金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「オンライン授業で講師をやって気がついたこと」

「2020通訳翻訳フォーラム」で講師をやらせてもらって気がついたことを記録のために書いておく。それは、「オンライン授業の場合、講師側には生徒の代表としてのモデレーターが必要ではないか」ということだ。 私は時たま何か話をしてくれと頼まれると①資料…

彼岸の中日

お墓参りは自然と昔話をしたくなる雰囲気を作るのだろうか。 昨日は亡き父の墓参りへ行き、帰りのバスを待っている時に妻が「あたしが中学の時は本当に苦労したのよ~」と思い出を語り出した。妻は中学までバス通学をしていたのだが、そのバスがなかなか来な…

思い出は遠いのか、近いのか

お墓参りは自然と昔話になりやすい雰囲気を作るのだろうか。 昨日は亡き父の墓参りへ行き、帰りのバスを待っている時に相方が「あたしが中学の時は本当に苦労したのよ~」と思い出を語り出した。 妻は中学までバス通学をしていたのだが、そのバスがなかなか…

最高の同時進行型「オーラルヒストリー」『将棋の渡辺くん』

「オーラルヒストリー」ってあるじゃないですか。政治の世界では御厨貴さんが有名だけど、『将棋の渡辺くん』って棋界最高峰の実力者の奥さん(伊奈めぐみさんは渡辺さんの奥さん)による空前絶後の同時進行型漫画オーラルヒストリーだと思う。 「将棋界には…

「超マイナーだが強烈な本」ー『思考訓練の場としての英文解釈(1)』(2020年9月)

これまで、『英文標準問題精講』『英文解釈教室』『英文解釈考』を紹介してきましたが、今日は、最もマイナーな参考書を一つ。『思考訓練の場としての英文解釈(1)』は次のような英文のオンパレードです。 [原文]Democratic institutions are likely to wo…

『英文標準問題精講』と『英文解釈教室』(2020年9月)

『英文標準問題精講』良い点:英文が標準的な名文。一編一編の文章を人生訓として学ぶこともできる。出典も全部ついている。翻訳も上手いので、模範解答をベースに英作文の教材にできるほど。難点:英文の構造(読み方)の説明がほとんどない。模範解答と語…

金融翻訳者にとっての日経電子版

今、昨日のNY市場関連レポート(昨日急落して、ナスダック総合指数は「調整局面」入りした)の翻訳をしながらつくづく思うのは、やはり日経電子版は、金融市場周りの翻訳者には必須ということだ(僕は別に日経の回し者ではありません)。 検索、特に期間を…

某商社株を「そこで働いている人の声」で買う(2020年9月)

先週の火曜日に5大商社株のうち一つを購入した。直接の引き金はバフェット氏購入のニュース。配当利回りを見てまだまだ買えると思った。月曜のつもりが火曜となったのは月曜日がたまたま忙しかったから。 ただし、機会があれば「その会社」の株を買うことは…

ここまでの「チャーリーの金融英語」(第1回~5回まで)(2020年9月)

日本会議通訳者協会からご依頼を受けてこれまでに書いた連載内容は以下の通りです。 【第1回】チャーリーの金融英語「MMT(Modern Monetary Theory)をどう訳す?」(2019年5月15日)https://www.japan-interpreters.org/news/suzuki-finance1/【第2回】チャ…

浦和高校合唱部事始め

今は、高校の男声合唱団はほとんどないのではないか。 僕が高校時代(1976年4月~1979年3月)は、崇徳高校という100名強の軍団が毎年全国大会の常連だった。関東以北の県立高にはまだ別学が残っていて、確か福島高校や会津高校も当時は男声合唱で全国に出て…

「日本通訳翻訳フォーラム2020」ー「コロナショックと金融翻訳」について

8月30日(日)に「日本通訳翻訳フォーラム2020」の講師を務めさせていただきました タイトル:「コロナショックと金融翻訳」 【セミナー概要】はじめに 「コロナショック」を定量的に見る「コロナショック」を定性的に見る「コロナショック」の報道を追う 20…

「失われた30年」

今日ですら、多くの人々は過去30年(まもなく35年か40年になろうとしている)の「惨めな時代」がいずれは悪夢のように終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている。(『21世紀の資本』トマ・ピケティ著、山形浩生他訳(みすず書房)p102) 引…

「多くの人々は過去30年・・・の「惨めな時代」がいずれは悪夢のように終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている」8月13日に出会った言葉

(1)2020年8月13日 今日ですら、多くの人々は過去30年(まもなく35年か40年になろうとしている)の「惨めな時代」がいずれは悪夢のように終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている。(『21世紀の資本』トマ・ピケティ著、山形浩生他訳(…

僕が喰えちゃった理由(2020年8月2日)

(何回ぐらい見直しますか?という質問に対して)「5、6回ぐらいかなあ。英語と日本語を付き合わせながら見直して行かないと原文から離れてしまう。しかしそうすると文脈、というかパラグラフの視点がなくなってくる。日本語だけで見直すとその点が是正され…

えもいわれぬ味(翻訳ストレッチの教材『英文解釈考』から)

(原文)So much do I love money that I feel almost a different person when I have money in my pocket and when I have none.(意味)わたしは金ってやつが滅法好きで、ポケットに金があるときと、ないときでは人間がちがった、と感ずる程だ。(筆者の解…

在宅勤務のよしあし(1)―「職場」って?

