金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチ

音読と書き写し(2020年2月)

この1年、 ①原書と訳書の音読と②原書と訳書の書き写しを併行して(毎日5分ずつ)実感したこと。 ①は長期的に効果あり。ただし②の方が即効性が高い。 (後記)現在は、②は10分にしています。5分だと、原文を写すだけ、訳文を写すだけのどちらかで時間が来てし…

「過学習」は「汎化性能」を低下させる

出会った言葉:「汎化性能を上げるためになるべく過学習しないようにパラメーターを調節している」(あるハッカソン(プログラム関連コンテスト)に参加した学生のインタビューから) *「ハッカソン」って、一定のデータ(たとえば3万件)のデータを与えら…

書き写す時の一工夫(翻訳ストレッチの一方法)(2019年10月)

新井紀子さんの著書(『AIに負けない子どもを育てる』東洋経済新報社)からヒントを得て、最近「翻訳ストレッチ」に取り入れた方法(というより意識の変化)。 自分の気に入った一流の原書と一流の訳本を選ぶ。 1.原文を書き写す。2.訳文を書き写す。 こ…

長続きする自己啓発「翻訳ストレッチ」ー毎朝、仕事前に、手広く、コツコツとー(『翻訳事典2018-2019』から)

(以下は、『翻訳事典2018-2019』(アルク)に寄稿した原稿です。執筆からすでに2年ほどが経ち、使っている教材など細かい点はすこしずつ変わってきていますが、基本的な考え方は同じです。翻訳者の皆様の何かの参考になれば幸いです)。 毎朝、仕事前に、…

阿部謹也先生の思い出(2019年9月)

出会った言葉:① 人工知能(AI)が普及し、デジタル化が進むにつれ、逆に暗黙知の存在が意識されている。(野中郁次郎「私の履歴書―研究テーマ 今こそスミスの原点に 共感する他者 知の共創は続く」2019年9月30日付日本経済新聞) 野中郁次郎(29)研究テー…

TOEICお勧め著者と「間違いない本」1冊(2019年2月12日)

(大前提)あなたが本当にTOEICの点数アップを狙っているのであれば、狙うべきはTOEIC関連本「しか」書いていない執筆者。彼らはTOEICに人生を賭けている。根性の入り方が違う。TOEIC関連本「も」書いている執筆者の本は玉石混淆。具体的には・・・(1)外…

「手書き」への切り替え(2019年1月)

気になった原文と訳文を最近手書きでノートに書き付けるようになった(今までは翻訳メモリに記憶させていた=タイプ打ちだった)。手書きは、時間がかかるが身体にしみこむ感じがしていい。 自分にしか読めない字ですけど(恥)。 (後記)3年前のお友だち限…

他人の訳書(訳文)が「ズレた」と感じたとき

原文を読んで訳書を読んだ時に「ズレた」「レールから外れた」(=誤読した)と思うのは、自分の頭の中にいつの間にか染みついていたその単語やフレーズに関する「限られた日本語訳」のせいで理解が歪んでいたためであることが多い。翻訳ということではなく。

著者が手を抜いていない参考書(2018年10月)

参考書(広義に言えば勉強法本?)の善し悪しの評価に観点はいろいろあると思うが、全部やりきると明確に分かる(断言できる)ことが一つある。それは、「筆者(または編集者)が手抜きしているかどうか」だ。 「筆者または編集者が手を抜いた本」は悪口にな…

文芸翻訳の難しさ

今この瞬間に僕が訳している経済(市場)レポートについて、僕は歴史的背景も世界情勢もちゃんと分かって、その中の一部としてこの文章も表現も捉えられている。 したがって文章を読めばそこで言いたいことをほぼ正確に分かるし、かつ表現の機微も読みとった…

自分にできないはずがない

最近の勉強会から:柴田元幸先生(64歳)は毎晩寝る前に英語の原書を70ページ読んでいる。松本道弘先生(78歳)は毎週欠かさずEconomist誌を読み通している。 自分にできないはずがない。

「頑張るしかない」(2018年3月19日)

一昨年の村井章子さん、昨年の土屋政雄さんの講演会を振り返って思うお二人の共通点の一つは、 余裕を持って悠然と仕事をしているようには見えなかった、ということだ。 村井さんは確か昨年5月の連休後から8月(だったと思う)の講演会まで一日も休みがなく…

ウォーミングアップの重要性

出会った言葉:ウォーミングアップを単なる練習前の準備運動と考える人もいるけど、そうじゃない。その運動をどうすれば自分の体に良いか、試合につなげるか、先を見据えた意味を踏まえながらやるものなんだ。(本日付日本経済新聞スポーツ面「33年目も毎日…

本日は『翻訳事典2018-2019』発売日です。

え~皆さん、 本日は『翻訳事典2018-2019』の発売日です。 ハッキリ言っておきますが、今年の号は、土屋政雄先生(2017年のノーベル文学賞をお取りになったカズオ・イシグロ氏の主な翻訳者)の講演会の記事だけでも1冊分の価値があります。 ・・・・ついでに…

これまで翻訳ストレッチセミナーに参加された皆様へ

これまで翻訳ストレッチ(旧翻訳筋トレ)セミナー(都合4回やりましたっけ)に参加された皆様へ。 皆様、いかがお過ごしですか?続いてます?(え?・・・今なんて・・・?) 実は、29日に発売される『翻訳事典2018-2019』の41ページ~43ページに 「長続きす…

柴田元幸先生トークイベント(ハックルベリー・フィンの冒けん)感想(2018年1月)

