金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

金融翻訳

訳文から見える違和感(2017年11月)

最近、必要があって同じ原文(マクロ経済の関するレポート)に対するいくつかの訳文を読む機会があった。審査というと偉そうだが、ちょっと見てくれません?と頼まれたわけです。 原文は読めている・・・と言っても私が普段訳している英文の地の部分はTOEIC…

FX取引に対する僕の考え

拾った言葉:「パチンコ、パチスロは適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう」本日の新聞折り込みに入っていたパチスロ店の広告に書いてあった警告文。 これを見てつくづく思ったのは、FX取引に関する広告になぜもっと厳しい制約を課さないのだろ…

翻訳の見直し

たった今、『アメリア』の2017年2月号、特集「翻訳スピードは上げられるのか?」をザッと読んだところ。 見直しをどう(効率よく?)しているのか?についてのコメントがなかったのは残念だった。アンケートはそういう趣旨ではなかったのかな? もちろん、1…

作業時間の目安(2016年12月)

マンスリーレポートの一部を納品し終わったところ。 目覚ましは5時だったんですが、先ほど書いたように今朝は3時半起き。朝食30分と朝のルーティーンを除くとずっと翻訳に係りきりで10分前に納品。お客様との約束は10時だったから、3時30分起きが結果オーラ…

頼られると思うからこそ頑張れる(2016年10月)

某P社から昨日きたスケジュール確認メール「Aレポートに関しては、11月12日土曜日中に英語原稿が仕上がる予定です。予定では30ページほど担当して頂くことになると思います。一日A4で3ページ程度の感覚で、最終的には11月23日までに完了を目指しております。…

「瓢箪から駒、みたいな」(和英案件)(2016年10月16日)

自業自得と言いますか何と言いますか、金曜日に原稿も見ないで受けてしまった仕事のおかげで朝から晩まで仕事でした。その割に翻訳時間が長くないのは、睡眠時間を7時間にしているのと散歩を必ずいれているため。 実は金曜日には同じソースクライアントから…

パッチワーク翻訳の罪(2016年10月)

L社は担当者のP氏がヘッドハンティングでD社に移り、後任のS氏になってから、部分訳の割合が増えた。マンスリーレポートなので前月と同じ表現の箇所が3~4割。場合によっては8割の箇所もある。P氏の時にはそういう変更とは関係なく、「全部訳してください」…

フリーランス金融翻訳者としてお互いに頑張っていくために!(2016年9月 日本翻訳者協会 セミナー案内)

概要:病気になって勤めていた会社を辞め、「せっかく休むのだから、翻訳者になってみよう!」と思って歩み始めた実務翻訳者の道。無我夢中で走り続けて、気がついたら14年たっていました。 私なぞまだまだ修行中の身です。英語力も、日本語力もお恥ずかしい…

Brexitをどう表記するか。

英国が欧州連合(EU)から離脱することをBrexitと以前から英語のマスコミが書いていた。 1カ月ぐらい前から日経新聞が初出「ブレグジット(英国のEUからの離脱)」、その後「ブレグジット」と書き始めた。毎朝テレビ東京系で放送されている「モーニングサテ…

大山鳴動して金融翻訳者儲かる?ー「ブレグジット」が可決されて1週間

Brexitの狂騒曲が始まって1週間。スッタモンダがございまして。で、1週間たちましたがね。 今朝のモーサテ(テレビ東京の「モーニングサテライト」)では、「ニューヨークダウが史上最高値まであと2%」だって。 あれあれ。じゃあこの1週間なんだったの? ち…

Brexit国民投票前夜

「今日1日は本だなあ」と思っていたら10時頃に某ソースクライアントからメール。「鈴木さん、何とか午前中にこれを・・・」500ワードの為替関連の記事。すぐに電話「お昼はちょっと無理だと思うけど、13時ぐらいなら」「助かります~。13時でお願いします」 …

産業翻訳と出版翻訳のバランス

実務翻訳の仕事を1件仕上げたところ。 昨日は久しぶりに本だけで1日。 普段は実務翻訳の締め切りの合間に時間を作り、ないときには夕食後に無理に起きて手がけている書籍翻訳。昨日は本当に久しぶりにゆっくり(と言っても6時間強程度?)書籍だけに取り組み…

翻訳会社の追求はしばしお休み(2016年6月)

昨日は翻訳会社3社からの案件を断った。理由は「忙しいから」。 以前なら上のうち一つは受けていたはず。でも今後のことを考えて受けるのを止めた。もちろん、そこには計算もある。実は先週末に新しいソースクライアントから初の仕事を受注したのだ。この3月…

僕が和英翻訳をあきらめた理由②

Aさんのサークルに和英翻訳者の「募集広告」を出した。募集、と言っても今すぐ必要!ということではなく、将来機会があれば僕と一緒に和英(日本語→英語)をしてもよいかな?と思ってくれそうな人を探していますという募集の打診みたいなお知らせ。「英語の…

ソースクライアントの比率が高まるということ

……帰宅するとソースクライアントX社のSさんからメール。「鈴木さん、今の仕事終わったら次これとこれをお願いします」。X社は前任のLさんがヘッドハンティングされて退職した会社。Sさんはその後任で挨拶がてら料金値上げを折衝に行って成功した先だ。なぜか…

けがの功名(2016年4月)

