金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

思い出は遠いのか、近いのか

お墓参りは自然と昔話になりやすい雰囲気を作るのだろうか。

昨日は亡き父の墓参りへ行き、帰りのバスを待っている時に相方が「あたしが中学の時は本当に苦労したのよ~」と思い出を語り出した。

妻は中学までバス通学をしていたのだが、そのバスがなかなか来ないので何度も遅刻しそうになったこと。遅刻したときの風紀委員との丁々発止のやり取り、それでダメだった時の担任の先生への言い訳など他愛のない話しをした後で、

「あ~あ。何か遠い遠い、はるか昔のことみたいね~」と言ったのだ。

「お母さん、それを言うなら『はるか昔みたい』じゃなくて、『遠い遠い、はるか昔のこと』なんだよ」「あらそうだわ」とバカ受けする妻。

「『遠い遠い、はるか昔のことなのに、つい最近のように思い出したわ』が正解だろ~」「そうかもね~」

そう言い合って笑いながらバスに乗り込んだのだが、今朝の朝食時に言われたね。

「お父さん、昨日はああ言ったけど、私にとって、中学時代の思い出は『つい最近のこと』なの。でも昨日の思い出し方は何かそれが、本当に遠い昔のように思えたのね。私にとってはそれが大事なの」「は~い」

わかったような、わからないような、カズオ・イシグロの小説みたいな話ですが、何はともあれ妻は中学時代の思い出をそのように整理できたみたい。