金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

リーディング:レポートではなく口頭試問で出版決定(2019年4月)

昨日は某社でこれから訳す書籍の打ち合わせ。リーディングを始めたものの他社の入札が入ったので急遽編集長との「口頭試問」(本の感想を編集長の前で述べ、質問に答える)で決まった案件だ。当初予定では3週間ほどもらえていて、仕事の合間に2週間で2回ほど読み、さあ、これから1週間かけてレポート書くぞと思った所に出版社から電話。「入札案件になったので明後日本社に来てもらえないか?」「いいですよ」と応えて電話を切ってからが大変だった。自分なりに考えをまとめてノートにメモ書きし、会社にいってみると会議室の向こう側に編集長と担当者のKさん、こちらに私が座って、「では第1章から行きましょう」と言われて「この章は、まず・・・」と私が説明して先方から質問が入る、学術論文の口頭試問てこんな感じではないかと思いながらの1時間だった。冷や汗が出ました。

考えてみると入札で勝ち取った案件を手がけるのも、出版前の書籍というのも初めて。とはいえ、原著の出版に合わせる必要はなく、むしろまだ原稿の変更があり得るので、「慎重に行きましょう」という編集者の方の姿勢には救われる。

このお話(リーディング)を頂戴した時から「僕は本業(金融翻訳)があるので、出版が決まっても時間がかかる」と言ってあったが、昨日のミーティング前の段階では、正直どこまで待っていただけるのかという一抹の不安もあった。だが、「この本の価値は時間で色あせないと思います」と言っていただけ、恐る恐る僕が言った「11月ぐらいでしょうか・・・」に対し「では12月にいったん訳了し、校了が2月でいかがでしょう?」と願ってもないご提案を受ける。もちろん受けました。責任感もグッと増す・・・

そういえば、担当本が昨年ノーベル平和賞をもらったので後回しになっていた(僕も「後回しにしてください!」と言っていた)本のゲラが今手元にある。

3カ月後れとは言え原稿を渡したのが昨年9月。ノーベル賞関連があったにしてもゲラがくるのが遅いなーと思っていたら先月電話が入る。「実は転職することになりました・・・」。遅れていた理由の一つはこれだったのか。転職先も出版社とのことで、彼には僕の遅れた原稿を辛抱強く待っていただいた恩もあるので、西葛西にお呼びしお別れ会をやりました・・・そのゲラ1カ月もらっているので何とかなるかしら・・・

実務翻訳はゴールデンウィーク明けぐらいまでそこそこ忙しい。あ、ビジネス雑誌の論文翻訳もあった(これがすこぶる面白いのだ)。これが来月半ば。そうそう、友人にして超一流通訳者のSM的なSM氏から頼まれた原稿を、いつまでも引き延ばしても仕方ないのでGW明けまでに・・・と言ってしまったのだった・・・。それが終わると来月のマンスリー・・・今回は耳石は落ちないだろうが、やはり目が回る直前ぐらいで何とか踏ん張っていきます。

(後記)「口頭試問・・・」の方が『ベンチャーキャピタル全史』です。予想通りというか何というか(?)予定より大幅に遅れて私の翻訳が終了。担当編集者の方とのやり取りがいよいよ本格的に始まる!となった2020年春からコロナのパンデミックが勃発。さまざまな予定が大混乱に陥りました。そして口頭試問の日から3年半後のいよいよこの9月に出版の運びとなったわけ。実に、実に感慨深いです。その間、本書の「価値」を信じて辛抱強く、じっくりと本書と私(?)に取り組んでいただいた編集者のKさんに心から感謝します(2022年9月3日記)。