金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳スピードの鈍化(2015年2月21日)

ちょうど1年前、某出版社からとてつもなく厚い本のオファーがあった。この時は版権が取れていたので僕がイエスと言えば決まりだったのだが、2週間考えて泣く泣く断った。理由は「15万語を半年」と言われたから(その後20万語近いことがわかった)。その時の出版社とのやり取りの中で「故山岡洋一さんは実務の時間と出版の時間をきちっと分けておられた」という話が出たことを思い出す。

書籍が売れてくれるか、僕の翻訳スピードがもっともっと速くなれば上のパタンでも何とかなるだろう。前者は機会を待つしかない。問題は後者で、ここ1~2年、翻訳スピードが間違いなく落ちている。これはソースクライアントの比率が増えたことと無縁ではないと思う。ソースクライアントの場合、単価が高い分僕は意識的に工程を増やしている(通常のチェックとは別に英語の音声で1回、日本語の音声で2回チェックをし、最後の最後に床屋さんの最終チェックみたいな確認をする)ので納品時での1時間あたりワード数が200を切るのだ。これは現在やっている出版翻訳並みの遅さである。4~5年前は速いときで時速400~500ワードはあったのだが、これは工程を増やしてきて遅くなっている部分もある。対ソースクライアントで段々慎重になってきている。何か毎回作品を仕上げるような気持ちが強くなっているのだ・・・・これは勢い効率を下げる。

なお対翻訳会社の場合は上の音声の工程がなく、自分で音読しているので時速300~400ワードぐらい。それも少し遅くなっています。集中力も落ちているのかも。細かな作業を省力化して少しでも短くしたいのだが・・・というのが目下の結構深刻な悩みです。