柴田元幸先生のトークショーでもう一つ感動したのは「率直さ」と「謙虚さ」かな。 ご自分の翻訳に対する姿勢と課題を素直に私たちに語りかけてくれたのには正直に心を打たれました(実は昨年に参加した土屋政雄先生もそうだった。やっぱり本当に偉い人は偉ぶ…

2017年12月10日に受けたTOEICの結果(2018年1月)

12月10日に受けたTOEICの結果がわかった(オンライン)。Listening 460Reading 430合計 890ちちちちちちちちくしょーーーーー!!!!アマ陥落ぅーーーーー!!!それでもプロかテメ~!!!リーディング前日の作戦変更が裏目に出た。Part 5&6の15分、Part 7…

『翻訳力錬成テキストブック』

『翻訳力錬成テキストブック』(柴田耕太郎著 日外アソシエーツ)https://www.amazon.co.jp/dp/4816926674/ 2~3日に1度、毎回5~10分ずつ取り組んでいる。6月下旬から勉強を始めてほぼ半年。現在は「課題文2-2」(132ページ)だから4分の1ぐらい進んだこと…

翻訳に活きるTOEICの勉強

(1) 翻訳をする。(2) 原文と訳文を両方音読しながら見直す。(3) 読み上げ用ソフトで英語を聴きながら訳文(日本語)を見直す。(4) 日本語を音読する。 日本語の読み上げ用ソフトが使えなくなってから、ほぼ上のようなプロセスで翻訳を進めて納品していますが…

初TOEICは950点

今朝TOEICのことを書いたら、本日午後にTOEICのインターネットで結果が出たと学校から帰った息子(今日から新学期)が教えてくれた。5分ほど前に見たところ。 Listening 495 Reading 455合計 950 息子の視線を背に感じつつ「このページのここをクリックして…

「『知らぬが仏』のTOEIC」(初TOEIC受験記)

「お~い、どうだった?」 「最後まで行かなかったよ~」 「ヘッヘッヘ。こっちは10分余ったぞ。関正夫先生の作戦だな」 「え、どういう作戦?」 「セクション7をDPとTPからやって、最後にSPにしたんだ。セクション5と6が終わって16分。あと59分のところで…

TOEIC:日本語を介さないで英語を読み聴きしないと

ヒョンなことからTOEICを受験することになりまして。 「他のどんな参考書、問題集よりも公式問題集をシャブリ尽くせ」という子どものアドバイスに従い2カ月前から準備するはずが、先週から公式問題集を一通りやってみた。 といっても「通し」(リスニングか…

TOEICの性格(模試を1回受けての感想)

『TOEIC 完全教本 新形式問題対応』 https://www.amazon.co.jp/dp/4327430862/ のテスト1を、パートごとに時間を測って取り組み、採点し、復習を終えたところ。 とはいえ本番と同じではなく、毎日30~40分程度ずつ割いているので、「一気に通してやるのとは…

TOEIC模試を8割ほど受けての感想

ちょっと事情があって3日ほど前からTOEICテキストに取り組み始めた。と言っても本番通りの時間はとれないので、細切れに時間を計りながら受けています(毎晩、寝る前の30分ぐらいずつ)。 リスニングが終わって採点し、今はパート7の前半(200問中の170番)…

生活習慣化する、ということ(2017年1月)

今は、「ルーティーン」って言うのかも。 典型的なある日の私の朝(前日飲み会あり)・・・ 5時15分起床。 すぐにヤカンに水を入れ火にかけ、トイレに向かい、トイレ用洗剤を便器その他に吹きかけて(消毒には5分程度放置がよいと書かれています)、脱衣場で…

「翻訳ストレッチセミナー」参加者の皆さんからいただいた感想(2016年5月)

午前中に参加者の皆様のアンケートをいただきました。何より嬉しかったのはアンケートにお答えいただいた方が36名(参加者50名+JTFスタッフの皆さん)と7割を超えていたことでした。 昨日はほぼ予定通り、前半お話し。15分の休憩後「翻訳ストレッチ体験コー…

「柴田元幸先生の素晴らしさに打ちのめされる」(2016年10月)

柴田先生のセミナーに参加するのは3回目だが、過去2回は朗読会と対談で、「翻訳」そのものを扱った、お勉強に近いセミナーは初めてだった。最高でした。ノートは別に書いて公開するつもりなので、大ざっぱな印象をいくつか。 1. 金子靖先生は、ほぼ柴田先…

柴田元幸先生の講演会メモ(2016年10月)

(ご注意)僕が自分のために書いたメモです。僕が聞いたことのまとめですので、解釈に誤りがあった場合等の文章責任は僕にあります。 [翻訳全般に関すること] 翻訳は趣味。仕事と思ってやったことはない。幸い給料をもらえる身分だったので、いやなこと(大…

名訳を暗記する(2016年4月26日)

ここ1カ月ほど取り入れている翻訳ストレッチのプログラムの一つを紹介。1回5~10分。「日本語訳の暗記」(1)用意するモノ① 自分の分野の英語原本② 自分が尊敬する翻訳者の訳本(2)すること①英文を読んで理解する。わからない単語、熟語を調べる。③ 訳文…

壁に耳あり・・・(?)

今朝の翻訳ストレッチから 「コテージでじゃ壁に耳ありでさ、何も訊けやしないから」(カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』土屋雅雄訳 原著はKindle No.2862)。 舞台はイギリス。「壁に耳あり」の先を書いたら翻訳として不自然になる(イギリスに障子…