「お父さん、K(息子)とお父さんって同じ職場で働いているんだね」 昨日の午後7時過ぎ、二人で夕食を取っている最中に、ふいに相方が言った。息子は新卒の新入社員だが入社式以来ずっと在宅勤務が続いている。私たち夫婦の夕食時にはまだ残業中で、たぶん8…

日本語にしやすい英語、しにくい英語(最近の翻訳ストレッチから)

最近の翻訳ストレッチから。 (原文1)When first I was brought into contact with the West what most immediately impressed me was the character and range of your intelligence. (原文2)The arts by which primitive folk commemorated and trans…

夫婦げんかをしない夫婦

週刊新潮のインタビューで三浦友和さんが「僕たち(夫婦)は喧嘩したことない」と言っていて、読んだ時はうらやましいと感じたが、しかし、それって夫婦間の喜怒哀楽のうちの一つを共有していないってことで、不自然ではないかと思う。やっぱり。

人の居場所

出会った言葉:人から居場所を奪うことは簡単である。だが、失われた居場所は決して人から与えられて得られるわけではない。いかに理不尽に居場所を奪われた人であっても、その居場所は自分の手で取り戻さなくてはならないのである。(「阪神大震災は人々の…

特別ルートなんてない

出会った言葉:ぼくが見習いでまだ何もできずにいる頃、……「シェフになる人には、ぼくとは別ルートがあって、苦もなく何でもやってのける特別な人なんだろうなぁ」と感じていました。だけど、フランスで出会った最高の人たちは、ふつうの人でした。(斎須政…

『新訂・英文解釈考』を学び始めて②(翻訳ストレッチの教材から)

“Humility is very rare” said Spinoza; and as Cicero said, even the philosophers who write books in it praise take care to put their names on the title page. [意味]「謙譲は稀なり」とスピノザは言った。そしてキケロの言うとおり、謙虚を讃えた本…

グリコのおまけ(2020年6月14日)

(私が子どもの頃)→ (今の子どもたち) 「じゃんけんぽん!」→「グーリコ、グリコ」「あいこでしょ」→「グリコ」グーで勝った場合「グリコ」→「グリコのおまけ」チョキで買った場合「ちよこれーと」で変わらずパーで勝った場合「ぱいなつぷる」で変わらず。…

2020年6月12日の昨日TOHOシネマズ日本橋の様子(「パラサイト」):コロナ禍の記憶

本日、TOHOシネマズ日本橋に行って改めて気がついたことをメモ風に。 ①今は「膝掛け」を貸してくれません(コロナ対策と思われる)。膝掛けを売ってはいましたが、持って帰るのが大変。②観客がまだまだ少なかった(昨日観た正午過ぎからの「パラサイト」の観…

自分の存在意義:テレワーク実施後に思い知らされたこと(2020年6月4日)

昨日妻が久しぶりに再開したサークルで友人から聞いた話。 知り合いのご主人の会社ではテレワークが始まったのだが、その方自身はハイテクが苦手で「こんなものできるか!」とふてくされて家で何もしなかったらしい。年齢も僕と同じかそれより上なので周囲も…

参考書の編集者って・・・

本の編集者って、担当した本を最初から最後まで何度も読むよね。では参考書や問題集の編集者は、1冊の本に書かれている例題や問題を最初から最後まで自分で解いているのだろうか? 『英文標準問題精』を復習している時にふとそう思った。 (後記)『英文標準…

『英文標準問題精講』とFAVI

5月28日(木) おはようございます。 出会った言葉:本質以外は何だか分からない人。だけど、いつも垂れ流しで自分を出している人。ピュアの純度が高すぎて、あまり理解されていない。世俗的なところがなく、レストランを通して社会奉仕をやっているようでし…

「自発的隷従」と『わたしの渡世日記』(2020年5月23日)

5月23日(土) おはようございます。 出会った言葉:なぜ人々は権力に従うのか。彼(エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ)の論理によると、人々は強制されて従うのではなく、自発的に従うのである。自分が得をするからだ。(「安倍政権支える『自発的隷従』―大機…

化粧の効用(2020年5月22日)

「お父さん、いつから電車に乗ってない?」「そうだなぁ~3月中旬に飲み会に行って以来だから・・・もう2カ月以上か」「あたしは・・・3月下旬に〇〇先生のお葬式に行って以来だから、そろそろ2カ月・・・そうそう、あたしあれ以来まったくお化粧してないの…

巣ごもり生活から見えてくる、フリーランス翻訳者への「向き」「不向き」(2021年5月20日)

英語がそこそこ得意な(英検1級またはTOEIC900点を持っている)ので、フリーランスの翻訳者になりたいな、と思っている学生、サラリーマン、または主婦(夫)の皆様。 4月7日の緊急事態宣言以来の1カ月と2週間、どのようにお過ごしですか? 少しでも「あ…

小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道(翻訳ストレッチの効果)(2020年5月20日)

出会った言葉:① 小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道② 人より頑張ることなんてとてもできない。あくまでもはかりは自分の中にある。それで自分なりに、そのはかりを使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと超え…