金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「昨日の夕飯どこで食べたの?」(2019年8月)

「昨日の夕飯どこで食べたの?」 昨日は私以外の家族が全員ツレの実家に行き、私は一人で仕事をしていた。 「あ~『末っ子』」 この店は地元では有名な、餃子とラーメンの美味い店である。本当は、どこか居酒屋か焼き肉屋でも行ってのんびり呑もうかなあと思…

「国語」って何だろう:鑑賞の前にすることがある

①現代国語といえば小説や詩歌、評論だと思っていたが大きな変化が起きるかもしれない。……「実用的な文章が読める力は必要だろうけど、そんなものを国語の教材としてえんえんと教えるとは」。文學界9月号に歌人で元国語教師の俵万智さんが書いている。(「天…

「一に給料、二に配偶者、三、四がなくて五に資産」>翻訳ストレッチの教材から

おはようございます。 出会った言葉: 翻訳というのはとても根気のいる仕事だ。時間も手間もかかる。集中力も必要だ。そして特殊な場合を除いて、それほど多くの収入が見込めるわけでもない。あくまで裏方の手仕事なので、脚光を浴びるような機会も希だ。言…

息子の就職活動に関わって(2019年7月)

大学生の就職活動にちょっと関わりました。同じような経験をする方もいらっしゃるかもしれないので、僕がしたアドバイスをいくつか。 (1)落ちて当たり前と思え。(2)面白そうな会社にはどんどん応募せよ。(3)インターンへの応募は就活と同じと思い、…

就活生へのアドバイス

大学生(息子)の就職活動にちょっと関わりました。同じような経験をする方もいらっしゃるかもしれないので、僕がしたアドバイスをいくつか。 (1)落ちて当たり前と思え。(2)面白そうな会社にはどんどん応募せよ。(3)インターンへの応募は就活と同じ…

「ビジネス書大賞 2019」経営者賞 授賞式で話したこと

昨日は「ビジネス賞大賞2019」の授賞式(『ティール組織』が経営者賞を受賞したため)。2分間のスピーチをと言われていた。慣れないので即興のスピーチは無理。2分だと「あ~、え~」で終わってしまう恐れがあると思い原稿をつくり、家で2,3回練習してから…

2019年7月時点での機械翻訳のレベル

(以下引用)「AIがすべてのことをなすには時間がかかるが、現時点で翻訳力は非常に驚くべきレベルだ。とはいえ、機械はまだものごとの『すべての』意味をわかっているわけではない。『いくつかの』意味を分かっているだけだ」――どんな限界があるのでしょう…

「一つの仕事に徹底的に時間をかける」(2019年5月)

今日の日経に味の素が午後4時半に終業という記事が出ていた。短時間終業が世の中の流れで『ティール組織』もその時代に乗っていることは確か。でも「一つの仕事に徹底的に時間をかける」とか「仕事の中に喜びを見いだす」という観点がちょっと希薄になっては…

仮説を検証しながら進もう:機械翻訳の得意、不得意(2019年5月27日)

翻訳者の皆さんが既にお気づきのように、用語や言い回しに関するルールが厳しい分野ほど、つまり人間にとってこれまでルールの習得が難しかった分野ほど機械翻訳は得意なはずだ。皮肉な話だけど。 一方、「こういう言い回しはあの時のどこかで使われた」とか…

手数料の自由化に襲われた証券業界と機械翻訳に襲われつつある産業翻訳業界

今ふと思ったんだが、機械翻訳の進出を恐れている翻訳者集団は、手数料自由化を恐れていたかつての証券業界と似ている。取引手数料の自由化によって証券ブローカーの本当の付加価値は何かが改めて問われ、淘汰が進んだのだったなあ。 (以下は僕がN証券にい…

メッセージを見つけるには、『考え抜く』しかない。すると、ある時啓示がある(野口悠紀雄さん):5月19日に出会った言葉

(1)2019年5月18日 ·「着想は長い夜に差し込む一条の光にすぎないが、この光こそがすべてである」ボアンカレ(『良き社会のための経済学』p87) 「メッセージを見つけるには、『考え抜く』しかない。すると、ある時啓示がある」(『超文章法』野口悠紀雄著…

「お父さんみたいになっちゃだめよ」(2019年5月)

今日の朝食時、就活中の次男からいきなり尋ねられた。 「お父さん、『今日は仕事やる気にならないなあ』って思うことない?」「う~ん・・・・」「すぐに返事しないってことは、ないんだね、お父さんにはそんなこと」「・・・いやいや、あるある。体調が優れ…

「ベストセラー書籍『ティール組織』はなぜ日本でヒットした?翻訳者が語る驚きの裏話」の裏話。

インタビューアーの板東さんと直接知り合いになったきっかけは、六本木にある「ティール組織の肉汁水餃子専門店 餃包」でした。 インタビューにもありますように、私が朝の日課で「ティール組織」をエゴサーチしていると、「ティール組織の・・・」で見つけ…