昨日の朝8時30分。 ソースクライアントSA社からマンスリーレポートの原稿が届くか電話が来る時間なのに来ない。ここからほぼ1週間かなりタイトなスケジュールになるので朝早くから「読み違え」で受けてしまった翻訳会社HA社の仕事をできるだけ進めていた。SA…

『金融英語の基礎と応用~』の裏話(2016年4月)

『金融英語の基礎と応用』をつくっていたほぼ3年間、普通に日本語で書かれ、話されている経済用語の中で「これは!」と思う表現を毎日メモっていました。日本語で自然と目や耳に入ってくる言葉が英語でどう表現されているかを確認(←これは自分の仕事の中か…

「上がる」「下がる」関係については英語の表現の方が日本語よりも豊富(『金融英語の基礎と応用~』の裏話)(2016年4月18日)

『金融英語の基礎と応用』では、相場の動き(上がる、とか下がる)の表現をかなり取り上げています。 これは本をつくっていた3年間、毎朝30分ぐらいかけて読む新聞(日経と朝日)とテレビ東京の「モーニングサテライト」で見かけた、ちょっと気にとめておき…

動かなければ、始まらない。やってみなければ「限度」はわからない(2016年4月)

昨日の書き込みと皆さんのコメントを読んでいるうちにふと思い立ち、先方から何も言われていないのに、私にメールをくれた方に職務履歴書を送り、「ご紹介者の方にご転送ください」と書いてみた。 「図々しすぎる」と取られる可能性はある。 「これをすると…

殻を破る:自営業者になるということ(2016年4月7日)

お昼頃に某出版社の編集担当者からメール。この方とはあるパーティーで名刺を交換し、その後書籍のオファーを一度受けたことがあるが、こちらの都合でお断りしたことがある。 「お、書籍のオファーかな?」 と普通思いますよね。 メールの内容は・・・ (引…

「品質管理」は慎重に(2016年3月26日)

先日、品質管理について書き込みをした際、お友だちのお一人から、「品質管理」として受けた案件で、翻訳者の専門用語や内容理解に問題があって事実上やり直し(翻訳し直し)になるケースはあるか、その場合(条件面などで)翻訳会社に対してどう対応するか…

単価値上げ交渉

昨日はソースクライアントS1社からヘッドハンティングされてソースクライアントS2社に転職するAさんと会食。いわば「お疲れ様」会で、当然勘定は僕持ちである。もちろん、僕サイドには「お疲れ様」以外に「あわよくば」の目論見があったことは正直に認めよう…

悩ましい三角関係(2016年3月)

ソースクライアントのSA社(大手金融機関)は私以外に翻訳会社を使っている。そして僕はそのうちの一社がどこかを知っている(Hb社)。Hb社がたまたま僕の顧客で、私は以前同社を通じてSA社の案件を訳したことがあるからだ。そして僕がそのことを知っている…

翻訳会社に接待してもらったお話(2016年3月)

昨日は夕方まで仕事のあと散髪に行き、その足で某翻訳会社との宴会へ。 この会社の役員Iさんと知り合ったきっかけはJTFのセミナー後の宴会だった。「これから金融部門を立ち上げるので・・・」で名刺を交換したら、1ヶ月後ぐらいに担当者Sさんと一緒にわざわ…

本が出版されたとたんにセコくなる(2016年2月17日)

おはようございます。 [昨日の自分] 起床:5時25分体重:78.0kg、体脂肪率22%、体脂肪量17.2kg前日比:-1kg、-1%、-0.5kgピーク:体重は78.6kg(8/24/14)脂肪量は19.9kg(12/7/14)間食:柿ピー一袋。運動: スクワット90回、ウォーキング2.5キロ翻訳…

物価に関するトリビア

昨日日銀が「マイナス金利」の導入を発表した。 マイナス金利とは何か、とかCPIとは何かは横に置き、翻訳の観点から予備知識として知っておくと有効な点を一つ、二つ。金融/経済関連以外の皆さんにとってはトリビアということで・・・。 (1) マイナス金…

フリーランスとしてのやりがいを感じるとき(2016年1月)

昨日は午後から突然忙しくなった。2件ともソースクライアントから。 (1)「鈴木さん、某国に関する投資レポート、今週中に出したいので明日の午後5時までになんとかお願いできないだろうか?」「量はどれくらいで・・・?」「いつものレポートで4ページ…

2016年年初で予想されていた「テールリスク」と予想すらされていなかった「テールリスク」(2016年1月)

今朝のモーサテから①「株価と為替の年末予想」(1)株価強気派のポイント・日銀の追加緩和(「新たな金融政策」)がある。・年末まで緩やかなドル高(円安)基調が続くことに加え、2017年4月の消費税率引き上げを前にした駆け込み需要が望める。(2)株価…

『金融英語の基礎と応用 すぐに役立つ表現・文例1300』発売直後の反応

本書は翻訳書ではなく、金融(しかもマーケット寄り)の人々を対象にした「翻訳に関する本」である。世の中に『金融英語』『経済英語』に関する本はたくさんあるが、本書は英和翻訳(英語→日本語)の翻訳者を対象にした本でありながら、目次も見出しも「訳語…

『金融英語の基礎と応用 すぐに役立つ表現・文例1300』 まえがき

はじめに 本書は金融関連のレポートで見かける典型的な表現や用語を、言い回しや重要用語ごとにまとめた例文集です。一つの例文は英語と日本語の対訳になっています。想定している読者層は、金融翻訳の初級~中級者で、主にファンドの運用報告書や投資レポー…