金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

サイボウズ社の株主総会に行ってきたぞ――!

土曜日(30日)の午後、13時~19時ぐらいまで、サイボウズ株式会社の株主総会関連イベント3つに出席した。以下、いくつか印象に残ったシーンを思いつくままに。

(お断り)以下はあくまでも私の感想であって、報告・要約ではありません。「」で括った引用文もあくまで私(鈴木立哉)にはこう聞こえた、私はこう解釈したという意味であって、聞き間違いや誤解があるかもしれません。つまり、ここに書かれている文章の責任の一切は私にあります。 

ティール組織がきっかけで知り合った方々からこの会社を知り、青野社長と嘉村賢州さん(『ティール組織』解説者)との対談等を読んだ上で、この会社はいい!と1月に株式を購入(単位株ですけど・・・)。株主総会とこのイベントを知ったのが2月。12月決算で1月に購入しているので、僕の名前は株主名簿に載っていないのだけれど、何と株主でなくても申し込みをすれば誰でも参加できるということで申し込みをする。「定員を超えたら抽選」とあったので、申込書の備考欄に「『ティール組織』の翻訳者です」と書いたことが効いたのかどうか無事当選した。

まずは青野社長。「利益よりも株価よりも理念を大切にします」なんて、大勢の株主を前にすると、よほど勇気があるか、自信がないとまず言えない。それを青野社長は、パネルを使って堂々と説明しておられた。その姿勢に素直に感動した。

嘉村賢州さん。「600ページの本の中身を15分で要約します」、といつもの通りわかりやすいお話。その後のパネルディスカッションでも組織論/著者のラルー氏の考え方をかみ砕いてご説明いただきました。ありがとうございます!

「私は会社の利益を『うんち』にたとえています。健康な身体で、健全な運動をしないとうんちは出ない。うんちが出ないのも困る。会社経営も同じだと」。これは、パネル・ディスカッション「チームワーク経営とティール組織」で伊那食品工業株式会社の塚越寛会長のご発言。「会社は(人間における食べ物と同じで)利益を出さないとつぶれるが利益を出すことが目的ではない」と断言したホールフーズ・マーケットのジョン・マッキー創業社長(拙訳書『世界でいちばん大切にしたい会社』)に通じると思った。

「ウチはレッドや~!」。同じくパネルディスカッションの岡田元全日本監督のご発言、というか叫び。この自嘲的なご発言は、そうでない姿を真剣に目指している真摯で謙虚な姿勢が垣間見えてとてもほほえましかった。ぐっとお近づき、というか改めてファンになりました。

「社長の周りにおつきがぞろぞろいる会社はダメな企業の印」。経済学者崔真淑さんのご指摘。青野社長は「たしかに~気をつけます」と頷いておられた。

株主総会も極めてオープン。事前申し込み制とは言え、株主でない人も参加できる(ただし株主総会で発言できるのは株主のみ。非株主はネットを通じて質問できる)。写真撮影、SNSでの報告オーケー(ただし動画はNG)。

僕の知っている「株主総会」のイメージは警備に囲まれ、前3列は社員株主が席を占める物々しい雰囲気の「儀式」だ。あらかじめ分厚い想定問答集を作り、不慮の発言に備えて議事進行を進める練習までする(リハーサルまである)という20年前のイメージだったのだが(実は私は社員株主として1回、想定問答集作りで1回、某証券会社の株主総会に関わっている)、サイボウズ社の株主総会のあまりの明るさと開放感に、「やはり時代が変わったからか~」と思っていた。ところが株主質問の中に、「私は某社で株主総会を担当していますが、今日は唖然としました」とおっしゃっていたので、あ~なるほどサイボウズが進んでいるんだと確信した。

株主総会の後は別室に移り、軽食を取りながら「株主のから騒ぎ」。大阪弁丸出しのM副社長が司会になって、あらかじめ選ばれた6人の株主さんたちと丁々発止のやり取り。「社長、株価については絶対ツイートしないでください!」「スミマセン!!」なーんて会話が飛び交っていた。

40分ほどでこのイベントが終わって解散。せっかく来たので社長に挨拶して帰ろうと思ったが、さすがに敷居は高いだろうと、念のため自分の名刺に挨拶文を書き、すべてのイベント終了後に後片付けをしているスタッフの方に名刺を見せて「青野社長にご挨拶できませんか?」と恐る恐る申し出ると、「あ~その辺にいらっしゃると思います・・・ほらそこ!」とあっさり教えてくれ、すぐに近づけたのでメモ付き名刺は要りませんでした。こういう社員の皆さんの仕草や参加者への発言に会社の”雰囲気”が出ていると思った。

社長に名刺を渡し、自己紹介したら「本当に素晴らしい本を訳してくださってありがとうございました」と、NHKの歌のお兄さんみたいな、実に腰の低い、優しい方で、ご挨拶に伺ったことを心から喜んでくれたように思え、嬉しかった。

その後に「株主のから騒ぎ」の司会をしていたY副社長にも名刺をお渡しする。「あ~あなたが・・・」と絶句され、「とっても意義深い株主総会と楽しいイベント、どうもありがとうございました!」と挨拶して帰りかけると、「鈴木さん・・・・Sさんご存じですか?」

「え、S・・・ああ、旧姓Sの翻訳者Iさんですね?」「はい、実は僕、前職の時の同期入社なんです。先日『ティール組織を訳したのは、私がよく知っている翻訳者なのよ』って教えてくださっていたので、いつかお会いできるかと楽しみにしていたんです」「それはそれは・・・」なーんて新しいご縁もできました。

このイベントに半日費やして本当に感動し、同社の株を買って良かったと思ったし、来年以降もずっとこのイベントに参加し続けようと思うほど、僕の「株主総会」観を完全にぶち破る、開放的で明るく、株主にも参加者にも優しく、しかも無駄のないイベントでした。・・・というわけで、私は本日(4月1日)に妻を説得してサイボウズの株を買ってもらい、来年からは夫婦で株主総会に出席する予定である。毎年ね。

最後に、出席者への案内から後片付けまで、裏方として奮闘されていた同社スタッフの皆様、土曜日出勤ご苦労様でした。株主総会という特殊な日に、出席者にフラストレーションを全く与えることなく「何も事故が起きなかった」状態を実現したご努力は並大抵のものではなかったと思います。心から感謝!ありがとうございました!!

 

 

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