金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳ストレッチ

翻訳ストレッチ:今以上に試行錯誤していた頃(2013年2月)の書き込み

下記は翻訳ストレッチが今以上に試行錯誤だった頃(2013年2月12日)のFBへの書き込みです。当時は「翻訳筋トレ」と言っていましたが、混乱を避けるため下記の文章では「翻訳筋トレ」→「翻訳ストレッチ」に書き換えました。 (以下転載) 「翻訳ストレッチ」…

朝型フリーランスの優雅な(?)1日

2012年に(ほぼ10年前)「日本翻訳ジャーナル」に寄稿させていただきました。当時は「翻訳ストレッチ」を「翻訳筋トレ」と言っていました。 読んでいただくとお分かりになるように、細かな内容は今とかなり違っていますが、 ①仕事前のストレッチ的な軽い作業…

誰でも1日だけならできることを365日続ける-「続けている生活習慣」ランキング(2021年2月9日)

翻訳、というか語学って、経験を積み重ねることによって力がついていく能力だと思うので、「誰でも1日だけならできることを365日続ける」を生活信条にこの20年間努力を続けてきました。今の僕の生活の中で「続けているものは何か」を探してみたランキングが…

「翻訳ストレッチ」を続けるコツ

2016年に何回か「翻訳ストレッチ体験セミナー」を開催しました。その後に参加者の皆様に書き送ったものを再掲します(若干修正しました)。なお執筆したのは2016年12月です。翻訳ストレッチは試行錯誤しながら続けているので、今の内容とはズレている部分も…

『ファクトチェック・ニッポン』

立岩陽一郎著『ファクトチェック・ニッポン』(徳間書店) この既存メディアに対する「怒りの書」を多くの人に勧めたいと思います。昨年の新型コロナウイルス勃発から直近の大統領選挙直後までの、日本のメディアで報じられた日米の「ファクト」に関する検証…

翻訳ストレッチ内訳(2021年1月末時点)

1.英文解釈(毎日):毎日30~40分 ・・・前回より5分程度長い。以下は現在の進捗状況。『英文標準問題精講』(原仙作、中原道喜、旺文社):現在「第III編後期10日間」練習問題90番(P284)。紙に訳文を書いて模範解答を見て添削。5~10回音読。後期10日…

英語がペラペラになるとはどういうことか?(翻訳ストレッチの英文暗唱からわかってきたこと)

翻訳ストレッチで使っている『表現のための実践ロイヤル英文法―英作文のための暗記用例文300』は綿貫陽/マーク・ピーターセン著『表現のための実践ロイヤル英文法』の付録で、「翻訳ストレッチ」の教材としては最も古くから使っているものの1つ。僕はテキス…

妄想「英文読解教室」(まだ構想段階です)(2021年1月)

以下はすべて、先月60歳を過ぎた僕が、いつかやってみたいと思っている「英文読解教室」の現段階での概要です。ただしこういうのができたらいいな~という妄想にすぎず、やるかやらないかもわかりませんし、(かなりやる方に傾いていますが)、内容も変更に…

「英語をきちんと読めるようになるとは?-英語参考書のご紹介の書き込みを見て思ったこと(2021年1月2日)

「英語をきちんと読めるようになるにはこの本をこの順番で読んでいくといいですよ」というテーマで英語の本を紹介する書き込みをSNSでたまたま見つけた。 英語の得意な方が、自らの経験に基づいて初学者向けに参考書の案内をするのは素晴らしいことだと思う…

手書き写しの効用(2020年12月)

英語の原文と優れた訳文の手書き写しをほぼ1年続けてきて分かったこと: ワープロは便利だが、「変換」機能で失われる能力/感覚を侮れないということ。漢字書き取り能力はもちろん、漢字と平仮名の混じり具合の感覚、句読点のタイミング、まとまった考えを…

三島の『文章読本』は文章の「読み方」読本だった(『文章読本』を比べる)(2020年12月)

翻訳ストレッチでは、毎日15~16冊の中から3冊、とっかえひっかえ5分ずつ音読しているのだが、たまたまここに来て何冊か読み終わり、さて次は・・・と考えているうちに、今年は三島没後50年で映画も見たし、読本も数々出されているので、音読教材に入れて改…

型とルーティンー最近出会った言葉から

最近出会った言葉から。 ①「琉球舞踏の有名な舞踏家の方の『半分は型を覚えるために練習して、あとの半分は型を忘れるために練習する』という言葉に非常に感動したことを覚えています。型があることすら忘れるぐらい型を体にたたき込んで自由が初めて生まれ…

最高の「クラス」は優れた教材の熟読と暗記

最近、翻訳ストレッチで英作文の時間を毎日10分取るようになって思い浮かんだ仮説。「限られた時間(たとえば毎日30分)で会話力(英作文力)をつけるには、どんな英語クラスや会話レッスンを受けるよりもよくできた教科書を覚える方が効率がよく、はるかに…

『英文標準問題精講』の生かし方(こういうクラスがあったらいいな)

日々、『英文標準問題精講』をはじめとする英文解釈の参考書で学びながら(紙に書いて訳し、解説と解答を見ながら添削し、その後5~10回音読する)意を強くしているのは、英語の訳読の勉強って「学生が訳して教師が添削する」よりも、②「学生がまず訳し、そ…

翻訳ストレッチ内訳(2020年10月時点)