『ティール組織』でできた意外な(?)ご縁(2019年4月)

最近できたFBの二人の「お友だち」。 Aさん:私にお友だち申請してくれた理由が「『ティール組織にご興味がおありのようでしたので、親近感が湧いて・・・!』僕「ティール組織の翻訳者です!よろしくお願いします」Aさん:「あ、そうなんですね!失礼しまし…

リーディング:レポートではなく口頭試問で出版決定(2019年4月)

昨日は某社でこれから訳す書籍の打ち合わせ。リーディングを始めたものの他社の入札が入ったので急遽編集長との「口頭試問」(本の感想を編集長の前で述べ、質問に答える)で決まった案件だ。当初予定では3週間ほどもらえていて、仕事の合間に2週間で2回ほど…

こわもてオヤジの悲哀(2019年4月)

「おい、お父さんて怖いか?」 昨日の夕食時に聞いてみた。 「怖いね・・・でも慣れた」と大学生の息子。「怖いわよ・・・あたし、今でも慣れないもん」と結婚30年超の妻。「そうか~。僕は普通にしゃべっている(書いている)つもりなんだけどな~」「お父…

サイボウズ社の株主総会に行ってきたぞ――!

土曜日(30日)の午後、13時~19時ぐらいまで、サイボウズ株式会社の株主総会関連イベント3つに出席した。以下、いくつか印象に残ったシーンを思いつくままに。 (お断り)以下はあくまでも私の感想であって、報告・要約ではありません。「」で括った引用文…

嫌われる理由(2019年3月12日)

「いいか~、このシーンを見ろ。安藤サクラがやや猫背になっているだろ」「ホントだね」「ここに60歳という年齢をさりげなく出してるんだ。立ち居振る舞いの一つ一つに『60歳』が出てるだろ?しかもこの髪のネット。この年齢の女性は寝る前にこれをつけてた…

初めて挨拶を返してもらって嬉しくなった話

毎週火曜日と金曜日の朝にボランティアで公園の掃除をしているおじいさんたちの横を通る。 その度に、お一人お一人に「おはようございます」「ご苦労様です」「いつもありがとうございます」と言い続けてきた。 最初のうちは返事をしてくれる方も、してくれ…

「リーディング」について(2019年3月2日)

*久しぶりにリーディングをやっています。 「翻訳することになったら翻訳者。翻訳しないことになったら2万円。期間は2週間」が当初のオファーでしたが、原書が300ページを超え、しかもコピペもマークもできない出版前PDF。「2週間は無理です」とまず答えた。…

TOEICお勧め著者と「間違いない本」1冊(2019年2月12日)

(大前提)あなたが本当にTOEICの点数アップを狙っているのであれば、狙うべきはTOEIC関連本「しか」書いていない執筆者。彼らはTOEICに人生を賭けている。根性の入り方が違う。TOEIC関連本「も」書いている執筆者の本は玉石混淆。具体的には・・・(1)外…

ナンは高級食材(?)

つい15分ほど前のお話。 30分の散歩からの帰途、「そろそろ1万歩かな~」(今日は朝、昼に続いて3回目の散歩)と思いつつラジオ番組を聴きながら歩いていると、 「す、すみませ~ン」 黒髪がキレイで(そう見えただけかな)、目のぱっちりした(そう見えただ…

他人の訳書(訳文)が「ズレた」と感じたとき

原文を読んで訳書を読んだ時に「ズレた」「レールから外れた」(=誤読した)と思うのは、自分の頭の中にいつの間にか染みついていたその単語やフレーズに関する「限られた日本語訳」のせいで理解が歪んでいたためであることが多い。翻訳ということではなく。

「手書き」への切り替え(2019年1月)

気になった原文と訳文を最近手書きでノートに書き付けるようになった(今までは翻訳メモリに記憶させていた=タイプ打ちだった)。手書きは、時間がかかるが身体にしみこむ感じがしていい。 自分にしか読めない字ですけど(恥)。 (後記)3年前のお友だち限…

プロの矜持:『名句の所以』出版記念対談を参観して(2019年1月14日)

昨日は下北沢の書店で『名句の所以』刊行記念対談に行った。たぶん参加者の多くは著者の小澤實さんか、相手役の堀本裕樹さんの関係者(同じか近い俳句結社の人々)のような感じでした。つまり「俳人」の方々が多かった。 翻訳のセミナー等では、登壇者の方が…

最もうれしかったこと(2019年1月10日)

「お父さんがこれまで私にしてくれたことの中で、最もうれしいことってなんだかわかる?」 昨日の夕食後に唐突に言われた。 「今してくれていること・・・夕食後の皿洗いよ」 きっかけは何だったろう。半年ほど前に妻が体調を崩したことではなかったか。喜ん…