金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「失われた30年」

今日ですら、多くの人々は過去30年(まもなく35年か40年になろうとしている)の「惨めな時代」がいずれは悪夢のように終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている。
(『21世紀の資本』トマ・ピケティ著、山形浩生他訳(みすず書房)p102)
 引用文はどこの国のことだと思いますか?日本?違います。
この前の3文を引用します。「大陸ヨーロッパ、特にフランスは、『栄光の30年』なるもの、つまり1940年代末から1970年代末の30年間について、かなりのノスタルジーを抱いてきた。この30年は、経済成長が異様に高かった。1970年代末から、かくも低い成長率という呪いをかけたのがどんな悪霊なのやら、人々はいまだに理解しかねている。今日ですら・・・」(同書p102。冒頭の引用文の直前)。上の文章と冒頭の文を次のように書き換えてみる。
「日本は、『栄光の30年』なるもの、つまり1950年代半ばから1980年代半ばの30年間について、かなりのノスタルジーを抱いてきた。この30年は、経済成長が異様に高かった。1980年代末から、かくも低い成長率という呪いをかけたのがどんな悪霊なのやら、人々はいまだに理解しかねている。多くの人々は過去30年(まもなく35年か40年になろうとしている)の「惨めな時代」がいずれは悪夢のように終わり、そして物事は以前のような状態に戻ると信じている。」
このことの意味を僕たちは真剣に考えるべきじゃないかな。歴史を学ぼうよ。