試行錯誤をしながら10年ぐらい続けている翻訳ストレッチ。「こういうプログラム」とキッチリ決めているわけではなく、その時々の問題意識に合わせて随時内容を変更してきました。ここ半年で一番大きかった「変更」は「手書きを重視する」ことで、しかも英文…

「超マイナーだが強烈な本」ー『思考訓練の場としての英文解釈(1)』(2020年9月)

これまで、『英文標準問題精講』『英文解釈教室』『英文解釈考』を紹介してきましたが、今日は、最もマイナーな参考書を一つ。『思考訓練の場としての英文解釈(1)』は次のような英文のオンパレードです。 [原文]Democratic institutions are likely to wo…

『英文標準問題精講』と『英文解釈教室』(2020年9月)

『英文標準問題精講』良い点:英文が標準的な名文。一編一編の文章を人生訓として学ぶこともできる。出典も全部ついている。翻訳も上手いので、模範解答をベースに英作文の教材にできるほど。難点:英文の構造(読み方)の説明がほとんどない。模範解答と語…

日本語にしやすい英語、しにくい英語(最近の翻訳ストレッチから)

最近の翻訳ストレッチから。 (原文1)When first I was brought into contact with the West what most immediately impressed me was the character and range of your intelligence. (原文2)The arts by which primitive folk commemorated and trans…

『新訂・英文解釈考』を学び始めて②(翻訳ストレッチの教材から)

“Humility is very rare” said Spinoza; and as Cicero said, even the philosophers who write books in it praise take care to put their names on the title page. [意味]「謙譲は稀なり」とスピノザは言った。そしてキケロの言うとおり、謙虚を讃えた本…

参考書の編集者って・・・

本の編集者って、担当した本を最初から最後まで何度も読むよね。では参考書や問題集の編集者は、1冊の本に書かれている例題や問題を最初から最後まで自分で解いているのだろうか? 『英文標準問題精』を復習している時にふとそう思った。 (後記)『英文標準…

『英文標準問題精講』とFAVI

5月28日(木) おはようございます。 出会った言葉:本質以外は何だか分からない人。だけど、いつも垂れ流しで自分を出している人。ピュアの純度が高すぎて、あまり理解されていない。世俗的なところがなく、レストランを通して社会奉仕をやっているようでし…

「自発的隷従」と『わたしの渡世日記』(2020年5月23日)

5月23日(土) おはようございます。 出会った言葉:なぜ人々は権力に従うのか。彼(エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ)の論理によると、人々は強制されて従うのではなく、自発的に従うのである。自分が得をするからだ。(「安倍政権支える『自発的隷従』―大機…

小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道(翻訳ストレッチの効果)(2020年5月20日)

出会った言葉:① 小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道② 人より頑張ることなんてとてもできない。あくまでもはかりは自分の中にある。それで自分なりに、そのはかりを使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと超え…

『受験英語と日本人 ――入試問題と参考書からみる英語学習』【7日間ブックカバーチャレンジ】(番外編)

(以下は、フェイスブックで7日間行った【7日間ブックカバーチャレンジ】の番外編である)。 江利川 春雄著『受験英語と日本人 ――入試問題と参考書からみる英語学習』(研究社) *普通に買えます。 本編では一般の人にもお勧めできる本をご紹介しましたが、…

翻訳ができないのは、日本語力よりも英語力の問題(2020年4月8日)

「この英語の意味は分かっているのだが単に自分の日本語能力が足りないから訳が間違っていたのだ」 と思っていたことの多くが 「そもそも英語が読めていなかった(誤読していた)のだ」 ということに気づく。 『英文解釈考』『思考訓練の英文解釈』『英文解…

『英文解釈教室』、『思考訓練の場としての英文解釈(1)』、『英文解釈考』

実は、やさしいと思われている「働き」中心の単語こそ重要でむずかしいのであり、意味を中心とする単語をそれらが一定の約束に従って縫い合わせるところに文章の不動の意味が生まれるのである。(伊藤和夫著『英文解釈教室』「第3章that節」p36) 『英文解釈…

『新訂・英文解釈考』を学び始めて

「そうした語学的「予測(anticipation)」能力と感性的「受信(reception)」能力を育てるという二つの目標の踏み石となりたい本書の中の文章はできるだけ濃(こく)のあるものにしようと、平凡なことを平凡にしか言っていないものは気前よく捨てた」(佐々…

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(3)(最終回)

(10)音読について 実は音読はもう10年以上続けていて、その内容についてブログ(長続きする自己啓発「翻訳ストレッチ」ー毎朝、仕事前に、手広く、コツコツとー(『翻訳事典2018-2019』から))に書きましたので、ここでは書き写しとの違いについて感じて…

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(2)

(5)毎回、最低でも1文(原文と訳文)の書き写しが終わるまでは止めない「翻訳ストレッチ」では一つの活動を5分単位にしていますので、この書き写しも5分で一区切りなのですが、実際には文章が長くて、全部書き写し終わらないうちに(場合によっては、原文…

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(1)(2020年3月)

FacebookとTwitterに「書き写しは短期的な効果、音読は長期的な効果がある」と呟いたところ、「具体的にどういうことですか?」というご質問をいただきましたので、翻訳ストレッチとの絡みで、原文と訳文の手書きでの書き写しについて書かせていただきます。…