、半分じゃないんですか?」
「いいよいいよ、だって俺交渉しかしてねえじゃん」
このことを意気に感じてくれたのだろうか、Aさん、こっちが頼みもしないのに「ナチュラルスピード」と「ゆっくりめスピード」を吹き込んで送ってくれました。
以上ご参考まで。
(後記)英和翻訳(英語→日本語)については、どなたかに翻訳をお願いすることはこの記事以降もありません。和英翻訳(日本語→英語)はすべてネイティブ・スピーカーに一次翻訳をお願いし、僕はPMに徹していますが、僕の受注金額を翻訳者の方に伝え、原則折半(ネイティブの方の取り分を少し多くすることはある)という方針は今も変わりません(2021年3月14日記)。