金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

お客様は入れ替わる―2015年頃の仕事日記(2015年2月10日)

怒濤の2週間が終焉を迎え昨日の午前中は「昼が来れば休める。『神様はバリにいる』でも見に行こうかなあ」と思っていたら翻訳会社Aから仕事が入って午後はそれに時間を取られる。午後7時頃に目処もつき「さあ今からビールを飲もうかなあ」と思っていたら翻訳会社Bから仕事が入る。

翻訳会社Aは私がトライアルを受けて取ってきた某大金融会社の案件で僕が主体的にやらざるを得ない(望むところなのですが)。翻訳会社Bは昨年登録したばかりだが、翻訳会社Aの翻訳料金の最高(つまり私らしいのですが)よりもスタート時点(つまり最低)の翻訳料金の方が上という会社。A社にとって僕はベテランだけど、B社にとっては新人である。昨日午前に納品した案件に引き続きなので試用期間が終わり本格的に使ってやろうかな、ということかもしれない。だから受ける。新たなプロジェクト1件が本格的にスタートし、新たな翻訳会社との本格的なつきあいが始まったという感じである。

2年前に講師をさせてもらったときに、参考までに7~8年前の営業日誌(つまり何時に起きて、どの仕事を何時までやり・・・をライブで記録したノート)を3冊持ち込んでクラスに参加してもらった皆さんに回覧した。営業日誌なのでボールペンの殴り書き。私は丁寧に書いても読めないと言われる悪筆(?)なのでよーく読まないとわからないのですが、そこには当時の顧客名が書いてある。でも今それらの会社のほとんどとは関係がないので問題ないと判断しお見せすることにしたのだ(10年程前にJTFで講師させてもらった時は、顧客名を隠したノートのコピーをプロジェクターでお見せした)。

お客様は段々と入れ替わっていく。ただこちらは意図したわけではないが、顧客層の「入れ替わり時期」というかサイクルのようなものはあるみたいで、昨年から今年がそうなのではないか、という気がしている。昨年あたりから「ソースクライアントよりも翻訳会社」へのシフトを意識し始めた。意識しただけで別に普段の仕事ぶりが変わるわけではないし、今のソースクライアントのお客様とも良い関係がきずけているのだけれど、でそういう姿勢が形になってきつつあるのかもしれない。

まあまあそんなわけでフリーランスは地位に甘んじられないわけでして、そこが怖くも有り面白くもあるわけですね。面白い方が大きいから続けられる。怖い方が大きい人には無理な職業(身分?)だと思います。

・・・というわけで、本日も皆さんにとって素晴らしい1日となりますように!!

(後記)
先ほど、「昨年あたりから「ソースクライアントよりも翻訳会社」へのシフトを意識し始めた」と書いたが、ぼんやりと翻訳会社へのシフトをイメージしたのは一昨年の夏、某金融会社のファンドが廃止になった時だ。金融の人はおわかりになるとおもいますが、アベノミクスで株式市場が暴騰している時に意外と苦戦したのが株式ロングショートヘッジファンド。これの運用成績がロングオンリーの株式投資パフォーマンスに負けて資金が流失したのが原因である。

4月に「6月に閉鎖します」と言われた。毎月7000~1万ワードのソースクライアント。これを埋めようと思った先がソースクライアントではなく翻訳会社。でトライアルを受けたのが上記の翻訳会社B。受けたのが7月、受かったと連絡が来たのが11月。面接があって、最初の仕事の打診が確か昨年の4月(スケジュールの関係でこちらが断った)。その後2~3カ月に1度打診がある度にお断りし、こちらも心苦しくなってきて12月に無理して受けた。すぐに訪問。で、今年に入ったわけ。1年半かかっている。新規開拓には時間がかかるのを実感している。

(さらに後記)その後も色々入れ替わりがありまして、結局現在の取引先はすべてソースクライアントになっています(2022年2月10日)。