金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

著者が手を抜いていない参考書(2018年10月)

参考書(広義に言えば勉強法本?)の善し悪しの評価に観点はいろいろあると思うが、全部やりきると明確に分かる(断言できる)ことが一つある。それは、「筆者(または編集者)が手抜きしているかどうか」だ。

「筆者または編集者が手を抜いた本」は悪口になっちゃうので、「間違いなく手を抜いてない本」と断言できるのは

1.『誤訳の構造』中原道喜著(聖文新社)
もう5回目ぐらいかな。「なぜこれがまちがいなのか?」が突き詰められていない感じのする箇所が何カ所かあるのがやや物足りないものの、文法書ではないわけで、僕にとっては絶対的な名著です。『誤訳の典型』『誤訳の常識』(それぞれ、2回目、3回目)は柴田耕太郎先生は「無意味」と切り捨てておられるが、読む価値十分にある。ただし一発目の『誤訳の構造』に見劣りするのは確か。

2.『TOEIC L&Rテスト 文法問題 出る1000問』TEX加藤著(株式会社アスク出版)
現在までで2回終了。明日から3回目。実際には1049問。TOEICのパート5(文法)対策問題集ですが、全1049問に対する4~10行の解説が超優れている。その特徴を一言で言えば、オールイングリッシュのいかにもネイティブ的な?(TOEIC本の多くは、「ネイティブはこう言う、こう言わない」という視点での説明が多い印象)テストの解説を、大学受験英文法的な視点で解説している点かな。よくぞここまで問題を集め、かつ懇切丁寧に説明してくれたと脱帽する。最低5回は繰り返す予定です。

あと、柴田耕太郎先生の本や伊藤和夫先生の本も、「手を抜いていない本」候補には入るのだが、いかんせん「まだやりきっていない」。

一方、僕が現在目を通している本の中にも、「いかにもページを埋めるためにつくっている章」「わざと間延びした議論にしている文章」「ちゃんと書籍の体系を考えているのかはなはだ疑問」(ちゃんと時間をかけて詰めていない)が目立つ参考書もある。時間がなかったのかもしれんけど、「読者をなめるのもいい加減にせえよ!」と腹を立てながらもいいとこ取り(参考にできそうな所だけかじる)しています。

いずれにせよ、普通の読み物はともかく、こういう類いの書籍は最初から最後まで全部読み、全ての問題を解いてからでないと評価できないと思います。